第二十二章 ぼくらが化石を掘りに行った話 1.先生からのお誘い
お久しぶりのマヨヒガです。今回は四話構成となります。
~Side 優樹~
その話をぼくたちのところへ持ち込んで来たのは宗内先生。校外実習の時に一緒にクビアカツヤカミキリを採集した、新任の理科の先生だ。
「化石の採集会……ですか?」
「あぁ。思ったより集まりが悪くてね」
目洞っていう県内にある化石の産地で、小学生対象の化石採集会を計画しているんだけど、思っていたよりも応募者が少ないらしい。
「三連休だから期待してたみたいなんだけど……場所がね。交通の便が悪いから自家用車かタクシーしか無くて。父兄同伴というのも、親が嫌がっているらしいんだよね」
「まぁ……親としては休みたいでしょうからね。せっかくの連休なんだし」
「そう。それにその日は、サッカーか何かの三連戦もあるらしくって」
現地で一泊する事になるため土・日の二日が潰れるとあって、親たちが乗り気でないらしい。主催者と知り合いの宗内先生も、生徒への宣伝を頼まれたみたいだ。
「――けど、あまり芳しい反応が返って来なくてね」
化石の発掘というとアカデミックに聞こえるけど、実際にやる事はアウトドアだ。インドア派の文化系も脳筋の体育会系も、自分向きじゃないと思ったんだろうな。
「実際に参加してくれれば、その面白さも解ると思うんだけどねぇ……」
「それ以前のイメージ戦略で苦労してそうですね」
これが恐竜の発掘とかだったらまだ違うんだろうけど、
「生憎と今回の発掘現場は一八○○万年から一五○○万年前、新生代の新第三紀と言われる時代の地層でねぇ……」
「恐竜もマンモスも、アンモナイトも三葉虫も期待できませんか」
「そう。で、ひょっとして君たちなら――と思って声をかけたんだけどね」
まぁ、ぼくとしては興味があるし、それは先生も予想してたと思うけど……ここで予想外な食いつきを見せたのは真凛だった。
「だって、竜骨の実物が見られるかもしれないんでしょ!?」
あぁ、そっちかぁ……歴女の真凛としては、古くから生薬として珍重されたっていう「竜骨」を見る機会は外せないだろうね。だけど……
「あ、いや……『竜骨』って確かナウマン象の化石だよね? ここはもう少し時代が古いんだけど……いや……古いタイプの象なら出たかな……?」
「そもそも、どういう化石が多いんですか?」
「えぇと……貝とかカニが多いそうなんだけど……その他に能く出土するのは……確か、サメの歯――だったかな?」
「サメの歯! 『天狗の爪』ですね!?」
「え? ……あぁ、うん……そうとも言うね」
あぁ……真凛がすっかり乗り気だし……これは参加する事になるのかな? 面白そうだから、ぼくとしては参加できるなら参加してみたいんだけど……けど、お父さんを休ませてもあげたいんだよね。
「あ、いや。何だったら僕が、保護者代わりと運転手を買って出てもいいんだけどね」
「他の人たちから不公平だって言われませんか?」
「あぁ、いや……さっきも言ったように、今のところ君たち以外の参加者が絶望的なんだよね……」
どうなるかのなぁ……
・・・・・・・・
ぼくと真凛がそれぞれの家へ話を持ち帰り、両家の親たちが電話で相談を繰り返した結果……
「おぉ……参加してくれるのかい?」
「はい。ちょうど予定が空いてるからって、ぼくの叔父さんが引率を買って出てくれたんです」
……本当は、うちのお母さんに押し付けられたんだろうなぁ……叔父さんったらいつも、〝姉貴には逆らえない〟――ってぼやいてるし。
「来住野さんも一緒……って事でいいのかな?」
「はい。あたしも優……鳥遊君たちにご一緒させてもらう事になりましたから」
「いやぁ、助かったよ。他の小学校からは何人か参加者がいるそうなのに、うちの学校だけ参加者ゼロ――なんて事になったら、やっぱり体裁が悪いからね」
……先生っていうのも意外と大変なんだなぁ……




