第二十三章 ぼくらが蓑掛山に行った時の事~金霊~ 6.蓑掛山再訪~金霊~(その2)
~Side 優樹~
「……大当たりかぁ……喜ぶべきか、悲しむべきか……」
「当たりなんだから喜びなさいよ」
「〝魔力を放つ何か〟って聞いて、素直に喜べるとでも?」
「大丈夫! あたしの勘がそう言ってるわ!」
……真凛の「女の勘」なんて怪しいもんだけど、「武道家の勘」なら信じてもいいのかな?
そんな感じでカットウしてたぼくをきれいにスルーして、真凛は土魔法でその「何か」を掘り出してた。……少しくらい用心ってものをおぼえようよ……
「……泥だらけだけど……布袋かな?」
「多分だけど、巾着ってやつだと思うわ。ちょっと待って、土魔法で泥を落とすから」
真凛が土魔法でそれをきれいにしてると、ぼくらの頭の中に語りかけてくる声があった。
『……ぞ』
「何?」
「何か言った?」
「ぼくじゃないよ」
『……つくぞ』
思わずぼくらが顔を見合わせてると、声は段々はっきりしてきた。
『行くぞ行くぞ 取っつくぞ引っつくぞ』
――!? これって、キャンプの夜に真凛のお父さんが話してた、「やろか水」だよね!? 返事をすると土石流に呑み込まれるっていう?
「ま、真凛ちゃん――」
返事しちゃダメだって言おうとしたところで――
「来るなら来い!」
「ちょっとーっっ!?」
『ならば行くぞ!』
悲鳴を上げる間もあらばこそ、真凛が持ってた巾着が光に包まれて消えたかと思うと……何かが飛び込んで来た。……ぼくの中に……
「「………………」」
しばらく二人ともボウゼンと立ち尽くしてたんだけど……
「ゆ、優樹……大丈夫?」
「う、うん……別に異常はない……みたい」
何かがぼくの中に飛び込んで来たのを異常って言わなければ――だけど。
「ご、ごめんなさい……あたし……まさか優樹に……」
何だか真凛は泣きそうな顔をしてるけど、ぼくの体調に異常はない。
「ス、ステータスは?」
あ……そうか。何か異常があるんなら、ステータス画面を見ればわかるはずだよね。
そう言われてステータス画面を開いてみたんだけど……
「やっぱり、何もおかしなところはないよ?」
「……加護も呪いも? バフもデバフもなし? ……本当に?」
「うん。何にも」
この頃にはどうにか真凛も落ち着いてきてた。よかったよ。あのままじゃぼくも調子狂っちゃうし、真凛のご両親も心配するだろうからね。
けど……本当に何だったんだろうね? あれ。
確かにぼくの中に飛び込んで来たはずなのに、ステータスには何の変化もないっていう……
「……ねぇ優樹、もしかしたらだけど……マヨヒガの方じゃない?」
「マヨヒガ?」
「うん。優樹に変化がないんなら、あと考えられるのはマヨヒガじゃないか――って」
……実際に、鳥居とか案山子とか取り込んでるわけだしなぁ……【取り込み】じゃなくて【押し込み】……はニュアンスが違うし……【押しかけ】って事かな?
「マヨヒガに取り込まれてないか、確認するとかできないの?」
「う~ん……どうだろ。ちょっとやってみる」
一覧とかはまだ見れないけど……ログを見る感じでの確認ならできるんだよね。えぇと、最近の更新……げ?
「……どうしたのよ? 優樹」
「あ、うん……寛永通宝が何枚か取り込まれてて……それとは別に……」
「……別に?」
「……うん……【金霊】っていうのが追加されてる……」
〝取っつくぞ引っつくぞ〟――って、そっちかぁ……




