第一章1-1 始まりとダッシュ失敗
「皆さんのこれからの学校生活が希望に満ち溢れるものになることを祈り、歓迎の言葉といたします。 令和◯年4月8日 在校生代表 涼風 彗」
歓迎の言葉が終わり、多くの入学生が高校生になるという実感を沸かしているとき、俺自身もその現実に緊張しつつも、これからの学校生活に思いを馳せていた。
俺は今日から高校生になったのだ。
県立舵宮高等学校
県内ではそこそこの進学率であるこの学校。その入学式から二週間が経過していた。
この二週間では自己紹介などがあり、ある程度のグループが出来上がっていたが、俺はどこにも属していなかった。
決して属せていないのではなく、属していないのだ。
というか、こういうものは誰からかお誘いがあるものじゃないのか?
まあ、俺はこういうのは慣れっこだから全然気にしていないし、少し悲しくなったりもしてない。本当に。
というかそもそも——
「—君?おーい、浅見君!大丈夫?先生の話聞いてた?」
突然声をかけられ顔を上げると、隣の席の女子である百瀬奈緒の頭に俺の頭が直撃した。
「「痛っ!」」
「もー!急に顔上げないでよ!」
声をかけられたから顔を上げたのに、これ俺が悪いのか。てか、顔近っ
「ごめん、そんなに顔が近いとは思わなくて」
「まあ、全然いいよ!こっちこそごめんね。じゃなくて、浅見君先生の話聞いてた?」
「先生の話?あ、ああもちろん聞いていたよ。次のテストの話でしょ?」
「ぜんぜん違うよ!次のテストって、私達まだ入学して二週間だよ?まだ授業もまともに始まってないのに」
しまったこの話ではなかったのか。
「もう、全然聞いてないから特別に教えてあげます!」
「あ、ありがとう。助かるよ」
「お礼が言えて偉い!それで先生の話なんだけど、部活見学だよ」
「ぶ、部活見学?」
「そう、1週間後までに入る部活を決めておくようにって先生が言ってたよ」
部活動、中学の頃は全く縁が無いものだったな。何処かに所属していたほうがいいのかな?
「部活って絶対に入らなきゃだめだっけ?」
「いや、絶対ってわけじゃないけど殆どの生徒が入ってるから、ていうかそういうのは高校を決めるときに調べておくものでしょ?」
ぐうの音も出ない。
「とりあえず伝えたからね!先生の話はちゃんと聞くんだよ」
部活か、絶対じゃないなら入らなくてもいいか。いや、もしかしたら俺の隠れた才能的なやつが見つかるかもしれない。
そうじゃなくてもなにかのきっかけができるだろうから見学には行こうかな。
特に目的地を決めずに俺は歩き出した。




