表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぼくたちのマヨヒガ  作者: 唖鳴蝉
第三部 五年生 二学期
77/125

第二十二章 ぼくらが化石を掘りに行った話 2.叔父さんという人

 ~Side 真凛~


 三連休の初日の土曜日、あたしたちは(ゆう)()の叔父さんという人の車で、化石採集の現場である(さかん)(ぼら)へと向かっていた。


 ……それにしても(ゆう)()の叔父さんって、一体何をしてる人なのかしら。車は国産だけど新車っぽいし、着ている服もラフだけど上等なものみたいだし……

 (ゆう)()のお母さんの弟だって言ってたわよね、確か。でも、(ゆう)()のお母さんの実家って、お寺だって聞いた気がするんだけど……お坊さんって、そんなにもうかるのかしら?


(「あ、違うよ()(りん)ちゃん。叔父さんは僧籍にはないんだよ」)


 ソウセキ……あぁ、僧籍ね。


(「お寺とは別の仕事をしてるの?」)


 なぜか(ゆう)()がヒソヒソ声なんで、あたしもつられて小声になった。


(「うん、マネーゲームって言うのかな? それであぶく銭を稼いでる」)


 ――マネーゲーム!?


(「……株とか投機とか、そういうやつ?」)

(「うん。お母さんに言わせると、才能はあるけど適性はないんだって」)


 ……(ゆう)()の話によれば叔父さんという人は、そっち方面に天性の才能を持つ反面で、細かなところにまでは注意が行き届かない大ざっぱな性格をしているんだって。ケーヤク書なんかもしっかり読まないものだから、そのせいで毎回ひどい目にあっているらしい。……なのに、すぐにお金を稼いで損失分を取り戻せるものだから、こりるという事をおぼえないんだそうだ。

 ついでに女性関係にもルーズ……と言うか、無とんちゃくで大ざっぱなところがあって、(ゆう)()のお母さんから――教育に悪いという理由で――鳥遊(たかなし)家への出入り禁止を言い渡されているらしい。


(「……それって……ある意味で最悪じゃない……」)

(「人柄は好いんだけどね。ちなみに、お母さんに言わせると、ぼくにもその血が流れてるんだって」)

(「それって――」)


 〝困ったもんだ〟と言おうとしたところで、叔父さんが前の席から声をかけた。


「――聞こえてるぞ二人とも。運転手、兼・保護者に少しは気を(つか)いなさい」


 あたしは思わず首をすくめたんだけど、(ゆう)()ったら……


「ごめんなさい。でも、何があっても叔父さんのまねだけはするな――って、お母さんにしょっちゅう言われてるから」

「……姉貴も少しは弟の事を(いたわ)ってくれんかな……」


 今回(ゆう)()の叔父さん――興蔵(おきくら)定盟(さだあき)さんというそうだ――があたしたちの引率を引き受ける事になったのも、(ゆう)()のお母さんの言いつけらしい。(ゆう)()のお父さんとうちの両親を休ませるためにって、姉の強権で命令された――って、定盟(さだあき)さんはぼやいていた。何でも(ゆう)()のお母さんは、兄弟姉妹三人――もう一人お兄さんがいるそうだ――の中で最強なんだって。


 ……その点には同情するけど……あたしの方を妙な目で見て、〝(ゆう)()、お前も気をつけろ〟――って言うのはどういう意味なのかしら?



・・・・・・・・



 ……まぁ、そんなたあいもない会話はあったけど、あたしたちは昼過ぎに目的地の「(さかん)(ぼら)自然史博物館」へと到着した。この後は博物館の見学と、夕方に簡単な採集会のレクチャーを受けて、近くの旅館に一泊する事になる。


 博物館には今までにここで発掘された化石なんかも展示してあるそうだし……楽しみよね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ