悩み
勇者が死んだままなぜ《退治依頼》をうけるのか?それは勇者がリビングデッドだからです。というパーティーのはなしを、前回から書いております。 軽い話ですが字数が多く、小分けであげてゆので、よろしければのぞいてやってください。。。。。
なんか、おかしいはなしだよな
1.
《勇者》パロネスは悩んでいた。
家業である《勇者》を継ぎ、この二十年ちかく、さまざまなパーティーを組み、おそろしい魔物や魔獣を退治してきた。
《勇者》ランキングで、『魔物、魔獣 退治数』、『獲得報酬金額』、『パーティー組んでよかったこの勇者』などの上位に名をつらねたこともある。
だが、三十五を過ぎて四十歳を前にしたいま、ものすごく悩んでいるのだ。
「 ・・・ものすごく、・・・お菓子をつくるのが好きでね。ちいさいころから母におそわって、姉たちにいつもほめられたものさ」
パロネスは隣にすわる少年にそんなことをはなしていた。
そう。 彼はおさないころからずっと菓子職人になりたかったのだ。
「へえー、いいなあ。おれなんて食べるのは大好きだけど、じぶんでつくれるお菓子なんてないよ」
少年は、『すごくうらやましい』という感情を、その顔で表現している。素直な反応に、こちらもつい、こんなことをいってしまった。
「 ―― それなら、簡単な飴のつくりかたを教えてあげよう。砂糖と水だけでできるよ」
「ほんと?やったー」
無邪気によろこぶこの少年とは、さきほど街のパン屋でしりあったばかりだ。
この国のパン屋は、おおきな港に他国から豊富に集まる材料によって、さまざまなパンをつくり、焼き菓子もいっしょに売っていたのだが、近年、生菓子とよばれる、クリームやゼリー、生の果物をのせたケーキを売り始め、それが爆売れして、生菓子専門の店をだして売り出しもはじめた。
この少年とあったパン屋は、そういった生菓子はおかずに、パンと焼き菓子だけのむかしながらの店だった。
その店で小銭をにぎり、ならんだ焼き菓子の中から『最高のひとつ』をえらぼうとして悩みまくっているらしく、顔なじみの店主に「あの子ども、もう一時間以上なやんどるが、まだ決まりそうもないな」と苦笑交じりにきき、おもわず商品の解説を(もとめられてもいないのに)はじめてしまい、気づけば少年に《オススメ》した商品をすべて買ってしまい、うらやましそうにこちらを見ていた少年に、店をでてから「よかったらいっしょに食べないか」と、声をかけてしまったのだ。




