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魔物の街 4

「どうしたんですか?要さん」 

 急な要の変化に戸惑う誠。彼も要の陸軍非正規部隊での仕事の中心が港湾地区だったことを覚えていた。

「嫌な街だなあって。……ただそれだけだ」 

 それだけ言うと要は席を立とうとした。それを茜が押し止める。

「要お姉さまの個人的感想はうかがってはいませんの。保安隊の法術特捜協力班員としてきっちりと解決までご協力していただけませんか?」 

 茜の言葉は穏やかだが、その目の鋭さにさすがの要も押し黙って席に着いた。

「ただこう言う奇妙な死体が製造されているだけなら所轄の警察署の仕事のはずではないんですか?資料の分析程度ならこの人数でどうにかなりますけど、これだけの広さの地域を捜査範囲にするには……」 

 カウラの言葉にアイシャも大きく頷く。島田とサラは相変わらず七つの変死体の写真を見比べている。

「確かにこの人数でローラー作戦なんてやろうとは思っておりませんわ。そんなこと誰も期待していないでしょうし。ただこのメンバーならではの捜査活動をしたいと思ってますの」 

「この面子だと何が出来るんだよ」 

 重苦しい要の声に一同の顔が茜に向いた。

「わかんねーかなー。法術は展開すれば必ず反応が出るんだぜ。アタシや嵯峨警視正、それか神前ならすぐに察知して駆けつけられる」 

 これまで一人でかりんとうを食べ続けていたランの言葉で今度は誠に視線が集まる。

「でも、暴走する人が出るまで待つんですか?この範囲の法術発動を監視するなんて……」 

 誠のその言葉にあきれ果てたと言う顔のかわいらしいランの顔が見えた。

「馬鹿じゃねーか?この事件は誠が法術兵器をはじめて実戦で使用したのが確認されてから起きてるんだぜ、オメーが動けばこの死体の製造元が動き出すかも知れねーだろ?そうすりゃー何か手がかりでもつかめるかも知れねーからな」 

 そう言って今度は大きな湯飲みを手にするラン。誠は不安になってアイシャを見つめたが、その目が完全にランの外見年齢不相応の話し方に萌えていることに気がついて、いつでも取り押さえられるように力を込める。

「そう言うことですわ。ともかくこれが何を意味するのかもまるで分からない。ただこの死体が現れたのが神前曹長の存在が全宇宙に知らされた時と言うこと。それが重要な意味を持つのは間違いありませんから」 

 そう言うと茜はラーナに端末の終了を指示する。

「そしてもう一つの手がかりがあるんですけど……ご覧になります?」 

 一口茶を啜った後、茜はさっと立ち上がった。さすがにこうなってはプラモデルを作るよりも全員の興味は茜の手がかりと言う言葉に集まっていた。

「テメー等、私服に着替えろ。でかけんぞ」 

 ランの言葉に誠達は困惑した。顔を見合わせる誠とカウラ。

「その格好で東都警察に行くつもりか?恥ずかしい奴だな」 

 そんなランの言葉で誠達は自分の格好に気がついた。エプロンやジャージ。袖に染み付いた塗料。どう見ても私服と呼べる状況ではなかった。だが一人ニヤニヤしている人物がいる。

「じゃあ、中佐殿はなぜ保安隊の制服で行くのでありましょうか?その格好で東都警察の本部に顔出したら相当嫌な顔されますよ」 

 要の一言にランが明らかに不機嫌になる。

「仕方ねーだろ!アタシはこれを着てねーと追い返されるんだから!」 

 予想通りの回答に誠は苦笑したがその姿をランに見つかってにらみつけられた。

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