ダンジョン探索
「おお……ザ・ダンジョンって感じだね」
ダンジョンの入り口に居た係員の人に私の分銅貨二枚と従魔四人の分銅貨四枚を支払い、現在私達はダンジョン内部に居た。ちなみに係員の人には中で死んでも責任取れないからその辺よろしくと笑顔で言われた。笑顔で言うなよ。
「ミーヤ!ミーヤ!遺跡の中みたいな内装なのに草食ヘビ居たぞ!」
「うわ本当だ」
はしゃいだ様子のコンが仕留めて持ってきたのは確かに草食ヘビだった。草がある場所にしか生息しないはずなのにダンジョンの中には居るんだ……。うん、ダンジョンなら何でもアリか。なら仕方ない。
「ダンジョンの中は結構ランダムな魔物が出現するのよねぇ。基本的に浅い階層であればある程よく見る魔物が、深い階層であればある程珍しい魔物が居たりするわぁ」
「へえー…」
イースの解説に成る程と頷く。確かにダンジョン系って、レベル低い場所では弱い魔物しか出なかったりするもんね。
「……ミーヤ、ここ、落とし穴……あった」
「えっ大丈夫!?」
「…ん」
端の方を移動していたラミィの方を見ると確かに大丈夫そうだった。落とし穴は結構深そうな落とし穴だったが、蛇部分の下半身が数メートルはあるラミアだったのが幸いしたらしい。落ちる前に尻尾の方で踏ん張って回避したようだった。
「これは壁にスイッチがあったのねぇ。ラミィ、ここ押したぁ?」
イースの言葉に、ラミィは目を逸らしながら首を横に振った。
「……触れた、だけ」
「触れただけでもトラップは作動しちゃうのねぇ。ミーヤ、気をつけるのよぉ?」
「了解でっす!」
ビシッと敬礼してイースに返す。イースとハニーは飛べるし、ラミィは長い下半身でフォロー出来るし、コンも五感が優れてるから大丈夫だろうけどただの人間である私は即アウトだね!
「一応鞭を手に持っておいた方が良いわぁ。危険な時は勝手に動いて助けてくれるでしょうしねぇ」
「あ、成る程」
確かに私の鞭は自動で動いてくれるもんね。基本的にバトルは従魔の皆がすぐに終わらせるからその考えが無かったわ。
右後ろ、腰に下げてる黒くて細い鞭を手に取る。魔力は食って良いからピンチの時とかに守ってねと念じる。あ、今ちょっと魔力食われた。オッケーって事かな?
「ミーヤ様!ここの曲がり角に宝箱がありました!」
「えっマジで!?」
「マジです!」
ちょっと童心に戻った気分でハニーの方へ近付くと、確かに曲がり角の所の壁に小さな窪みがあった。そこに綺麗な箱…イメージそのままな宝箱が設置されていた。
「宝箱自体は地面と同化してるような状態で持ち上げられませんでした。開けますか?」
「開けようぜミーヤ!」
「……わくわく」
おお、全員初めてのダンジョンでノリノリだね!ハニー楽しそうだし、コン尻尾振ってるし、ラミィも目がいつもより輝いてるしで私もちょっとテンション上がってきたよ!
「よっしゃ開けよっか!」
「はいストップぅ」
私のテンションを落ち着かせる為なのか、私の頭にポンと軽い力でイースの手が置かれた。
「まだ最初の階だから魔物も少ないしぃ、トラップも殺意低め。それは事実よぉ」
そう言ってイースは私の頭から手を放し、少し厳しい目付きで私を見ながら両手で私の頬を軽く摘まんだ。
「でもここから下に潜ると殺意が増えてくるから今の内に宝箱イコールトラップの可能性も考えるようにする事ぉ!宝箱を開けた瞬間に背後の壁から頭狙いの矢が放たれる事もあるんだからぁ、ちゃんと警戒してちょうだぁい」
「ふ、ふひはへんへひは……」
いかんいかん、うっかりテンション上がって忘れてたけどここリアルファンタジー世界だったわ。宝箱に即死トラップが仕掛けられてたら死んでたね。うっわ怖い。
頬を摘ままれた状態だとまともに喋れないからイースの手の上から私の手を被せて摘まむ動きを止めさせ、イースにお礼を言う。
「教えてくれてありがとうイース……危うくいきなり天国まっしぐらコースだった」
「まったくもぉ…」
ふぅ、とイースは扇情的に溜め息を吐いて私の頬から手を放した。そして後ろの皆の方を向いてイースはビシッと指を差して言う。
「お局様命令!皆もちゃぁんと警戒を強めておく事ぉ!ここは観光地じゃないのよぉ?」
「はい…」
「………ん」
「本で知ってたのに、つい本物のダンジョンに興奮して……。…気をつける」
「よろしい」
高かったテンションを少し下げ、反省した様子で頭を下げた皆にイースは頷いた。
「でぇ、ミーヤ」
私の方に向き直り、イースは宝箱を指差す。
「あの宝箱、どうやってトラップがあるかないかを探るかわかるぅ?」
「わかりません!」
即答である。現代日本でダラダラと生きてきた女子高生がトラップの見抜き方を知っているはずが無いからね!サバゲー経験者な女子高生ならわかったかもしれないが、生憎とただの一般人である。申し訳ない。
私の即答にイースは少し微笑みながらも困ったように眉を下げた。
「まあ、確かにシーフや暗殺者でも無いとトラップは見抜けないわよねぇ。でも一つくらいは考えてみてぇ?」
「うーん…」
一つくらい…。イースが暗殺者やシーフならって言ってたのは、トラップを仕掛ける側だから見抜けるって事なのかな?つまり私には不可能である。暗殺者もシーフも私の仲間に居ないし。
トラップ…トラップの見抜き方か……。
「魔力感知で探る?」
「惜しいわぁ」
「惜しいのか…」
うーん、駄目か。魔力感知は良い考えだと思ったんだけどなと首を傾げると、イースは惜しいの意味を説明してくれた。
「良い?魔力感知はあくまで魔力を感知するだけなのぉ。確かに発動すると魔法が放たれるようなトラップを仕掛けたりぃ、魔法でトラップを仕掛けたりする場合もあるわぁ。でも基本的にトラップっていうのは糸と石で出来ちゃうようなものなのよねぇ」
………あ、成る程!意味がわかった!そりゃ魔力感知使えないわ!
「原始的なトラップの場合、魔力感知じゃ気付けないって事か!」
「その通りよぉ♡」
私の言葉に、イースはにっこりと微笑んだ。
はー!成る程成る程!魔法が仕掛けられてたり、トラップが魔力を発してたりすれば感知可能だけど原始的な石だの木だのじゃ無理だわ!だって魔力込められて無いもん!
「でもそれでは結局トラップを見抜けない、という事で終わりませんか?」
「あっ」
ハニーの言葉に現実を思い出す。そういやこれどうやってトラップを見抜くかの話だったわ。
「……コン、の、五感……は?」
「あー……出来なくはねえけど、多分今は無理」
ラミィの言葉に目を逸らしつつ、頭を掻きながらコンは言う。
「矢が放たれたりしたらわかる。矢が殺意を持って構えられたりしてもわかる。それは音として感知出来るからな。でも仕掛けられたトラップに気付けるかどうかは経験が必要なんだ」
「経験?」
どういうこっちゃろ?と思って首を傾げると、コンは説明してくれた。
「例えば宝箱に毒が塗られてたとする。それが無味無臭の毒だったとしても獣人なら気付ける。匂いがおかしいからな。でも石だの糸だの、そういうトラップは難しいんだ。それらの匂いの位置からトラップなのかを見抜くには、まずそのトラップを経験しないといけない」
「何故ですか?」
ハニーの問いに、あー……と目を逸らしながらコンは答えた。
「知らないから」
テンションが下がったのか少し耳を伏せながらもコンは続ける。
「トラップを経験したら、同じような配置をされてるから前に経験したトラップだなってのがわかる。でも経験してなかったらただの石や糸にしか感じれないんだ。一回危ないってのが本能に刻まれれば反射的に察知も可能になるけど、経験してない状態じゃどれだけ危険なのかが理解出来てないから反応し辛い」
「成る程」
パブロフの犬みたい。いや、戦場の軍人の方が近いのか?こう……アメリカの人とかが銃声を聞くとすぐに伏せるみたいな?多分合ってると思うけど私の理解力というか所持している知識がクソなせいでわかりやすくないな。パブロフの犬が一番しっくり来る。
「ってあれ?結局何度か経験しないとコンも見抜けないって事だよね?」
「そうなるな」
「ハニーとラミィは?」
「すみませんミーヤ様、キラービーはあくまで蜜を採取して蜂蜜を生成するくらいしか出来ない種族なので……」
「……ラミィ、温度、見える……。温度、おかしかったら、わかる…」
つまりイース以外全滅って事だよね。
「イース先生、こういう時はどうするのが正解ですか?」
「まぁ、基本的には開ける前に私を呼んでくれれば「鑑定」でトラップがあるか無いかは判別出来るわぁ」
あっ、そういやイース鑑定スキル持ってたね!
「でも私が居ない時に不便だからぁ、その内でも良いから危険察知とかのスキルを覚えてねぇ?」
「すんませんイースさん、危険察知とかどうやって覚えるんですか」
私、スキルを意図的に覚えた事無いんでわからないっす。スキルも称号も勝手にゲットして勝手に増えるものなんだよ私にとっては!
そう思いながら挙手してそう返すと、イースはああ……というような表情になって困ったように目を細めながら頬に手を当てた。
「バトルで危険が身に迫れば勝手に身に着くけどぉ、ミーヤの場合は私を筆頭に従魔全員が守るから身に着かないわねぇ。違う方法を考えないと駄目だわぁ」
どっちにしろ危険察知のスキル、普通にしてたらゲット不可能だったご様子。
「じゃあ一番手っ取り早い方法を先に教えちゃいましょうかぁ。本当は危険察知のスキルを覚えてくれるとミーヤの自己防衛スキルにもなって良いかと思ったんだけどぉ、私達のガードが固すぎて無理だものねぇ」
人差し指を立てて良い考え!って感じの笑顔でイースはそう言うが、ガードを緩めるって考えは無いんだろうか。無いんだな。無いのはわかったからちょっと影が掛かった笑顔でこっち見るのは止めて。イースを筆頭に従魔全員が私を愛してくれてるのは知ってるから。疑ってないから。
「……もぅ、心の中での冗談だったとしても従魔のミーヤ愛を甘く見ちゃ駄目よぉ?」
「冗談でも甘く見ちゃ駄目なのか……」
「甘くはありますがドロッドロに濃厚な愛ですから」
「…ん、そして、マグマ……みたいに、熱い……」
「冗談に出来ないくらいには従魔として真剣に愛してるしな!」
「あれま私ってばめっちゃ愛されてる」
全員からの愛がおもーい。まあ重いくらいで丁度良い気もするから良いか。血を見る事になるようなやべえヤンデレは流石に引くが、そうじゃないレベルの重さなら背負えるから大丈夫。
もっとも背負えないレベルの重さ持ってこられたら潰れるけどね!どうも一般人ですよろしく!
「で、一番手っ取り早い方法って?」
「魔法でサーチしちゃうのよぉ。本当はかなり高度な魔法なんだけどぉ、ミーヤなら妄想癖のスキルとオリジナル魔法作成のスキルであっさり作れると思うわぁ」
あっ、あー!成る程その手があったか!手が無いなら手を作れの精神ね!そっかそっか!困ったらとりあえずオリジナル魔法作ってどうにかすれば良いのか!めっちゃ腑に落ちた!
思わず笑顔で拍手すると、イースは少し不機嫌そうな表情になった。
「普段から魔法を頼りにしてるとぉ、魔法が使えない状況になった時困るのはミーヤよぉ?だからこそ魔法以外のやり方を考えさせたって事、理解してねぇ?」
「あっはい」
イースが本気で先生だった。でもマジで仰るとおり過ぎて肯定以外の返事がねーわ。
うーん、と唸りながらイースは小声で呟く。
「まぁ、ミーヤは気楽人間の称号も持ってるからそのくらいの考えで良いのかしらねぇ…?」
「小声でボソッと言っても聞こえてるであります」
「聞こえるように言ったのよぉ。じゃあ早速実戦ねぇ。魔力の属性は光か闇のどっちかがおすすめよぉ」
うん、まあそれしか無いよね。火、水、氷、風、土の五つの中からどうやってサーチすんねんってなるし。強いていうなら風と土が辛うじて出来るかも知れないが、辛うじてって思う時点でお察しだ。
「ちなみにぃ、私は闇の方がおすすめかしらねぇ」
「理由は?」
「魔物のサーチにも有効だからぁ♡」
ハートが浮かんでいる瞳を細めてイースは言う。
「光のサーチ魔法は存在するのぉ。主に使用してるのは病院や教会ねぇ。怪我した場所をサーチしたりぃ、呪いが掛かってるかどうかをサーチしたりぃ、体調とかをサーチしたりぃ」
けれど、とイースは人差し指を口元に持ってきて片目を瞑る。
「そのサーチは光の魔力を帯びてるわぁ。普通は出来ないけどぉ、ミーヤの妄想癖のスキルなら足元から魔法を放って周囲一帯の魔物や人間、地形までサーチが可能なはずよぉ。その時に光の魔力でサーチするとぉ、魔物が反応して居場所を探ってるっていうのが魔物に伝わっちゃうのぉ。これって良く無い事でしょう?」
「襲撃の為とかだったらアウトだね」
オッス俺冒険者!油断してる魔物見つけて仕留めっぞ!って思ってたら相手に察知されて逃げられましたとほほって事になってしまう。逃げられるって事は相手の魔物が移動するって事でもあるし、それは良く無い。
「だから闇の魔力でサーチするのよぉ。基本的に魔物は光に弱い、けれど闇には強いのぉ。だから闇の魔力でサーチすればぁ、魔物は「ん、今何か……気のせいか」くらいにしか思わないわぁ」
「おすすめっていうかもうそれ闇サーチ一択だよね?」
そうツッコむと、イースはふふふと微笑んだ。成る程ちゃんと説明した上でどうして闇がおすすめなのかを理解しなさいって事なのね。うん、そうだね、説明は大事だもんね。無知は危険だもんね…。
「じゃあ早速実戦、かな?」
「そうねぇ。最初は目の前の宝箱だけをサーチするイメージでやってみてぇ。最初からこのフロアをサーチしたら大変だものぉ」
「そりゃそうだ」
イースの言葉に私は笑う。いきなりそんな大技発動させたらMPめちゃくちゃ持ってかれちゃうもんね。
「んじゃ…闇魔法、サーチ!」
まず闇の魔力を、足元から波紋が広がるようなイメージで広げる。脳内では私を中心にマップが作成される感じのイメージが浮かび上がった。
イース、ハニー、ラミィ、コンの反応がある。一応色を付けて判別がすぐ出来るようにしておこう。これ本格的に脳内マップみたいだな。んで、目の前の宝箱の反応は………うん、ただの宝箱ですね。
完全に何の仕掛けも無い宝箱である事を認識し、ふぅっと息を吐いて私はサーチを解除した。
「出来たみたいねぇ?」
「うん、何のトラップも無い宝箱だった」
イースの言葉に笑ってそう返す。浅い階層だし、トラップが無い宝箱ってのはわかってたけどね。イースも言ってたし。あれ、言ってたっけ?いや言ってないな。殺意は低いけどとしか言ってないわ。こういうところが危ないんだな私。
「では、開けても大丈夫という事ですね?」
「あっうん、そうだね!」
ちょっと回想しててハニーの言葉に反応が遅れてしまったが、まあそういう事だよね。
「んじゃ、ごかいちょーう」
目の前の宝箱を開くと、まだ低い階層だからか典型的な感じで薬草が中に………無かった。
「……イース、こういう階層でこんな金ぴかの剣が宝箱から出てきたりするの?」
「出てきたら金策の為に冒険者がもっと沢山来るわよぉ」
ふぅ、とイースは宝箱から目を逸らしつつ色っぽい溜め息を吐いた。私も溜め息を吐きたい気分だけどイースみたいに色っぽい溜め息は吐けないなー。ええはい、現実逃避でありますよ。
「なあミーヤ、これってレアアイテムって事か?」
はしゃいでるのか耳をぴるぴると動かしながら、コンが隠しきれて無い笑顔で私に問う。コンの素敵な笑顔は癒しだが、私は乾いた笑みで返すしかなかった。
「…はは、そうじゃないとこんな浅い階層の宝箱に金ぴかの何か神々しい剣入ってるわけないよね…」
「……ラッキー…?」
首を傾げたラミィの言葉が腑に落ちる。そういや私もイースもラッキーガールの称号持ってたわ。それを思い出していると、イースが宝箱の中の金ぴかの剣に「鑑定」を使ったらしい。少し驚いた様子でイースが目を見開いた。
「これ、このダンジョンにしては凄い剣ねぇ。名称は「回復の剣」、説明は「柄に嵌められた輝石に所有者の魔力を思いっきり叩き込む事で所有者を登録可能。敵を斬り付けた分だけ所有者のHPが回復する。所有者を確定しない場合、この剣で傷付けた相手の負傷を回復させる事が出来る。毒や火傷などの状態異常を治す事は不可能」って出てるわぁ」
「こんな低いフロアで出て良いアイテムじゃない!」
「ほ、ほらミーヤ様、レアアイテムですから!レアアイテムならこのくらいの効果が無いと!」
イースの説明に顔を覆って嘆いた私の背をハニーが二つの左手で擦りながらフォローを入れた。うん、ごめんつい混乱して。気を使わせてごめんねハニー。良し、ちょっと落ち着いた。
「とりあえずこの剣は……持つの怖いし宝箱に仕舞い直す?」
レアアイテム相手に普通ならあり得ないだろうチキンハートな私の提案に、
「ミーヤが良いなら良いわよぉ」
「それでミーヤ様が安心するのであれば私も良いです」
「……ん、食べれない……し…」
「勿体無えけど…ミーヤがそれで良いなら俺は従うぜ」
と、全員があっさり頷いてくれた。
何て良い従魔達!感動に震えながら私はささっと宝箱の蓋を閉め、
「あっ」
る前に中から剣が飛び出して私の足元に転がった。
「……え、放置拒否?」
「付いて行きたい、という事でしょうか…?」
いや、私に聞かないでハニー。私もこの状況に困惑しているんでござますよ。意思を持った剣なの?そうなの?どうなの?
「……あ、そういやギルドで冒険者が話してたよね…」
私は思い出す。ギルドで話していた冒険者の会話……確かその内容は、
「同じタイミングでアイテムを見ちゃって、所有権がどっちを選べば良いか困った挙げ句にイケメンの方にアイテムが飛んで行ったとか何とか…?」
ひやりと私の背中を冷や汗が伝ったのを感じた。
「つまり…」
ハニーは困った顔で金ぴかの……回復の剣を見る。
「宝箱を開けてミーヤが目撃した時点で、所有権がミーヤのものになったから」
顎に手を当てて、コンもチラリと回復の剣を見た。
「……もう、ミーヤ…の、物……?」
同じく回復の剣に視線を向けながら、ラミィがボソリと呟いた。
「………マジか」
「えぇと……ミーヤ?一応ダンジョンの外に出たら手放せるようになるはずだから大丈夫よぉ?ダンジョン内だけで発動するシステムだと思うわぁ」
皆の反応に対し、床に手を着いて少し落ち込むとイースが背中を軽く叩いてフォローを入れてくれた。
「…………私も初めて見たけどぉ」
小声でボソッと言うの止めてイース!イースすら初めて見るってどんだけレアな現象なんだよ!?あ、いやどっちかというと私の反応がレアなのか。皆宝箱の中身を持っていく人ばっかりだったんだろうな。アイテムを見なかった事にして去ろうとする人が居なかったんだろう。はっはー私ってば珍種。
「……うん、とりあえずアイテムポーチに入れるか…」
凄まじい効果を持つ回復の剣に対し、普通ならテンションマックスだろうに私はテンションサゲサゲ状態でそう呟く。こういう目立ちそうなの苦手なんすよ。とりあえず持ち手を掴み、武器を扱う才能の無い私が振り回したら危険だしなとゆっくり安全な動きでアイテムポーチに回復の剣を突っ込む。
良し、入った。ぐるりと皆の方に振り返って私は大きめの声で言う。
「さてダンジョン探索続行するよ!私達は今何も見なかった!良いね!?」
「ふっ、ふふふっ……そうねぇ」
「はい!見ませんでした!次の宝箱が初めて見る宝箱です!」
「……見てない…」
「でもいきなりの宝箱であんな凄いのが出たら、他の宝箱でもレアアイテムが出たりしてな」
コン、それフラグって言うんだよ。




