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ぼっち観測者は青春の重力に抗えない  作者: 宮下ひとみ
序章「青春の重力による平穏の崩壊」
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プロローグ「観測者の独白」

初めまして。宮下ひとみと申します。

小説家になろう初投稿となります。

ひねくれ系主人公の学園青春ラブコメが好きすぎるので、自分で書いてみることにしました。

本作は、かつて「青春の重力」に叩きつけられた一人の少年 讃良木透ささらぎとおるが、新天地で徹底した「観測者」を貫こうとする物語です。後々ヒロインの登場により、その立場を段々と追われていくようなそんなお話を書いていきたいと思います。

 重力と質量は比例する。質量が大きければ大きいほどより大きな重力を及ぼす。これは基本的な物理学の考え方であり、誰もが認識している常識である。


 例えば、今俺の目の前の窓いっぱいにデカデカと聳え立っている富士山。その暴力的なまでに視界いっぱいに広がる質量。あれだけの質量があれば、多くの人々を惹きつける重力もすさまじいものになる。


 だからこそ人は、あの青と白の円錐形に向かってカメラを向け、手を合わせ、圧倒的な存在に対して、畏怖の念を示すとともに自分のちっぽけな質量を確認せずにはいられないのだろう。


 だが、視界には認識できない実態のないものにも、質量は宿るのではないかと思う。


 その最たる例は「青春」である。


 実態が伴わないにも関わらず、富士山に負けず劣らずの重力を持っている。青春という厄介な重力は、それを謳歌しようとする誰も彼もを引き寄せるのだ。


 クラスの中心人物、部活のスター、あるいは恋愛という名の人間関係の渦。そういったキラキラした「陽」の質量は、周囲の人間を容赦なく引きずり込む。


 だが、忘れてはいけない。


 そんな重力に引かれたものの末路を。重力に押し負けて、落下すれば、最後は必ず地面に叩きつけられる。大怪我を負うか、最悪、死んでしまうだろう。


 そんなことを考えていると、ふと、東京に住んでいた中学時代の苦い記憶が蘇る。


 今思えば、寒気すら覚えるような正義感に酔って重力圏に飛び込み、結果として、コンクリートに叩きつけられたあの時を。


 あれもきっと青春の重力のせいだ。だから俺は決めた。他人の引力には抗い、ただ安全圏からこの青春を眺めるだけの観測者でいると。


 それが、俺、讃良木透ささらぎとおるが決めた平穏な高校生活を送るための絶対防衛ラインである。



お読みいただきありがとうございます。

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