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勇者死んだままパーティー(契約中) ― 海の魔獣退治 ―  作者: ぽすしち
おかしいはなし ― 35 ―

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66/66

おかしなはなし

ここでおわりです





 36.



     「 だって、おかしなはなしだよな 」


  バタン、と開いていたぶあつい紙束をとじた男は、手紙をのせた銀のトレーを持って机の前に立つ女にきいた。



「なにがですか?」


「 この《勇者一行》だよ。 えっと、《勇者》の名前なんだっけ?そうそう、《リミザ》だ。どこの地方の出身だっけ?まあ、いい。とにかく、このパーティー、このまえ、うちの連盟からの依頼で《白銀のドラゴン》退治に行ったやつらだろ?そしたらなんかやたらとトラス王国に気にいられたみたいで、このパーティーは、絶対にこのままつぎの依頼を受けてそのまま仕事を続けるべきだ、とか、国王の正式な推薦状とかついてきちゃって、大臣からはつぎの仕事で世話になる国への紹介状もきたんだぞ?」


「ああ、ちょうどトラス国王がご病状が回復なされたところにいたから、そのお祝いでつけてやったんじゃないですか?」

 女は冷静にこたえ、銀のトレーを机においた。



「ふん。そうか?それでつぎに、ちょうど連盟に加入したばっかのアチルゴ国からきてた《退治依頼》をまかせてみれば、こんどはアチルゴの国王からの感謝状まできたんだぞ?なんなの?こいつら。なにかの慈善団体員のパーティーとかなの? だって、こんどのアチルゴ国にでむいての仕事、全く関係ないのに、なんでまだ、トラス王国のタルトン王子からの推薦状が届くんだ?」


「さあ。とりあえず、このほかにもタルトン王子からの推薦状はあと五通きてます。それで、次もこのまますぐに《退治依頼》をうけさせるべきだと、トラス王国のカシール国王からの推薦状も」


「トラス王国はあのパーティーに弱みでもにぎられたのか?それなら連盟に訴え出ればいいものを」

 トレーからとりあげた手紙をひらきもせず机に放る。


「訴え出られない内容だから、『弱み』というのでは?」

 机の前に立つ女がききかえす。


「まあ、そうか。だが、勇者パーティーのひとつやふたつ、こちらで《処分》できると、伝えてあるんだがなあ・・・。あそこのカシール国王、倒れたっていうから、頭もあやういのかもな」


「また、そういうことをくちにしないでください。いいですか、ここは《王様連盟》の事務局ですよ。発言には気を付けていただかないと」


 女の注意にうるさそうに手をはらった男は、机においたままだったひもで閉じられた紙束をとりあげた。

「見ろ。アチルゴ国もきっと連盟に加入したばっかりでその《勇者一行》にいいようにたきつけられたんだな。こんなぶあつい国民連盟の『感謝状』なんて送ってくるなんて、たきつけられてないのに送ってきたとしたら、あそのこ国王もちょっと頭おかしいぞ」


「ですから、ウエイドさま、特定の国王への発言はひかえてください」


「いや、だって、おかしいだろ?おかしいよ。 そもそもはじめの《白銀のドラゴン》なんて、情報の確認不足で、生物なんかじゃなかったっていうんだぞ?銀でできた巨大な像だったっていうが、重みで谷底に落ちてったっていうあのパーティーの報告は、おれは信じてないからな」


「銀製の鱗が報告書といっしょにおくられてきましたが、信じてないのですか?」


「ちがうちがう。『忘却の山』にはいったのは本当らしいから、まあ、そこそこの実力者ぞろいなんだろう。でもそれなら、銀でできたドラゴン像を持ち帰ってるかもしれないぞ」


 どうだ?というように指をむけられた女は眉をあげ、「ほんとはそんなことおもってないでしょう?」と、わらってみせた。



「 ―― うん、そうなんだ。でも、そうだったらいいなあ、とは思ってる。なんだかこの勇者パーティー、おかしなはなしばっかりだ。いままで聞いたことないことばかりのことが、起こってるかんじがするな。魔族も少なくなった今、おれは、ここでの変化のすくない仕事を愛してるって言うのになあ・・・・」

 ひもでとじられた紙束を指先で数度たたくと、それはマッチ箱ほどの大きさになった。

 つまみあげた男はそれを銀のトレーに投げる。

「・・・それらの書状といっしょにしまっておいてくれ。このパーティーがこの先なにか問題をおこしたとき、推薦状や感謝状をおくってきた国に責任をおしつけよう。 なにしろ、 ―― おかしなはなしだからな」



 まゆをあげて女にほほえみかけた男は、机のすみにおきっぱなしだった書類に手をかけた。


 重なっている書類を指先でひきよせる。それは、『リミザ・クリフ』と『ラフィー・ゴンダッド』のもので、その上に置かれた紙には、赤いインクで書かれた疑問形の言葉がひとつ。

 




     《  おかしくないか? 》














目をとめてくださった方、おつきあいくださった方、ありがとうございました!


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