第十九章 ぼくらが先生に呼び出された日の事 1.担任からの呼び出し
作者のミスによる重複投稿、大変ご迷惑をおかけいたしました。
仕切り直して新章投稿いたします。
~Side 優樹~
二学期が始まって二週間目、ぼくと真凛は昼休みに担任の遠藤先生のところへ呼び出されていた。何だろう?
「真凛ちゃん、ぼくらが呼び出された理由ってわかる?」
「う~ん……七不思議の一件じゃないわよね?」
「あれはまだ決まってないんじゃないかな? 理事さんたちとも相談してから職員会議にかける――って話だったし」
棗さんから入れ知恵されたとおり、新聞部に報告する前に、部の顧問の先生に相談したんだよね。先生もしばらく考えて、この件は学校側で預かる、部長さんたちには先生の方から事情を説明する――って言ったから任せたんだ。後になって遠藤先生から、この件は職員会議にかける事になったって、溜息混じりに言われたけど……ぼくらのせいじゃないよね?
「遠藤先生、ひどく疲れたような顔してたわよ? 美人が台なし」
……遠藤先生……美人なのになぜか男っ気が無いから、〝縁遠〟先生だなんて言われてるんだよね。ま、それはそれとして――
「だからって、ぼくらをうらむのは筋違いだよね? あれは新聞部からの依頼だったし、ぼくらは依頼を解決するべく努力しただけだよ?」
「……まぁ、行ってみればわかるでしょ。少なくともあたしは、先生にしかられる心当たりはないし」
……その言い方って、ぼくだと心当たりがあるはずだ――って言ってるみたいに聞こえるけど……心外だなぁ。
・・・・・・・・
「あぁ、折角の昼休みにご免なさいね」
「「いえ……」」
「ちょっと貴方たち二人に相談しておきたい事があったんで来てもらったのよ。……あ、七不思議の件じゃないわよ?」
先生から提案されたのは、ちょっと予想外の事だった。
「苦手な教科を教え合う?」
「あたしたちが――ですか?」
「えぇ、そう。夏休み明けの小テストの結果を見たんだけど……貴方たち二人とも、成績はそう悪くないのに、苦手科目だけ突出して振るわないのよね」
「「う……」」
「二人とも自覚はあるみたいね? 鳥楽君は理科の成績は良いのに、社会科――特に歴史が全然じゃない。来住野さんはその逆で、歴史は抜群なのに理科がアレなのよねぇ……」
……自分でも歴史が苦手なのは自覚してたけど……真凛てば、理科がアレなのか。……まぁ、結構脳筋的な言動もあったしなぁ……
「貴方たちならお互いに怯え……じゃなくて、物怖じしないようだし、共同研究とかしてるのをみる限り、仲も悪くないみたいだし、苦手科目を教え合ってくれたらちょうど良いと思うのよね。二人とも、得意科目と不得意科目の落差が大きいから」
う~ん……?
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~Side 遠藤真由美(クラス担任)~
鳥楽と来住野……学年主任から注意するようにって言われた二人か。現状では素行にも成績にも問題は無いが、当人たちの為人に鑑みて、注意しておく事が望ましい――って、言ってる方は気楽よねぇ……
下手に突くとどう反応するか判らないものを、一体どうやって注意すればいいのよ。教えてほしいもんだわ。
性格的に問題があるわけじゃないけど……どこか浮いてるのよね、この二人。ボッチってわけじゃないし、それなりに周りとも上手く付き合ってるみたいだけど。無理に他人に合わせるより、一人で本でも読んでる方がマシ――ってタイプかしらね。時々いるのよね、そういうゴーイング・マイウェイな子。放って置けば大抵は問題無いんだけど……
鳥楽優樹。マイペース万歳で集団行動が苦手なタイプ。趣味は虫採り……って、オタク候補ってやつかしら? 夏になると友達と連れだって虫採りに出かけてるみたいだし、ボッチってわけじゃないみたいだけど。
けど……鳥楽て言えばアレよね。夏休みの自由研究で、町内の有毒植物を調べ上げて公表したやつ。公園とかに結構植えられてたのが発覚して、市の公園管理課のお偉いさんが降格とか減俸とか……進退伺いって話もあったわよね。……だけどねぇ……キョウチクトウやスズラン、エンゼルストランペットなんかが有毒――なんて、普通は知らないわよねぇ……説明書にも書いてなかったし。管理課の人たちにしてみれば、災難以外の何でもないわよね……鳥楽優樹っていう名前の。
他にも……何だっけ……TRPG? あれで〝倒れている人を助けるか〟――と訊かれて、敵ならチャンスを逃さず留めを刺すと答えたんだっけ? 敵は皆殺しにするのがポリシーらしいって評判になって、当時の担任が面談する羽目になったって聞いたんだけど……当の本人は、〝やだなぁ先生、遊びですよ遊び〟――って、悪びれる風も無かったって話よね。結局、程度の違いはあれ昨今のゲームはそういうものだっていう話になって、大事にはならなかったみたいだけど……
来住野はそういう武勇伝は無いみたいだけど……いえ……クラス顔合わせの挨拶で、リンゴを握り潰してクラスメートを恫喝する――なんてのは充分問題か……
平日はほぼ連日の道場通い。けど、暴力的な性向は無し。寧ろ、礼儀正しい古武士のようだ――って……女子に対する褒め言葉じゃないわよね。……けど、本人も歴史とかには興味があるらしいし……歴女ってやつなのかしら? 喪女候補とか?
……どちらにしても、銘々勝手に動かれたんじゃ、見張るにしても限界があるし、二人一緒に纏めるっていうのは、アリだと思うのよね。
幸いにして、どちらも相手に引き摺られるようなタマじゃないみたいだし、上手くすれば牽制し合ってくれるかもしれないし。
上手くいかなかった場合は……〝混ぜるな危険〟――っていう事になる懸念が無いわけじゃないけど、この二人は単独でも充分アレなんだし、今更よね。
(〝毒をもって毒を制す〟よ)
「センセー、心の声がもれてます」
「――えっ!? 嘘っ!?」




