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オキュパイド・アース ~占領下の地球~ 原案  作者: 振木岳人
黙示録の4騎士編
31/77

カスミ・レイモンドと、ヒロノブ・レイモンド




場所は同じく、コロニー3【中京】にある宇宙港。

それも、民間の客船や輸送船が、発着を繰り返す港ではなく、

国連軌道宇宙軍が保有する軍港エリア。


国連軌道宇宙軍のソーラーシステム級フリゲート(巡航艦)艦が一隻、

一回り小さいコルベット艦(駆逐艦)が二隻停泊しており、

ロールアウト中なのか、船体の表面では、しきりに船外活動員が作業を行っていた。


そこへ…


ゆっくりと、何度も、短い秒数で逆噴射を繰り返しながら、教育実習船【リスキー・ビスキー】が入港して来る。


そう、秋季の教育実習航海を終えて、リスキー・ビスキーは【中京】に帰還したのだ。


音の無い世界


音の振動すら伝わらない世界で、軍港全体に鈍い振動を伝えながら、リスキー・ビスキーは無事接舷した。


ドックからゆっくりと伸びた気密通路が、船体の扉に繋がり、乗組員達が通路へと「泳いで」行く。

その中に、ムナカタ・カオル以下、教育実習生の合計5人がいた。


合計5人とは、

ムナカタ・カオル

ミカ・カートライト

ショーン・カザマ

エレノア・シグニス

美田園恭香

市立四日市東高等学校の一年生5人である。


美田園恭香の所属は、国連月宇宙軍ではあるのだが、交歓留学生特権で、

国連軌道宇宙軍の教育実習を受ける事が、認められている。




ミカ「いやああ…疲れたねえ」




エレノア「…うん」




ショーン「まだミカやエレノアは良いよ。俺なんか整備の実習で危うくPEEVAに体当たりする所だった(笑)」




カオル「…船外活動で吐きそうになった」




恭香「わ、私…も…」




ミカ「私なんか脳みそ爆発寸前よ!寝てる時だって、夢に軌道計算が出て来るんだから」




エレノア「私は士官候補生コースも併用してるから、テストに次ぐテストで…」




賑やかに実習の感想を互いに話しながら、軍港事務所を抜け、一般区画へと向かうリニアレールに乗る5人。

コロニー中央にある無重力の軍港から、ドーナツ型コロニーの内側の壁に向かって走るリニアレール。

シートに固定された5人達の身体に、徐々に徐々に重力が発生して行く。




ショーン「なあ、このまま帰宅するのも何だから、どこかでお茶でも飲んで行かないか?」




誰一人、ショーンの提案に異議を唱える者は無く、全会一致で提案は可決。

カオル達は、帰宅前の「お茶タイム」に赴く事に。


コロニー3【中京】の商業エリア。


三階層分に広がる、巨大スーパーマーケット【えびす屋】。その吹き抜けテラスにあるフードコート。


「たこ焼き」「イカ焼き」「フライドチキン」

「コロッケ」「立ち食いソバ」「100%果汁ジュース」


様々な屋台が壁際に並び、テラスには樹脂製の丸テーブルが無数に広がる。

その一角に、カオルを含む教育実習の5人がいた。




ミカ「お待たせ♪たこ焼きたこ焼き」




ショーン「おお、美味そうな匂い♪」




エレノア「カオルにも、はい」




カオル「えっ!?僕に?」




オレンジジュースを大切に大切に飲んでいたカオル、

エレノアが差し出しのはお好み焼き。




エレノア「私のごちそうだから、遠慮しないで」




カオル「うわあ、うわあ♪ホントに良いの?」




見上げるカオル、傍らに立つエレノアは、頬を赤らめながら、コクンと頷く。


すると、




恭香「ム、ムナカタ君…これ」




屋台から帰って来た恭香が、カオルの目の前に、やはり料理を差し出す。




カオル「こ、これはフライドチキン!美田園さん、これ僕に!?」




もじもじと身体を揺らし、照れながら恭香は頷く。




ミカ「エレノアと恭香、火花が散ってる(笑)」




ショーン「しっ!声がデカい」




カオルを挟んで対峙するエレノアと恭香。

女同士の静かな闘いを端から見て笑う、ショーンとミカ。




ショーン「しっかし、カオルも鈍いやつだな。多分あいつ、全然気付いてないぜ」




ミカ「それはそれで問題なんじゃ?ド天然ジゴロって、本人に罪の意識ゼロだからね」




カオル「エレノアも美田園さんもありがとう♪今度は、僕の方ががお礼するよ」




エレノア「…お礼なんて♪」




恭香「…うん♪」




とりあえず、とりあえず和やかな5人の仲間達。

賑やかに教育実習終了の打ち上げをしていると、背後から若い男女の声がかかる。


「ちょっとすみません」「あなた達、教育実習生?」




ショーン「うん?」




全員が振り返ると、そこに立っていたのは一組の男女。

カオル達と同じく、一般生徒は着る事の出来ない、国連軌道宇宙軍指定の、

学生服兼、教育実習生の制服を着ていたのだ。




カオル「あっ、僕達は、四日市東高校一年の教育実習生です」




振り返ったカオルが、笑顔で答える。


すると


「ああ、やっぱり♪」「良かった良かった」


男女は笑顔でカオルの言葉に安堵する。


「私の名前はカスミ・レイモンド」


「俺の名前はヒロノブ・レイモンド」


二人は、今日イギリスのコロニーから引っ越して来て、明日より、

四日市東高等学校に通うのだと挨拶した。

カオル達も挨拶を返し、同じ仲間だと、二人をテーブルに招き入れた。




ミカ「着てる服が男用、女用なだけで、ホント二人そっくりさんね」




ヒロノブ「二卵生の姉弟ですから」




エレノア「でも二人…綺麗よね」




恭香「…うん、…綺麗」




ヒロノブ「そんな、誉めすぎですよ(笑)」




ショーン「しかし、恭香といい、レイモンド姉弟といい、なんか今年の一年生は充実してきたなあ」




カオル「仲間がどんどん増えると、やっぱり嬉しいね♪」




和やかに会話を続けるカオル達。

そんな中で、一瞬だけカスミ・レイモンドと、ヒロノブ・レイモンドが、

カオルに向けていた柔らかい視線を硬直させる。

ほんの一瞬ではあるのだが、酷く冷静で、酷く冷たい瞳をカオルに投げかけたのだ。




カスミ (…あの日、お母様が叫んだ言葉…)




ヒロノブ (…僕達姉弟は、ムナカタ・カオルの出来損ない…)




カスミ・ヒロノブ (…その、ムナカタ・カオルが今、目の前にいる…)




カオル「うん?どうしたの?」




カオルに注がれていた、カスミとヒロノブの視線。

カオルもそれに気付き、何気なく問いただす。




カスミ「え?いえいえ、別に何でもないです(笑)」




ヒロノブ「ええ、何でもないです。ムナカタさん、かっこいい人だなあって(笑)」




カスミ「私も、ちょうどそう思ってたの♪」




カオル「よよ!そんな事言われたの初めてだよ」




顔を真っ赤にしながら、照れまくるカオル。

照れ過ぎて額に汗まで滴らせ始める。




ショーン「ホント…言われた事無いのな(笑)」




ミカ「反応がストレート過ぎて、カオル可笑しいよ」






エレノア (新たな…ライバルの出現…?)




恭香 (…恭香負けない!)





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