第二十三章 ぼくらが蓑掛山に行った時の事~金霊~ 4.夜の内緒話(その2)
~Side 優樹~
――収蔵品を増やす事によって、マヨヒガを強化する事ができる。
うん、確かにすごい事には違いないんだけど……これって見ようによっては……
「……マヨヒガがランクアップするために、ぼくらに収蔵品を集めさせている――みたいに思えなくもないんだよね」
『お互いそれで都合が好いんだから、いいじゃない。Win-Winの関係っていうやつ?』
……真凛は肝がすわってるなぁ……〝太っ腹〟――って言うんだっけ。別にお腹は出てないけど……
『……優樹?』
「ん~ん? 何でもないよ?」
――うん、余計な事は考えてないよ?
『そう? ならいいけど……それより優樹! これは明日の予定も決まったわね!』
あぁ……心配してた方向に話が転がりそうだ……
……一応、とぼけておこうかな。
「明日の予定って?」
『それはもちろん、蓑掛山の再訪よ!』
「……やっぱり?」
『当たり前じゃない! 収蔵品を増やすほどマヨヒガを強化できるんなら、素材だけじゃなくて収蔵品の確保も至上命題だわ。なのに、そこらのものを適当に収蔵品にはできないとなったら、確実に収蔵できる寛永通宝を確保するのが一番よ!』
「だからって……他にも蓑掛山に寛永通宝が落ちてるのを期待するのは、いくら何でも楽観的に過ぎない?」
〝柳の下に二匹目の泥鰌はいない〟――ってことわざを聞いた事は?
「それだけじゃなくて、仮に他にも寛永通宝があったとしても、上手くそれを見つけ出せるかどうかは、また別の問題だよね?」
『そこでスキルの出番となるわけよ』
「スキル? ……確かにぼくの【鑑定】は、取り込み候補があったらパッシブに反応するけど……まさか、範囲鑑定みたいなのを期待してるわけ?」
ちょっとぼくの負担が大き過ぎない?
『それだけじゃなくて、あたしの土魔法で探知する事もできると思うのよ』
「あぁ……鉱石探査とか、その手のスキル?」
化石は探知対象じゃなかったみたいけど、寛永通宝なら金属だしね。反応するかもしれないな。それに、あの手のスキルなら広範囲を対象にする事もできそうだけど……
「蓑掛山全体を走査する気? MPが足りなくならない? 仮に成功しても、情報があふれ返って大変な事になると思うけど?」
かと言って条件を絞り過ぎると、例えば鉄鉱石を探してて金鉱石はスルー――なんて事も起こりそうだよね。
『一応そこも考えてはあるのよ。優樹が寛永通宝を拾った場所、あそこを起点にして探せばいいと思うの。他にも寛永通宝があるとしたら、それはあの辺りだとしか考えられないじゃない?』
う~ん……
「けど、移動はどうするの? 【取り込み】が目的なら、お父さんに頼むわけにはいかないよね?」
真凛はその点も考えていた。
『蓑掛山なら、一応JRでも行けるじゃない?』
前には一人で城跡へ行く事も考えていたらしいけど、さすがに女の子が一人で山頂まで登るなんていうのは、ご両親の許可が下りなかったらしい。けど、問題の場所は山の中腹……と言うか、麓から少し上がっただけだし、
『優樹もステータス値は上がってるわよね? 駅から歩いても行けるんじゃない?』
……退路は全て断たれたか。もぅ、観念して行くしかないのかな。




