プロジェクト・フォー・ホースマン(Four Horsemen)
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同時刻、場所は日本国コロニー3【中京】
国連軌道宇宙軍所有の病院、その奥の奥にある研究室。
エリオット・コバヤシ中将による、全世界同時中継が終わり、番組は通常放送に戻る。
しかし、番組内容はドラマではなく、緊急報道特番に切り替わり、
アナウンサーやニュースキャスター、解説者や「その筋」の専門家が
スタジオに一同に介し、喧々囂々と大騒ぎをしている。
メリル少佐「なかなか…、上手い構成になってるな」
堂上「あからさまだろ、見てるこっちが恥ずかしくなる」
レイコ「あからさま?何があからさまなの?」
情報戦略担当の堂上特務大尉、メリル少佐、そしてメリル少佐の友人であるレイコ・F・ムナカタ。
三人は記者会見よりも、どうやらその後に放送されている、民放の緊急報道特番に注目している様だ。
堂上「この番組は、メリルの【仕込み】。
マスメディア全般に対して、世論を地球奪還作戦賛成に誘導させる作戦の一環だ。
この番組構成…反対派の妖しさを際立たせて、視聴者の心象を悪くさせ、
地球奪還は正義だと印象付けさせる様に、メリルが画策した」
レイコ「なるほどね」
メリル少佐「画策とは失礼な(笑)いずれにしても、地球には還らなきゃならないのに、ね♪レイコ」
レイコ「そうだな、地球には還る。何がなんでもだ」
レイコの瞳に一点の迷いは無い。
そんなレイコを頼もしげに見詰めるメリル、堂上は彼らしくモニターを見詰めたまま。
レイコ「メリル、頼みがある」
メリル少佐「カオル君の事でしょ?あなたは絶対そう言うと思って、手配済みよ(笑)」
レイコ「ありがとう、助かるよ♪」
堂上「何だよ、何の話だ?」
メリル少佐「私とレイコ、来月は【全天候揚空護衛艦リスキー・ビスキー】に乗ってるから、
後はよろしくねって事よ♪」
レイコ「メリル、あなたまで!?」
メリル少佐「リスキー・ビスキーには人類を救う鍵がある。あなたと一緒に、それを守るわ」
堂上「99式APE4機の事だな?さて、約束通り、俺にも教えろよ」
この後、
堂上は約束通り、「プロジェクト・ゴーホーム」に関わる最重要機密事項の一つ、
【プロジェクト・フォー・ホースマン(Four Horsemen)】の真相を、メリルから聞く事となる。
そして、エリオット・コバヤシ中将の記者会見が終わった後の、リスキー・ビスキー。
国連軌道宇宙軍、日本国教育実習艦リスキー・ビスキーでは、船内のあちこちで大騒ぎになっていた。
「戦争だ!」
「隕石で人類滅亡!?」
「敵は【物体E】!」
「地球へ還る」
「地球へ!」
カオル「地球奪還作戦っ!!」
もちろん、食堂にいた教育実習生達も、騒然としていた。
カオル「地球奪還作戦だよ!」
ショーン「わかった、わかった(笑)」
ミカ「だから…APEって、大気圏降下訓練してたんだ」
カスミ「やだな…、私達に出撃命令なんて、来るのかしら?」
ヒロノブ「そうだね、僕らまだまだ実習生1年だし…」
リンダ先生「不安になるのも分かるけど、今はあまり気にする事じゃないわ。
それよりも、目の前にある、与えられたチャンスを、しっかりこなさなきゃ」
エレノア「どっちにしても、真剣に実習受けないと、後で困るのは自分自身よ。
死んだ後じゃ後悔出来ない」
恭香「どっちに…しても?」
エレノア「さっきの会見…。人類側の切り札は、空中要塞アーシラトとAPEだったわね」
ショーン「ああ、そうだ」
エレノア「あれは結局、物量の凄さを見せただけ。つまり、裏を返せば【物体E】に対する絶対的有効打が無い。
【物体E】に効く本当の切り札が無いから、物量を投入して、消耗戦の我慢くらべをするしか無い」
リンダ先生「…エレノア」
エレノア「いいこと、私が考えるに、人類に早期の勝利は無い。
それどころか、疲弊しきって作戦中止。…そして人類滅亡もありえる」
恭香「エレノア…怖いよ」
エレノア「みんな、今のうちに…とにかく今の内に、覚えられる事は全て覚えなさい。
考えたくないけど、必ず私達の出番はある。死にたくなかったら…!」
エレノアの肩に、背後からカオルが、優しく手を乗せる。
カオル「ありがとうエレノア、気持ちが引き締まったよ♪」
エレノア「カオル…」
恐ろしい未来を口にしていたエレノアも、実は肩が震えていたのだ。
カオル「大丈夫!僕が頑張る!みんなを守るって決めたんだ、だから大丈夫!」
不安の色を隠さない、教育実習生達。そんな仲間を鼓舞するカオル。
必要以上に力んでいる事から、カオル自身も実は、不安に苛まれている事は事実。
先ほどエレノアが言った「【物体E】に対する絶対的有効打が無い」と言う言葉。
確かに、今現在の人類の現状を、本質を見事に見抜いていた。
しかしその裏に、本当に存在する、「【物体E】に対する絶対的有効打」。
人類の切り札の存在が隠されていた事には、気づいていない。
もちろん、それを知っているのは、ごく限られた人々だけであり、エレノアが知る由も無いのだが、
ただ、エレノアの身近な場所に、もっと言えば目の前に、
「【物体E】に対する絶対的有効打」が4人もいる事に気づくのは、
まだまだ気の長い、時間の経過が必要であった。
時間の経過と、血の量と、悲しみの量が必要であった。




