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魔物の街 8

 茜は何事も無いように歩く。扉を開いてそのまま部屋に入り、一度くるりと回った後そのまま部屋から出てきた。

「皆さんもどうぞ」 

 襟を正しながらそう言う茜に誠達は呆然としていた。

「いったい何が?」 

 誠の質問を無視するように今度はラーナが茜と同じように部屋に入り、くるりと回って出てくる。そしてランも当然のように同じ動作をした。

「無意識領域パスワード入力か?こりゃあ本格的だな」 

 そう言った要も同じように白い部屋に入りくるりと回って出てくる。

「なんですかその……」 

「大脳新皮質の一部に直接アクセスして無意識の領域に介入するのよ。そしてそこにパスワードを入力して現場ではそれを直接脳から読み取ってセキュリティーの解除を行うっていうシステムね。でもこれはたぶん警察でも最高レベルの機密保持体制よ」 

 そう言ってアイシャが同じ動作を行う。

「僕もやるんですか?」 

 初めて聞くセキュリティーシステムに腰が引ける誠だが、彼の頭を要が小突いた。仕方なく誠は扉を開き、真っ白な部屋に入る。

 何も起きない。

 まねをしてくるりと回る。反応は無い。そしてそのまま部屋を出た。

「あのー?」 

「ああ、自覚は無いだろうがすでに脳にはパスワードが入力されているんだ。実際どう言うパスワードかは本人もわからない」 

 サラが続くのを見ながらカウラはそう言って後に続く。

「ああ、吉田さんなら無効化できるかもしれないけどな」 

 そう言って島田もカウラに続いた。

「それじゃあ今度は地下ですわね」 

 全員がパスワード入力を済ませると再び廊下をエレベータへと進む。電子戦のプロである保安隊第一小隊二番機担当の吉田俊平少佐でもない限り解けないと言うセキュリティーを施すほどの機密。誠は不謹慎な好奇心に突き動かされて茜の後ろに続く。

 相変わらずエレベータルームにも人の気配が無い。

「これだけの機密ってことは……本当に俺等が来て良かったんですか?」 

 前線部隊ではない技術部整備班長の島田が頭を掻く。そして運用艦『高雄』の管制オペレータであるサラも同じように頷いた。

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