表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
9/152

魔物の街 9

「ごらんいただければわかりますわ」 

 それだけ言うと茜は黙り込んだ。その突然の沈黙に誠の好奇心は再び不安に変わった。エレベータのドアが開いて一同は乗り込む。最後に乗ったラーナがエレベータにポケットから出したキーを差し込む。

「隠し部屋ですか。さらに厄介だ」 

 島田の一言にランの鋭い視線が突き刺さる。驚いた島田はそのままサラを見てごまかした。動きだしたエレベータの中。浮いたような感覚、そしてすぐに押しつぶそうとする感覚。パイロットの誠には慣れた感覚だが、それがさらに不安を掻き立てる。

 そして当然のようにドアが開いた。薄暗い廊下。壁も天井もコンクリートの打ちっ放しで、訪れるものの不安をさらにかきたてる。あえて救いがあるとすれば若干の人の気配がするくらいのことだった。

 廊下に出た茜に続くと、誠はそこで白衣を着た研究者のような人達が行き来する活気に心が救われる思いだった。

「人体実験でもやっているのかねえ」 

 要の無責任な言葉に茜が振り向いて棘のある微笑を浮かべる。要はそのまま後ろに引っ込みカウラの陰に隠れた。

「これは……嵯峨警視正」 

 到着したのは生物学の実験室のような部屋。遠心分離機に検体を配置している若い女性研究者の向こうの机に張り付いていた頭の禿げ上がった眼鏡の研究者が茜に声をかけた。

「例のものを見に来ましたわ……それと処理も」 

 研究者があまりにも研究者らしかったのがおかしいとでも言うように噴出しかけた要を一瞥した後、茜はそう言って巾着からマイクロディスクを取り出す。

「そうですか。失礼」 

 そう言うと眼鏡の研究者はそれを受け取り手元の端末のスロットにそれを差し込んだ。画面にはいくつものウィンドウが開き、何重にもかけられたプロテクトを解除していく。

「なんだよ、ずいぶん手間がかかるじゃないか」 

 要はそう言いながら部屋を見渡した。

「サンプル……人間の臓器だな」 

 カウラの言葉に誠は改めて並んでいる標本に目を向けた。いくつかはその中身が人間の脳であることが誠にもすぐにわかった。他にもさまざまな臓器のサンプルがガラスの瓶の中で眠っているように見える。

「ちょっと、そこ」 

 明らかに緊張感の無い様子でアイシャがつついたのは島田の手にしがみついているサラを見つけたからだった。

「ランちゃんは……平気なの?」 

 島田から引き剥がされたサラがランを見下ろす。

「オメーなー。アタシが餓鬼だとでも言いてーのか?」 

 そうランが愚痴った時、ようやく研究者の端末の画面がすべてのプロテクトの解除を知らせる画面へと切り替わった。

「それでは参りましょう」 

 茜はそう言うといつものように緊張感の無い誠達に目を向けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ