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世界ランキング第二位の俺は金のために無双する  作者: 漆黒のギル
2章 始まりの予感
11/12

暑くて熱い冬

「ふざけるなぁーーー!!!」

 俺はついさっき魔界から帰ってきた。解決したと思った。

 それなのに……それなのになぜ暑いままなんだ?せっかく終わったと思って帰ってきたのに暑いままとかふざけるなよ?もうめんどくさいんだけど。

 冬にこの暑さは異変なのは確実だがもう解決するのもめんどくさい。誰かに任せてもいいが、手掛かりが今は一つもない。

 魔界の気温はもう元に戻っている。それでもこっちの世界は暑いまま。手掛かりはゼロに戻った。だから誰に任せても今日中に解決することは絶対ない。明日の試合もこの炎天下の中やるのは嫌だ。

 それはそれとして――

「暑いのはわかるけどさ、服着たら?俺は別にいいけどさ、下着姿でそこにいられると困る。主にあれが」

 と、後ろを指さすとやっと気づいた。ロアの存在に。

「……………」

「いい、暑いし」

「よくないし早く服着て?」

「いや」

 ロアの前だけなら問題ないというのも困る。というか女子としてどうなのだろうか?二人とも下着姿でだらけていると兄、弟として不安だ。将来とかいろいろ。

「あー、僕はこれで」

 ロアが逃げた。

 ロアがいなくなったからと言って下着まで脱がなければいいけど――そうもいかないみたいだ。

「うわぁ」

 つい声を出してしまった。血のつながった家族でここまで差があるのはいつ見ても声が出てしまう。決して興奮しているわけではない。びっくりしているだけだ。この差って何だろう?

「見比べるなー」

「………いえ……断じて比べては……ないです……」

 ばれてた。でもまあ事実だし問題ないと思う。

 それよりこの暑さはどうすればいだろう。この二人の警戒心がなさ過ぎて忘れていた。この暑さのせいでこうなったわけだが、凜と蘭にも問題があると思う。さっきまではいいが、今は全裸だ。扇風機の前と風通しのいい窓の近くでだらけている。

 もうこの二人は無理だ。自力で何とかするしかない。

 この炎天下を何とかするべく迅は動き出す。

 もう一度魔界に行って情報を集める。そして誰でもいいから協力してくれるように連絡する。

 手伝ってくれるのは優斗だけだったが、楽になった。魔界で仕入れた情報によると犯人は極度の暑がりで、寒いところに行きたかったらしい。でも暑すぎて外に出たくないから世界ごと寒くする。でも世界事にすると文句を言われるので家の敷地内だけで我慢した。そういうことらしい。なんて迷惑な奴だ。

 だが、日本は冬。それをすべて家の敷地内に収める(この表現でいいか知らんが)となると寒いどころか凍死するだろう。

 というのが通じるの地球だけだった。

「こ、ここが……敷地!?」

 日本で言うと北海道一つ分くらいらしい。

 最初は冗談としか思わなかったが、巨大な壁に庭においてあるとは思えないようなものも置いてある。城、湖、山、だれが住むかもわからない家。そしてメイド用と思しき日本でいうマンション。さらには川、遊園地まである。そして敷地には結界も張ってある。それの範囲が北海道と同じサイズだったというわけだ。

「この中を探せと?めんどくせー」

「優斗、自分から突いてきたんだし手伝って」

「はいはい」

 この中で犯人を捜して、最悪戦わなければいけない。

 勇気を出して敷地の中に入る。トラップがあることも気にせずに。

ウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ

 サイレンが鳴ると同時に、バッと音がして、目の前に大量のメイドが現れる。

「侵入者、排除します」

「問答無用で戦闘開始とかふざけんな!ここはここで寒いし戦う気になんかなるわけないだろ!」

 優斗はこういう時にはめんどくさがる。まあ確かに問答無用で戦闘開始はどうかと思うけど。

「君たちのご主人様を出してほしい」

「お嬢様ならそこで、はしゃいでいます。ですが知らない、しかも 別の種族の男性と合わせることなんてできません」

 出来たメイドだがめんどくさい。ここは意地でも通してもらう。

「優斗、言いていうまで目を開けたらだめ。もし開けたら殺す」

 なぜこうなったかというとあれだ。男がだめなら女。姿だけ梨紗にすればいいと思ったわけだ。そのために着替えるからこっちを見るなということ。

(姿だけ帰るなんてさせないよ)

(事情は知ってるってことか)

 まあそういうことなら別にいいが、それなら話し合いだけで終わらせてほしい。梨紗に勝ち目があるとは思えない。

 変身が終わって、梨紗と入れ替わってからメイドたちに事情を話す。

「本当かどうかは後ろの方に聞いてみましょう。嘘をついていることもあるかもしれませんがあなた方からは――尋常ではない気を感じるのでなるべく戦闘はしたくないですし」

 最初の排除しますとかいうやつはどこ行った?チキンすぎる。

 まあ戦わずに済むのならそれでいい。ただ、ここの主との戦闘にならないとも限らないし優斗にはすぐ戦えるようにしといてほしい。

 梨紗は主人、優斗は梨紗の護衛として後ろで構えておく。

 メイドはお嬢様の微笑ましいご様子を見守っている。

 その視線の中で梨紗の交渉が始まる。

「今すぐ私たちの冬を返してくれないかな?」

「や」

「いい子だから」

 同じ目線になるように姿勢を服くしていうが、ダメだ。

「お姉ちゃんたち困ってるの」

「しらない」

 この駄々っ子、話し合いは通じないようだ。

 それなら次の作戦。

「手荒なことはしたくないけどしょうがないね」

 メイド、そして優斗まで戦闘の構えをとる。メイドはともかくなんで優斗まで?

「わたしね、あついのきらいだからこのままがいいの」

「そうなんだ~。ならわたしたちだっていきなり熱くなるのは困るんだけど」

「しらない」

 この駄々っ子は痛い目見ないとわからないようだ。

 殺さない程度に痛めつければ戻してくれるだろう。

 だが、梨紗も鬼じゃない。最後のチャンスを与える。

「君さ、もしかして氷属性の魔精霊?」

「うん」

 予想は当たった。それならもう容赦なく殺れる。

「最後の質問。氷属性ならなんで魔術を使わないの?」

「わたしはまじゅつがつかえないの。だからね、あのおねえちゃんがつかってくれるの」

 原因はこの幼女でも魔術を使っているのはメイドだった。

 誰が使っているのかはわからないが、メイドを片っ端から潰していけば何とかなりそうだ。メイドたちとしては戦いたくないと言っているし、話せばわかってくれるかもしれない。

 確信ではないが、可能性があるのならということでメイドたちのほうへ行く。

「どのメイドかは知らないけど早く戻してくれる?」

「お嬢様が嫌と言っているのでそれは出来かねます」

「ほんと、話が通じないんだね。君たちの都合だけでわたしたちが困るの。それがわからないなら力ずくでも戻させるよ」

「そういうことなら」

 戻してくれるのかと思ったら、戦闘が開始した。

「メイド長、ここは私たちが」

(お前大して強くなかったろ、大丈夫なの?)

(危なかったら交代するから)

(ま、頑張れ)

 梨紗が戦うとなると魔導書を顕現しないと魔術も全然だめだし、近接戦のほうの強いとは言えない。魔力量意外だと凜にも負けている。となるとこのメイドたちの弱点がわからなければ勝ち目はないだろう。

 ここは梨紗を信じて戦ってもらうのもいいが、優斗に支援を頼まないときつい。

「優斗、支援よろしく」

「ういー」

 梨紗は弱そうなメイドのところに突っ込んでいき、迅のように無双しようとする。が―

「はぁ、周りが全然見えてない」

 結局梨紗は一人ずつしか倒せていない。しかも周りが見えていない。優斗が危ないと思ったら撃ってサポートしているが、それがなければ死んでいるレベルだ。

(梨紗、周りをよく見て。あとこっから抜け出して優斗の後ろに逃げて)

 そう迅に言われたが、梨紗はこの状況から優斗の後ろまで行くのは難しい。

 優斗にアイコンタクトで説明すも、なかなか分かってもらえない。

「優斗、助けて!」

「自分から突っ込んでいったくせに」

 呆れながらも道を作ってくれた。

「ありがと」

 それと言ってはないけど優斗、ほんとにごめん。

 優斗の後ろに逃げ、そこで魔術の詠唱をする。

 その間に優斗がいろいろしてくれている。

「ダークネスレイン」

 メイドたちの上に広範囲攻撃の闇の雨を降らせる。が、まったく効果がない。

 これがだめなら――

「霧崎、あいつらの動き止めて」

「うん。拘束せよ≪チェーンバインド≫」

 メイド全員をまとめて拘束する。

 だがこれは魔術に慣れていない梨紗には大変なことだ。直ぐに終わるだろう。

 この間に優斗が爆破弾を装填している。

 そして装填が完了して言う。

「撃ったらすぐに結界を張って」

「うん」

 優斗はメイドたちのいるところのど真ん中を狙って撃つ。

 結界を張るのはいま。

「対爆破結界(防音付き)」

 何をするのかすぐに察して、対爆破にして、さらに防音までつけた。

 着弾した数秒後、弾が大爆発する。

 その爆発の煙で中で何が起きたかはわからない。

「終わった、かな?」

「しらん」

 煙が消えると、メイドも一緒に消えていた。そして寒さも引いていき、この結界の中にも結界の外と同じ暑さが戻った。

 それは解決したからいい。あとはそこの幼女だ。

 もう梨紗の必要はない。梨紗は迅と入れ替わり、姿も変える。

 変えたら幼女のそばに行って、梨紗と同じく目線を合わして話す。

「君、名前は?」

「アリア」

「アリアちゃんね。それで、パパとママは?」

「パパ?ママ?」

 この子には両親がいないようだ。だからメイドたちが――

 あ……メイド、行方不明。

 悪魔とはいえ血が出ないわけではない。だが、あの場には全く血痕がない。それどころかメイドの武器、服の切れ端すらも落ちてはいなかった。

「おねえちゃんたちは?」

「みんな用事が出来て帰っちゃったよ」

「あついの……いや」

 この子、メイドに寒くしてもらっていたから急に暑くなると、涙目になってきた。

(あー、しょうがない)

 こういう時に迅のお節介スキルが発動してしまう。

「俺が、アリアちゃんのパパになってあげる。暑いのもどうにかしよう。だから泣かないで?」

「パ、パ?」

「うん。だから、今からしないといけないことがあるの」

「痛いの我慢できる?」

「うん」

 この子は扱いやすい。それをいいことに契約させることになる。それは気が引けるが、この子のためにもそうするしかない。

 まずは下準備として魔法陣を展開する。

 その上に迅とアリア。

 そしてアリアの痛覚をいったんなくして、剣で指先を軽く突き、血を出す。

「我が僕となりし魔精霊よ、今ここに血を捧げ、契約せよ」

 魔法陣が光だし、アリアの一滴の血が増え、魔法陣に沿って広がっていく。

「汝の魂と我の魂は常に共にある」

 最後の一言を告げ、契約が完了する。

 実際は迅の僕になったわけだが、形的にはこれで親子になった。僕として扱う気は全くない。ほんとうの子供と同じように育てていく。

「アリア、今日から君は、俺の子供だよ」

「迅、お前……ロリコ――」

「うるさい」

「パパ、名前は?」

「そうか、そいやなのってなかったね。俺は迅。霧崎迅。だからアリアは今日から霧崎アリアだね」

「パパ、暑い」

「ちょ、アリア!?」

 暑さに耐えられず、アリアが倒れる。

 先にあれをしておくべきだった。

 アリアには悪いが、少し改造させてもらう。と言っても、身体を開いたりするわけではない。魔力を与え、周りに外からの温度を完全に遮断する結界を肌に密着させるように張った。それをアリアの肌と同化させ、魔力を送らなくても消えないようにする。送るというよりも結界が勝手に魔力を吸収する。

「さて、帰るか」

「霧崎、犯罪者臭半端ない」

「黙れ!!」

 気絶しているアリアをおんぶしているせいか、どうしてもロリコンに見えてしまう。親子に見えないでもないが、優斗からしたらロリコンなのだろう。

 地区大会最終決戦前日に子供ができるなんて予想外過ぎる。しかもそれが魔精霊という奇跡ともいえる出会い。だが、その分凜や蘭、周りの人への説明もしないといけない。

 これは迅がしたことだ。迅も責任を取るつもりはあるが、もし拒否されても絶対アリアを裏切ることはしないと決めた。それは迅、梨紗、優斗が生活できる状況をなくしたからだ。

 アリア事態には全く悪意はない。それなのに殺すのは酷い。しかも幼女を。見た目もそうだが、これは年齢もまだ四歳といったところだろう。

 大会前日に子供ができ、しかも挨拶、ではないが、説明をして回ったり大変だ。

 だがこれで急に暑くなるというまともな異変は解決した。早めに家に帰って説明しないといけない。

 この事件は後に『霧崎迅、ロリコン疑惑』として報道されることになったのは言うまでもない。

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