第19話 第三王子 7
繰り返しの中ではじめて、彼女の墓を、見た。
何度も、何度も死んだのに、彼女の墓を見たのはこれが初めてだった。
いつも、彼女を見つけると同時に意識は薄れ、過去に戻ってしまうから。
「どうして……」
信じられずに宰相に墓の場所を尋ね、執務室を飛び出した。
馬を駆ってたどりついた場所には、確かに彼女の名前が刻まれた墓石があった。
日付は私と彼女が顔合わせをするはずだったあの日。
「何故……どうしてっ!」
墓石にすがりつき、悲鳴を上げた。
溢れる涙が制服に色をつける。
頭の中は真っ白で、ただひたすら泣きわめいた。
泣いて、泣いて、少しずつ後悔が形になり、思考が疑問を捉えていく。
「どうして、今回私は自由なのか。何故、あの女から離れられた?」
あの女は、【魅了】と言う魔法を使っていた。
私もその毒牙にかかっていた。
今の私と、前の私……何が違うのか。
そうだ、あの女のそばにいたのは、皆、婚約者がいた男たちだった。
今の私には、婚約者がいない。
そう、彼女がいない。
だとすれば、あの女が使う【魅了】と言う魔法は、誰かを愛する者にしか効かないのだろう。
そう考えて、私はそっと墓石に触れた。
何故こんなことになっているのかは分からない。
けれども。
もうここに彼女はいない。
もし、今まで通りにまた過去に戻るなら、もうすべてが終わった後……明日の朝、と言う事になるだろう。
ならば、そこに彼女はいるのだろうか?




