第7話 女 1
いつも苦しかった。
生まれてからずっと、苦しかった。
いつも胸を押しつぶされているような、
水の中にいるような、
空気を求めて、はくはくと大きく口を開けていた。
いつ息が詰まって死んでもおかしくない、そんな状態だった。
それでも生きていられたのは、父と母が薬師だったからだろう。
父と母と、その親たちが、財も知識もすべてをかけて私を生かそうとしてくれていた。
こんなに苦しいのに、生きて、生きてと、呪いのように彼らは私に愛を与えた。
ようやくその先が見えたのは、私が十二歳の時だった。
隣国で見つかった新しい薬草に、私の病を和らげる成分が見つかったのだ。
私のために家はすでに傾いていた。
隣国から薬草を仕入れるために、とうとう邸を売り出した。
薬草を育てるための広大な畑の中に立つ邸は、町にも遠く、無駄に立派だった。
売れはしまいと思っていたのに、そこにやってきたのは隣国の薬草を中心に商売する商人で、私を見るなり無償で薬草を手配すると言いだした。
不思議に思う私をよそに、家族はそれを当たり前だと言った。
盲目的なその態度は、商人も商人について来た使用人たちも同じだった。
何だろう、これは……
気持ち悪いと思ったが、その商人の力でまた新たな薬草が見つかり私の病は完治した。
そうして、私は初めて外に出た。
商人の手によって飾り立てられ町に行き、そこでまた商人と同じように私に手を差し伸べる者を得た。
見返りを求めないその言動に、私は少しずつ自信をつけた。
そして、気がついた。
きっとこれは、あんなに苦しんだ私への、神様からの贈り物なのだと。




