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ぼくたちのマヨヒガ  作者: 唖鳴蝉
第三部 五年生 二学期
76/125

第二十二章 ぼくらが化石を掘りに行った話 1.先生からのお誘い

お久しぶりのマヨヒガです。今回は四話構成となります。

 ~Side 優樹~

 

 その話をぼくたちのところへ持ち込んで来たのは宗内先生。校外実習の時に一緒にクビアカツヤカミキリを採集した、新任の理科の先生だ。


「化石の採集会……ですか?」

「あぁ。思ったより集まりが悪くてね」


 (さかん)(ぼら)っていう県内にある化石の産地で、小学生対象の化石採集会を計画しているんだけど、思っていたよりも応募者が少ないらしい。


「三連休だから期待してたみたいなんだけど……場所がね。交通の便が悪いから自家用車かタクシーしか無くて。父兄同伴というのも、親が嫌がっているらしいんだよね」

「まぁ……親としては休みたいでしょうからね。せっかくの連休なんだし」

「そう。それにその日は、サッカーか何かの三連戦もあるらしくって」


 現地で一泊する事になるため土・日の二日が潰れるとあって、親たちが乗り気でないらしい。主催者と知り合いの宗内先生も、生徒への宣伝を頼まれたみたいだ。


「――けど、あまり(かんば)しい反応が返って来なくてね」


 化石の発掘というとアカデミックに聞こえるけど、実際にやる事はアウトドアだ。インドア派の文化系も脳筋の体育会系も、自分向きじゃないと思ったんだろうな。


「実際に参加してくれれば、その面白さも解ると思うんだけどねぇ……」

「それ以前のイメージ戦略で苦労してそうですね」


 これが恐竜の発掘とかだったらまだ違うんだろうけど、


生憎(あいにく)と今回の発掘現場は一八○○万年から一五○○万年前、新生代の新第三紀と言われる時代の地層でねぇ……」

「恐竜もマンモスも、アンモナイトも三葉虫も期待できませんか」

「そう。で、ひょっとして君たちなら――と思って声をかけたんだけどね」


 まぁ、ぼくとしては興味があるし、それは先生も予想してたと思うけど……ここで予想外な食いつきを見せたのは()(りん)だった。


「だって、竜骨の実物が見られるかもしれないんでしょ!?」


 あぁ、そっちかぁ……歴女の()(りん)としては、古くから(しょう)(やく)として珍重されたっていう「竜骨」を見る機会は外せないだろうね。だけど……


「あ、いや……『竜骨』って確かナウマン象の化石だよね? ここはもう少し時代が古いんだけど……いや……古いタイプの象なら出たかな……?」

「そもそも、どういう化石が多いんですか?」

「えぇと……貝とかカニが多いそうなんだけど……その他に()く出土するのは……確か、サメの歯――だったかな?」

「サメの歯! 『天狗の爪』ですね!?」

「え? ……あぁ、うん……そうとも言うね」


 あぁ……()(りん)がすっかり乗り気だし……これは参加する事になるのかな? 面白そうだから、ぼくとしては参加できるなら参加してみたいんだけど……けど、お父さんを休ませてもあげたいんだよね。


「あ、いや。何だったら僕が、保護者代わりと運転手を買って出てもいいんだけどね」

「他の人たちから不公平だって言われませんか?」

「あぁ、いや……さっきも言ったように、今のところ君たち以外の参加者が絶望的なんだよね……」


 どうなるかのなぁ……



・・・・・・・・



 ぼくと()(りん)がそれぞれの家へ話を持ち帰り、両家の親たちが電話で相談を繰り返した結果……


「おぉ……参加してくれるのかい?」

「はい。ちょうど予定が空いてるからって、ぼくの叔父さんが引率を買って出てくれたんです」


 ……本当は、うちのお母さんに押し付けられたんだろうなぁ……叔父さんったらいつも、〝姉貴には逆らえない〟――ってぼやいてるし。


()(すみ)()さんも一緒……って事でいいのかな?」

「はい。あたしも(ゆう)……鳥遊(たかなし)君たちにご一緒させてもらう事になりましたから」


「いやぁ、助かったよ。他の小学校からは何人か参加者がいるそうなのに、うちの学校だけ参加者ゼロ――なんて事になったら、やっぱり体裁(ていさい)が悪いからね」


 ……先生っていうのも意外と大変なんだなぁ……


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