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異世界で魔物使いやってます  作者:
異世界に来ました
63/276

おいダンジョンのシステムバグってるぞ!

追記:これうっかり予約投稿をし損ねちゃったので明日の投稿は休みます。



「名称は「地獄の魔槍」、説明は「いかなる盾をも貫き、対象に地獄の苦しみを与えてあの世へと強制出国させる闇の槍。ただし持ち主と認められないと頻繁にこの魔槍を踏んで足が大変な事になる」ですってぇ」


「リスクが地味に高い。地味に」


「名称は「ボムスティック」、説明は「戦闘中に火の魔力をこの杖に与える事で指定した位置を爆破する事が可能。生き物に対しても使用可能。製作者は「リア充を爆発させようとしたら凄いの出来た」と供述している」……らしいわよぉ」


「おい製作者確実に異世界人だろ」


「名称は「呪いのプラチナ鉤爪」、説明は「超頑丈だしどの魔力とも相性が良いしめちゃ強いしいざという時には凄い金になるプラチナの鉤爪。ただし呪われているので装備すると魔物に襲われる。別に装備を解除出来ないわけでは無い」ってぇ」


「何故宝箱から出てきたのに呪われてるんだ」


「名称は「ホームシックの矢」、説明は「射っても射っても「お帰り」の一言で矢入れに瞬間移動で戻ってくる矢。絶対に矢入れに戻るぞという強い意志の元、上級ドラゴンの本気の咆哮を食らおうが折れない耐久性を持っている。魔力を帯びる事も可能でかなり使い勝手は良い。ただしセットの「ホーム矢入れ」を所持していないとただの矢でしかないので気をつけるように」って書いてあるわぁ」


「セットならバラ入れにせず一緒に入れてよ!」


「名称は「ホーム矢入れ」、説明は「ちょっと綺麗な装飾がされているだけの矢入れ。ただしセットである「ホームシックの矢」と共に使用すれば最高の効果を発揮する。具体的には矢が消耗品では無くなる。原材料は不明だが上級ドラゴンに踏み潰されようと傷一つ付かない耐久性を持っている」……」


「違う宝箱だけど入ってたわ」


「名称は「お望みのままに弓」、説明は「所有者の望むままの重量、形に変わる弓。自動で照準を合わせたりは出来ないが、子ネズミ程度の重さで身の丈よりも大きな弓に変形させたりが出来る。長弓からボウガンまで好きな形に変形も可能。地味に意識がある弓なので大事にしないと家出する」って表示されてるわねぇ」


「ネーミングセンスは家出したの?つか私をアーチャーにでもしたいのかこのラインナップは!」



 というか、と前置きをして私は息を思いっきり吸い、



「宝箱開けても開けてもレアしか出ねえぞ管理どうなってんだあぁぁぁああああああ!!」



 叫んだ。



「何故!?まだ十階到達前だと言うのに何でこんなにレアしか無いの!?薬草は!?回復薬は!?」


「不思議よねぇ、流石の私でもこんなの始めてだわぁ。今までならもう少し深い階層の宝箱でやっと五回に一回レアアイテムって感じだったんだけどぉ……」


「ミーヤ様のラッキーが凄過ぎるんでしょうか?」


「……人外好き、アイテム……にも、作用……?」


「あー、えーと、俺は良いと思うぞ!珍しい物いっぱい見れて嬉しいし!な!」



 フォローありがとう、コン。でも冒険好きのコンですらちょっと引いてるのが伝わってくる。過ぎたるは猶及ばざるが如し……正にこのことわざの状況だよね。レアアイテムがダブりもせず出るのは良い事だけどこんな勢いでレアアイテム乱舞されると怖い。



「……イース、私の人外好きってアイテムにも適用されるの…?」


「うーん、鑑定して見ても普通にただの人外好きの称号なのよねぇ。人ならざる「者」に好かれる、だから「物」にまで好かれる効果は無いはずなんだけどぉ……」



 全員で頭を捻っても答えは出ない。私は確かにラッキーガールの称号を持ってはいるけど、ここまでやべえ効果では無いはずだ。というかちゃんとアイテムの出現率とかもシステム的に管理されてるはずだし。



「あ」


「ハニー?」



 声を上げたハニーがおそるおそる上の右手を挙手し、もしかしてと前置きしながら、



「最近、ダンジョン内の魔物の数が増えたと言ってましたよね…?」



 と言った。うん、チェルシーさんそう言ってたね。



「あの、まさかなんですが……」


「あ、そういう事ぉ?成る程ぉ、確かにそれなら可能性もあるわぁ」



 言うのを躊躇うハニーを見つめ、イースは驚いたように目を見開いた後納得したように頷いた。え、心を読んで完結しないでよイース。



「どゆこと?」


「ハニー、多分当たってるから間違ってるんじゃって躊躇わずにその考えを教えてあげてぇ」


「はい!」



 自信無さげだったハニーの顔が、イースの言葉で少し明るい表情に変わった。



「では言いますが……ダンジョン内のシステムに、何らかの異常が起こっているのでは無いでしょうか?」


「システムに」


「……異常…?」


「って、どういう事だよ」



 何もわかりませんトリオは私、ラミィ、コンの三人である。頭上にハテナマークを浮かべる私達に苦笑いを零し、イースが説明を引き継ぐ。



「ダンジョンは基本的にシステムで大体が決まってるのぉ。魔物の出現する数や出現パターン、逃亡の仕方なんかもシステムで管理されてるわぁ。ミーヤにはそういうプログラムのゲームって言った方がわかりやすいかしらぁ?」


「おお、わかりやすい」



 確かにゲームだとモンスターの動きには規則性があるもんね。規則性ってか、そういうプログラムだからって事なんだけど。要するにこのダンジョン内部はゲームのプログラムみたいな感じで作られてるって事か。



「そして今、魔物の数が異常っていうバグが発生してるわよねぇ?つまりシステム自体にバグが発生してる可能性があってぇ、宝箱からレアアイテムが出る確率もバグってるのかも知れないのよぉ」


「成る程!」



 つまりこの異様なレアアイテムドロップ率はシステムのバグなんですね!あー安心した!良かった!この後やっべえ恐怖体験とかが襲い掛かってくる前払いとかじゃなくて本当に良かった!



「あ、ミーヤ?この後大変な事になるから幸運前払いって可能性も無くは無いから安心しちゃ駄目よぉ?」


「安心させてよ!」



 床に膝を着いて叫ぶ。そんな事楽しそうに笑いながら言わないでよ!



「ごめんなさいねぇ?ついミーヤの反応が面白くってぇ…それに可能性があるのも事実だったしぃ」


「ううう…」



 いや、うん、私の油断を締め上げる為だ。仕方ない。それにもうレアアイテムは出てこない可能性あるしね!ほらビギナーズラックだったんだよきっと!もうサービス要らないからね!



「よっし!じゃあ下行こうか!」


「あ、次は十階だからボスとバトルよぉ」


「えっ、あっ、そっか」



 そういえば十階ごとにボスとバトルだったっけ。



「十階のボスって何かわかる?」


「確かここのはオークだったはずよぉ。オーク一匹」



 ふむ、オークか……オークってあれだよね?お姉ちゃんがよく叫んでた姫騎士をエロい意味で襲う豚獣人みたいな魔物。



「間違ってはいないけど知識の偏りが酷いわねぇ」


「あれ?」


「良い?オークは斧なんかを使って攻撃してくる魔物でぇ、場合によっては戦略を使ってくる事もあるという小賢しい魔物なのぉ。つまり考える知能があるって事だからぁ、とにかく頭を切り落とす事優先ねぇ」


「気をつける事は?」


「体力多いし頑丈だから一撃で仕留めれたら良いわよねぇ。オークって結構怪力だしぃ」



 成る程、怪力はオークのイメージ通りだね。でも一撃か……イメージ通りのオークだとどうやったら倒せるかな。この鞭に風属性の魔力を付与して相手の首に巻きつけて切り落とすか?



「あ、それとねぇミーヤ」


「うん?」


「オーク、EランクからDランクへの昇格試験で狩るレベルの魔物だからぁ」


「………よーし行くよ皆!大丈夫だ狩った魔物の情報が漏れる事は無いから隠蔽出来るはず!」


「ミーヤ様、何階まで行ったかでわかるのでは…」


「うちの従魔は強いんデス!」



 勢いでごり押して十階への扉を開く。

 ……いや、うん、まだちょっとDランクには早いかなって思って。もう少しEランクで居たいんだよ。これが乙女心かな?違う?さいでっか。まあとにかく聞かれた時に誤魔化せば良いんだよ誤魔化せば。

 階段を下りて十階に到達すると、広い部屋が現れた。さっきまで迷路っぽかったのに急に広い一室になったな。中央には恐らくオークと思われる影が、イースの言ったとおり一匹…………じゃない!



「イース!イース!?オーク一匹って言ったよね!?」


「おかしいわねぇ、一匹だったはずなんだけどぉ…」



 イースの肩を掴んでガクガクと揺さぶる。おっきいおっぱいがもんの凄い揺れ方だけど今それ気にしてる場合じゃないから!いやごめん嘘ちょっとは気になる!気になるけどそれ以上にEランクからDランクへの昇格試験で倒すレベルの魔物であるオークが!オークが!



「五匹居ますね」


「…五匹…」


「斧を持ってるのが三体、槍を持ってるのが一体、弓を持ってるのが一体だな」



 三人が冷静にそう言った。そう、一匹のはずのオークがなんと五匹も居たのである。



「バグ!?これもシステムのバグなの!?システムのバグさん冒険者の命を殺りに来てない!?」


「あ、向こうが気付いたみたいよぉ」



 ゆったりとしたイースの言葉にオークの方を振り向くと、確かにオーク四体がこっちに走ってきていた。あっクッソ私が叫んだせいか!?ちなみに走って無い一体は弓を持った奴である。げ、弓引いてるし。



「弓使いは私がやるから皆残りのオークお願いね!」


「はい!」


「…ん…!」


「おう!」



 皆が返事をしてオークの方へと素早く向かって行った。弓オークは射る寸前まで弓を引いているが、照準からして私狙いだね、アレ。ならば!



「鞭さん風の魔力食わすから矢と一緒にあのオーク仕留めちゃって!」



 そう言い、鞭を振るった。次の瞬間、風の魔力を纏いながら伸びた鞭は向かって来る矢を真正面から圧し折った。凍ったバラが砕けるような容易さで矢は散った。

 しかしこれはあくまで中間地点。鞭はそのまま勢いを殺さず伸び、



「うわっ」



 ハンマーを振り下ろしたかのような大きな音と共に弓オークの頭に直撃した。衝撃によって広がった土煙はすぐに消え、見えた弓オークの頭部はチェーンソーに頭蓋骨と脳やられました?というような悲惨なケチャップ状態になっていた。



「おおう……」



 自分でやりながらドン引きしていると、伸びていた鞭がしゅるしゅると縮んで元のサイズへと戻った。お前凄い攻撃力だね……。

 それにしても、ここの所真面目に魔力を食わせてたからか鞭を動かす時の魔力消費がかなり減った気がする。魔力が馴染んだのかな?良い事だ。

 あと弓オークの惨状だが、どうやら風の魔力を纏ってたせいで本当にチェーンソーのような状態になってたらしい。ごめんね弓オーク。せめて一瞬で死ねたって事でチャラにしてくれ。



「はっ!」


「…………っ!」


「グルルルルルァァアアアアアアッ!」



 弓オークに心の中で手を合わせていると、皆もオークを仕留めたらしい。凄い光景が広がっていた。

 まずハニー。ハニーは人間姿のままで風魔法を使い、カマイタチのような風の刃でオークの股間部分を執拗に攻撃して潰していた。その痛みと衝撃でオークが斧を落とした瞬間に、足に風の刃を纏わせて首に蹴りを入れて斬首していた。戦い方が確実だけどえげっつねえやり方だった。

 ラミィはオークの背後に回り込んで咬み付き、長い下半身でオークの全身に絡み付いてボキボキベキベキィッと派手な音が聞こえるくらいに力を込めてオークの全身の骨を圧し折ったらしい。ガクンと力が抜け斧を落としたオークをそのまま丸呑みにしていた。美人のラミアがオークを丸呑みにする光景はかなり凄まじい光景だったとだけ言わせて貰おう。それ以上の描写は無理であります。

 そして最後にコン。コンはまず斧オークよりも前に来ていた槍オークを狐火で完全に丸焼きにして倒し、槍オークの背後から迫ってきていたラスト一匹の斧オークに勢いを殺さずに飛び掛って爪と手の力でオークの両腕を破壊。多分あれ骨折じゃないかな。ゴギンッて音と共にオークが悲鳴あげてたから。そしてそのままコンはオークの喉元に思いっきり食らい付いて首の骨を折った。またもやゴギャンッて音したから多分首の骨が逝ってオークも逝ったんだと思う。



「ミーヤ様!仕留めました!」


「…けぷ」


「俺なんか二匹仕留めたからな!べ、別に褒めてもらいたいとかそういうんじゃねえぞ!?」



 わあ、皆笑顔が眩しいナー。ハニーは水魔法でちゃちゃっと付着した返り血を流して私に抱き付き、ラミィは腹を擦りながら他のオークの死体を見て舌なめずりをし、コンは口元と手にべっとりと返り血を付着させながらいそいそと私の元へと戻って来た。

 はっはー、割といつもの事だけど強いって聞いてたオークをこうもあっさり仕留めるなんて流石うちの子だよね!現実逃避などしていない。



「……うん!皆凄いね!良い子良い子!」


「はい!ちゃんと仕留めました!」


「別に俺はミーヤに褒めてもらいたいとかそんな事を思ってるわけじゃなくて……そう!俺はこんなに強いんだぞっていう自慢をだなむぐっ」


「うんうん、まずお口拭こうね」



 とりあえず抱きついてきたハニーを右手で撫でつつ、左手でアイテムポーチから出した布を水魔法で塗らしてコンの口元を拭いた。うーん、ちょっと拭いにくいな。光魔法もちょっと混ぜて血が落ちやすいように…あ、良し落ちた。



「ラミィ?あと一匹だけなら食べても良いけど残りの三匹は駄目よぉ?」



 倒されたオークを回収しに行ったイースが、私の倒した弓オークに涎を垂らすラミィにそう声を掛ける。



「……………………………わかった」



 返答が遅いな!

 ラミィはしぶしぶといった様子で頷き、頭部が大変な事になっているオークを頭から丸呑みにする。はい、今回も描写はありませんよ。

 にしてもラミィ、他のオークも丸呑みする気だったのか。ちょっとビックリした。腹ペコさんが過ぎる。



「はいコン、手も拭いちゃってね」


「おう」



 コンの口元を拭っていた布を渡して手を拭くように言う。そしてフリーになった左手でコンの頭を撫でる。右手はまだハニーの頭を撫でてるのでフリーでは無い。



「♪」


「う、嬉しくなんか無いんだからな!?」



 尻尾を振りながらそう言ったコンにそうだねーと返す前に、ハニーが目を細めながら言う。



「私はミーヤ様に撫でていただけて嬉しいです♪」



 手の平に頭を押し付けながらそう言うハニーはとても可愛いです。語彙力?そんなものは無い。表情筋がだらしなく緩むのを感じながらハニーの頭を撫でる。



「あ、う………俺だって、その、嫌じゃ…ないけど」



 顔を真っ赤にして俯きながらそう言ったコンもとても可愛いです。語彙力は死んだ。私に尻尾が存在してたら今多分やべえ事になってただろうなと思いながらコンの頭も撫でる。え、何この空間。天国?



「天国じゃなくてダンジョンの内部よぉ。オークも仕舞い終わったからそろそろ次の階に行くわよぉ?」


「あ、そうだった」



 二人の可愛さにうっかりダンジョンの中って事を忘れてたぜ。さっきまでオークの無惨な死に様に慄いてたのにね。可愛いは正義って言葉、本当だった。

 とりあえず撫で撫でタイムを終了して次の階に行こうとすると、ラミィがするりと腕に絡み付いてきた。



「…ラミィ?」


「………ラミィ…も、撫でて……」


「オークに夢中になってたのラミィだよね?」



 しかし可愛いので撫でる。普段ラミィの頭は私より高い位置にあるんだけど、こうやって撫でて欲しい時や構って欲しい時は同じくらいの目線の位置になるから撫でやすい。下半身が蛇だからこその自由自在感だよね。

 ラミィのサラサラな髪を梳くように撫でながら地下十一階に下り、軽く探索をすると何かを見つけたらしいイースが手を振って声をあげた。



「ミーヤ、また宝箱があったわよぉ」


「……流石にもうレアは出ないよね?」


「さぁ?」



 くすくすと笑いながらイースは両手を肩の位置に持ってきて首を傾げるジェスチャーをした。わかんないって事なのね、そうなのね。

 まあシュレディンガーの箱の猫のように、開けなければ薬草が入ってる宝箱の可能性だってあるわけだし!開けないと中身がどうかわかんないけどね!



「闇魔法、サーチ」



 宝箱に対してサーチを掛けると、トラップは仕掛けられていなかった。よし安心。一旦息を吐いて、腕に抱きついていたラミィに離れてもらう。うん、腕におっきいマシュマロおっぱいの感触は最高でござりました。



「ではごかいちょーう」



 宝箱を開くと、今回初めての普通のアイテムが、



「無かった!」



 宝箱の中にはとってもキラキラした短剣が入っていた。



「これは…名称「流星ダガー」、説明は「これを装備すると流星のようなスピードが出せるかもしれないし出せないかも知れない。これを活かせるかは所有者のレベルと素早さ次第である。このダガーを枕の下に置いて頭の中で流れ星の数を数えると十回流れるまでには眠りに落ちる。不眠症もこれで解決☆」って出てるわぁ」


「何故戦闘方面が曖昧でサブ能力だと思われる安眠の方がしっかり説明されてるんだ」



 称号と同じで鑑定の説明文もどっかで誰かが絶対面白がって書いてるだろ。時々ふざけてるもん。

 ゆっくりこっそりと宝箱の蓋を閉めようとしたが、やはりこの流星ダガーも宝箱から私の足元に転がってきた。床に刺さったりしないから良いけど刃物が足元に転がってくるって中々に肝が冷えるよね。

 それなのに何故閉めようとするのかって?保身の為だよ!レアアイテムあつめしてるわけじゃないんだよこっちは!うっかりこのダンジョンでゲット出来るレアアイテムコンプしちゃったら変なフラグが立ちそうじゃん!それだけは回避したい!

 まあでも流星ダガーをここに放置したらまた追いかけてくる可能性があるし、背中をブッスリ刺されたくは無いから仕方なく流星ダガーを手に取ってアイテムポーチに仕舞う。もうこのアイテムポーチの中貴族の宝物庫みたいになっちゃってるよ。私の腰に凄い財宝が下げられてるって考えると心臓が一回り縮みそうな気分になるよね。



「ええい気分を変えよう!さあ階段探すよ皆!」


「そうねぇ」


「はい!」


「……ん。ラミィ、何も……見なかった…」


「おう!宝箱は見えてないからな!スルーしたからな!」



 全員がもうこの流れに慣れてきてる。レアアイテムを見つける度にアイテムポーチに入れては見ない振りだもんね。意味はあるのかって?私のメンタルを守るという意味があります。



「あ、階段」



 結構近くに階段があった。本当は私、ゲームのダンジョン系は全部の道を歩いてマップを完成させてアイテム全部ゲットだぜ派なんだけど、リアルでそれやるのはかなり時間がかかるから階段を見つけ次第下りる事にしている。ゲームとリアルだと歩く距離とか使用時間とかバトルとか色々面倒なのよね。

 ……スマホはあるけど、普通の携帯ゲーム機とかも持ってきてたら遊べたのにな。私が学校にゲームを持ち込まない真面目タイプだったばっかりに…!

 そんな事を考えながら階段を下りようとすると、



「……!ミーヤ、ストップ!」



 と言ってコンが私の前に腕を出した。通せんぼだ。



「え、何?」


「誰か来る」



 コンはすんすんと鼻を鳴らし、階段の向こう側を見る。



「……冒険者だな。数は三人。三人とも男。血の匂いがする。全員怪我をしてて、一人が背負われてる。背負われてる奴はかなりの重傷だな。気絶してるらしい」


「マジでか」


「マジだ」



 マジか……。この階に来るまで何人かの冒険者と擦れ違ったりはしたが、皆無傷か軽傷レベルだった。やっぱり十階から下だと魔物のレベル上がるのか…と思っていると、荒い息遣いと共に怪我だらけの冒険者が階段を上ってきた。



「はぁっはぁっはぁっ!」


「だ、だれっ、誰かっ」



 階段を上りきり、焦った様子で息を荒げながら周囲を確認した冒険者達と目が合った。



「「いたあああああああ!!」」


「ひえっ」



 目が合った瞬間指差された!しかも叫ばれた!

 コンが言った通り三人組のようだが、一人は血を流しながら気絶し意識がある片方に背負われていた。そして背負っていない方が私に血走った目で近付いてくる。

 ……えっ、私何かした?



「君!」


「あっはい」



 余裕が無さそうな表情の青年が私の肩をガッと掴み、叫んだ。



「俺らのせいで領主様死ぬかもしれない!お願い助けて!銅貨五枚あげるから!」



 必死かと思ったけどお金の話出来るなら結構余裕あるな?この人。



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