邂逅
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『おい、起きろ。…おい!』
これはお母さんの声?それにしては言葉が荒いような…。
声を掛けられるのと同時に肩を揺らされた。
もう少し寝ていたい…そう思いながらも、意識が浮上するのを感じた。
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目をうっすら開けると、自分を覗き込む人影が見えた。
意識がはっきりとしないからか、それとも逆光のせいなのか、顔がよく見えない。とにかく眩しい。
(…逆光?)
何故自分は外で眠りこけているのだろう?疑問が生じるのと共に、その疑問がはっきりとした意識を取り戻すのを手伝った。要はばっちりと目が覚めた。
「起きたか?」
自分を覗き込んでいる人物は手を差し伸べてくれた。
その手をとりつつ、のろのろと立ち上がる。
自分が寝ていた場所を振り返り、目をしばしばさせる。
――自分は砂利で寝かされていたらしい。どうりで背中が痛いわけだ。
しかし何でこんなところで眠りこけていたのかが思い出せないでいた。
「あなただれ?…ていうか、ここどこ?東京?」
とりあえず目の前の人物――少女に疑問をぶつけた。
「トウキョウという場所ではない。ここは幽世、
――そうだなお前たちの言葉で言えば≪あの世≫だ」
おまえは死んだのだ、と目の前の少女は言った。
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よくよく見れば、いや見なくとも。
目の前の少女はかなりキレイな少女だった。
キレイという言葉で簡単に表すことが適格かどうかわからない。
つやつやとした黒髪は肩に届くか、という長さで、
肌は陶器のように白く、紅を指しているわけではないのに唇は紅い。
自分を真っすぐ見つめる双眸は、髪と同じどこまでも黒く吸い込まれそうだ。
その大きな瞳をフサフサしたまつ毛が縁取る。
まばたきをするたびに、パチパチと音がしそうだ。
歴史の授業で習ったような、昔の中華風の官服に身を包んでいるせいだろうか。
どこか少年めいた中性的な美しさだが、黒い官服からふっくらと膨らんだ豊かな胸が、少女が大人の女性に近い年頃であると伺えた。
(なんて、ほんと、キレイな人なんだろう)
「おい、聞いているのか?」
少女は眉をひそめる。
「あ、ごめんなさい。すごくキレイでうっかり見とれてしまってた」
目の前の少女はその言葉が自分に向けて発せられたものだと思わなかったらしい。
「ここがそんなに?そうか、おまえの住んでいたところはよっぽど荒んでいたんだな」
「あ、いや。この場所がキレイって意味じゃー…」
反射的に否定をしようしたが、少女はそんなこと意に返さないようで。
じっと自分を見据えた。
「先ほど私が言ったこと、ちゃんと聞いていたか?」
こくり、と頷く。
目の前の少女の美しさにうっかり現実逃避をしてしまったのだが、
自分は死んだ――先ほど彼女は確かにそう言ったのだった。
ここはどこ、という疑問はなんとなく解消された。
あえてもう一度、最初の疑問を目の前の少女にぶつけた。
「あなたは、だあれ?」
少女は言った。
左肩袖に固定されている腕章をしめしながら。
「私は閻魔ハナ――お前を今から閻魔庁へ連れていく同行者だ」
その黄色い腕章には『案内人』と大きく書かれていた。
ハナは美少女だったらしい。そして巨乳。




