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異世界で魔物使いやってます  作者:
異世界に来ました
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ダンジョンがある町、イルザーミラ



「いやあ本当ありがとうございましたミーヤさん!正直もうクビになるしかないなと思ってたので本当に助かりましたよ!正直言って護衛する側であるミーヤさんの実力が低いと必要以上に移動時間掛かっちゃうかなーどうかなーって思ってたんですが、想定よりもずっと早く到着しましたよ!しかも強いし!従魔の皆さんの反応も素早いしで魔物が居る!って言った次の瞬間には魔物倒されてるし、馬車に忍び込もうとした魔物もあっさり倒すしで本当に本当に感謝しかありません!良ければ報酬をもう少し上乗せ…え!?要らない!?本気で言ってるんですか!?あ、ああいえ商人として金は大事なのでつい本音が。いえいえ、要らないというのであれば良いんです。ですがこちらの紙だけは受け取ってください!この紙は私が所属しているフィリップス商会の商品が一割引になる紙なんです!フィリップス商会の品を購入する際には使ってくださいね!あ、一回使ったらもう使用不可能という事は無くて、普通に何度も使えますからご安心下さい!フィリップス商会が存在する限り使い続けれますから!それではありがとうございました!私は商人ギルドの方に行って商品を卸してきますね!ではまた機会があったら!」



 怒涛の勢いでそうまくし立て、護衛依頼の依頼人であるハーティさんは去って行った。渡されたこの紙を私はどんな顔して見れば良いんだろうね。報酬上乗せを拒否したのは事実だがこの紙を渡されても困るぞ。あと一生フィリップス商会とやらの商品一割引って考えようによっては報酬上乗せよりもずっと良い品なのではなかろうか。



「まあ得したって事で良いんじゃなぁい?」


「うん、まあ、そうなんだけど」



 良いのかな。良いのか。良いって事にしておこう。

 現在、私達はイルザーミラの町に居た。グレルトーディアから丸二日掛けてこの町に来たが、道中は思ったより大変じゃなかった。だってコンの索敵めっちゃ有能だったもん。遠い距離の魔物もすぐサーチして報告して、キラービー姿になったハニーが魔物を仕留める。時々馬車まで来る魔物も居たけどそういう魔物はラミィが仕留めて丸呑みに。イースはバレないように少し魔法を使って馬車に追い風を吹かせて移動時間を短縮したりと、皆それぞれ凄い働いてくれた。私だけ馬車に乗ってるだけだったな。



「ミーヤだってハニーとコンだけじゃ対応し切れなかった魔物を始末してたじゃなぁい」


「まあすり抜けてきた魔物を魔法で仕留めたりはしたけどね?」



 お陰で私のレベルも上がったし。グレルトーディアで魔物討伐とかしてたからか、今回のでレベルが40になった。ってイースが言ってた。夜に宿屋で確認しようかな。



「ミーヤ!ミーヤ!早くギルドに依頼達成したって報告してダンジョン行ってみようぜ!」



 ぐいぐいとテンション高めなコンが私の袖を引っ張る。やっぱコンって冒険好きだよね。



「あっ、いや、その、別にダンジョンなんて一生見る事も入る事も出来ないんだろうなって諦めてたから今なら行けるってはしゃいでるわけじゃねえからな!?ただちょっと、依頼受けたりする前に下見は大事だって考えてるだけだからな!」


「うんうん、わかってるって。色々考えてくれてありがとね」



 顔を真っ赤にして弁解するコンの頭を撫でて落ち着かせる。最近はコンも撫でられるのに慣れてきたのか私が手を出すと頭を下げてくれるようになった。コンって身長高いから頭下げてもらわないと手が届かないんだよね。

 さておき、この依頼の紙をイルザーミラの冒険者ギルドに持っていかないとね。報酬はもう貰ったけど、ちゃんとギルドに報告しないと点数が加算されないらしい。何の点数かはよく知らない。昇格試験受けれるかどうかじゃないかな。



「すみませーん、依頼達成したんで報告に来ましたー」


「はいはーい、依頼達成のご報告ですねってあら?始めましての子ね」



 受付嬢のお姉さんに話しかけると、お姉さんは私の顔を見てそう言った。



「はい、この町に来たのは初めてです」


「そうなのね、この町は良い町だから滞在中は是非満喫していって!ダンジョンもあるし!あ、ギルドカード出してくれる?」


「はーい」



 気さくなお姉さんだねこの人。薄茶色の長い髪をゆったりと結んでて、垂れ目なのも合わさって本とかが似合いそうな見た目なんだけど。



「ふんふん、ミーヤちゃんね。グレルトーディアからイルザーミラまでの護衛依頼。若いのにちゃんと護衛依頼こなせて凄いわね!」


「あはは、ありがとうございます」



 気さくってか近所のおばちゃんみたいな人だな。返してもらったギルドカードをアイテムポーチに仕舞う。



「お、またチェルシーがはしゃいでる」


「面食いチェルシーがはしゃぐって事は顔が良いって事だな!?よっしゃ話しかけようそうしよう!」


「そこうるさいよ!面食いチェルシーって呼ぶな!私はただ綺麗な顔が好きなだけよ!」


「お前美形にだけ贔屓すんだろうが!俺ら相手にそんな優しい言葉掛けた事ねえだろ!」


「そうだそうだ!泥塗れで依頼達成の報告しに来たらお前俺に向かって「臭い。帰れ」って真顔で言ってきたし!今でも悪夢として夢に見るんだからな!」


「ちょっと勝手に出演させないでよ!次その夢見たら出演料取るからね!?」


「ひっでぇ!!」


「まあ、うん、泥塗れはね…」


「掃除するのギルドの人だし、そう考えると泥塗れ相手じゃ対応もそうなるか…」


「そこの女共聞こえる音量でヒソヒソ話すんの止めろや!」



 あ、良かったこのイルザーミラもグレルトーディアみたいに面白い人達ばっかりだわ。安心した。この人達となら仲良くなれる。

 離れた位置に居る冒険者達と言い合ってた受付のお姉さんは軽く咳払いをしてから優しい微笑みへと表情を変えた。



「ごめんね?急に大声あげちゃったりして」


「あ、いえ生き生きとしてたんで気にしてないです」


「あらあらまあまあ!」



 私の言葉にお姉さんは瞳をキラキラと輝かせた。



「ミーヤちゃんったら良い子ね!見た目だけのクズだとこういう時に図に乗って「まったくだ」とか「職務怠慢だ」とかほざくんだけどね?ちゃんとお姉さんの素を認めてしかも生き生きとしてるって言ってくれるなんて!そうそう出来るもんじゃないわよ干し肉いる?!」


「あ、ありがとうございます…?」



 何故かハイテンションになったお姉さんに干し肉を貰ってしまった。これアレかな?大阪のおばちゃんが飴くれる感じのやつなのかな?砂糖がお高いファンタジー世界では飴の代わりに干し肉を渡すのか。異世界ギャップ凄い。



「さっきのうるさい奴等が言ってたけど、改めて自己紹介するわね。私はチェルシー。困った時はお姉さんに言うのよ!お姉さんは可愛い子の味方だから!」


「あっはい」



 受付のお姉さん、もといチェルシーさんに両手を強く握り締められた。受付嬢からキャラが濃いんだよなこっちの世界。やだ、日本人のキャラ薄すぎ…?

 いや、ニヤ猫の主は神様相手にクロスカウンターで相打ちまで持ってける人だったらしいからそうでもないな。日本人も充分キャラ濃いわ。



「あ、じゃあ聞いておきたい事があるんですけど」



 後ろに誰も並んでいないのを確認してから私はそう言う。後ろに誰か並んでたら迷惑になっちゃうもんね。するとチェルシーさんは生き生きとした顔で瞳を輝かせながら言う。



「ええ勿論幾らでも話すわよ!可愛い子の質問なら何でも答えちゃう!お姉さんの住所?給料?あそこの男の名前?昇格試験の内容?それともあそこの男は踏まれるのが好きっていう性癖とかかしら?」


「おいこら待て!」


「俺のプライバシーが!」


「踏まれるのが好きで何が悪い!」


「え、何お前ら踏まれるの好きなの?」


「お前も?」


「マジかよ仲間だったのかお前ら…」



 あ、チェルシーさんの言葉に反応した三人の男性が固い握手をして友情を結んだ。周りの冒険者が少し引いてるのに気付いた方が良い…いや、気付かない方が良いんだろうか。



「はあ!?お前靴派!?素足ブーツ、かーらーの湿った素足が良いに決まってんだろ!」


「んだと!?土に汚れた靴で顔踏まれてからの「舐めろ」が一番だ!」


「靴も靴下も素足も大歓迎だが、俺は鼻が折れるんじゃないかと思うくらいの力で蹴られたい!」


「「お前だけ踏まれたい派とはちょっと違う!」」



 一瞬にして喧嘩が発生した!?というか真昼間から赤裸々に性癖を丸裸にすんのはどうかと思うぞよ!?つかこっちからしたら三人共大して変わらないよ!どんぐりの背比べか!

 私と同じくあの三人に注目していたチェルシーさんはふぅと溜め息を吐き、綺麗な笑顔で私の方へと視線を戻した。



「ごめんなさいね?あいつらは後で簀巻きにしてダンジョンの二十階に放り込んでおくからイルザーミラの冒険者ギルドを嫌わないでくれる?」


「笑顔で言う事じゃないっす!」



 しかも二十階って地獄の使者よりおぞましいあの漆黒の弾丸が住まう階じゃないですかやだー!



「あの、えっと、あの人達に関しては大丈夫なんでそれは止めましょう!それは駄目です!」


「ミーヤちゃんってばあんな害虫三人衆にまで優しいのね!干し肉あげちゃう!」


「あざっす…?」



 何故かまた干し肉貰っちゃったよ。

 ……いやいや私も大人しく干し肉を受け取ってアイテムポーチに入れてどうする!質問をしろよ私は!流されるなよ!…いや、うん、あの展開には流されるしか無かったか。なら仕方ない。



「えっとですね、ダンジョンについての説明って聞いても良いですか?」


「勿論良いわよ!何でもお姉さんに聞いて!」



 物静かな書店員さんみたいなビジュアルなのに凄い明るい性格だねチェルシーさんって。



「ダンジョンに入るにはお金を払わないといけないのかとか、持ち帰っちゃ駄目なのがあるかとか、そういうルールを聞いておきたいんです」



 私の言葉に、チェルシーさんはうんうんと頷きながら私の頭を撫でた。



「そういうのをちゃんと先に聞こうとする子は良い子よ!お姉さん感心しちゃう!じゃあギルドの受付嬢のお姉さんがダンジョンのルールを教えちゃうわ!」



 チェルシーさんは説明し始める。



「良い?まずダンジョンはこのイルザーミラの領主様の管轄なの。だから維持費とかもろもろで入場料が必要なのよね」



 あ、やっぱり入場料要るんだ。日本のテーマパークみたいに高いんだろうか。



「まあでも入場料は一人銅貨二枚だからそこまで高く無いし、安心して良いわ。あ、でもミーヤちゃん魔物使いだったわよね?」


「はい。…あ、従魔も入場料が要るとかですか?」


「そうなのよ」



 チェルシーさんは溜め息を吐く。



「まあ一応ね?一応従魔とかなら半額の銅貨一枚で良いの。でもやっぱり出費が増えちゃう事には変わりないのよね」


「あー……でも銅貨一枚なら助かります」


「そう?それなら良かったわ。あ、それに普通のパーティに比べたらずっと安いのよ?普通のパーティの場合は安くならないから人数分払わないといけないし!そう考えるとラッキーガールよミーヤちゃん!」



 よっしゃラッキー!ラッキーガールの称号ありがとう!

 というか本当にチェルシーさんが近所のおばちゃんみたいだ。なんというかこう、空気とノリと口調が凄くおばちゃんっぽい。見た目若いお姉さんなのに。



「あと持ち帰っちゃいけないの、とかは無いわ。ダンジョン内で見つけたお宝は持って行っても勝手に復活するから、好きに持ち帰っちゃって良いわよ!」


「他の冒険者と取り合いになったりは?」


「しないしない!先に見つけた方に所有権あるから!先に見つけた方がどうぞって言えば渡せるけどね!」



 ほうほう、その辺はちゃんとルールがあるんだ。ルールっていうかダンジョンのシステムなのかな?



「あー、取り合いなー」


「俺、前に他の冒険者とまったく同じタイミングで宝を見つけちゃったせいで所有権がどっちつかずって状況になってさ、困り果ててたら相手の冒険者の方がイケメンだったからか宝が自分から相手の冒険者の腕の中にシュートされた事がある」


「どういうことだよ」


「うっせぇ宝に振られたって事だよ言わせんな!」


「宝が自分から主選ぶとかあるんだ」


「しかも顔目当て」


「そういや前にバーバヤガ出身のクソ冒険者が自分のゲットした宝をその辺に放置して、それを拾った冒険者に喧嘩売るっていう罠仕掛けてたりしなかったっけ?」


「ああ、あれ?通報があってすぐに領主様がそいつら捕まえてたわよ」


「流石よね、領主様!」


「まあ領主様いっつも脱走してはダンジョンに潜ってるから秘書であるアイザック様がキレてるけどな」


「領主様とアイザック様って兄弟なんだっけ?」


「そうそう、母親違い」


「へー、俺も姉ちゃんと母親違うから親近感湧くな」


「複数婚とか普通だしな。でも昔は一夫一妻が基本だったらしいぜ。勇者が複数婚も同性婚も推奨したから、それ以来結構何でもアリになったっぽいけど」


「マジか。何か賢くなった気分」



 冒険者達の会話がめっちゃ面白い。というか普通に勉強になりますって感じだ。複数婚だのなんだのは勇者の仕業だったのか。いや、お陰で私に白い目が来る事無くて良いけどさ。

 ……ん?そういうシステムがあったから従魔ハーレムが出来ちゃったのか?



「まあダンジョンはそこまで厳しいルールも無いから大丈夫よ!冒険者同士で殺し合ったりは流石にアウトだけどね!助け合いならオッケーよ!」


「そう言われるとちょっと安心します」



 うん、細かいルールがあると把握出来ないもんね。でもお触り禁止なスポットがあるとかでは無いらしいから安心だ。



「あ、でもダンジョンに潜るならちょっとだけ忠告!」


「忠告?」



 首を傾げてオウム返しすると、チェルシーさんは真剣な顔で言う。



「最近、ダンジョン内に出現する魔物の数が増えてるの」



 チェルシーさん曰く、ダンジョン内には階段があってそこから降りていくらしい。勿論そこから上に戻る事も出来るが、深く潜ったらすぐには入り口まで戻れない。

 一応その問題を無くす為に勇者が作った「帰ろうワープくん」というのがあって、階段のすぐ近くにギルドカードを翳す認証システムがあるらしい。その認証システムにギルドカードを翳せばすぐ入り口まで戻れるけど、認証システムにたどり着く前に力尽きたらアウトだから気をつけるように、との事だった。

 成る程、増えた魔物によってピンチに追いやられるかもしれないから気をつけてねって事か。それよりも勇者のネーミングセンスにちょっとツッコミたいけどね!



「下に降りれば降りる程フロアも広くなっていくの。だから元来た階段の所までダッシュすればセーフだぜ!とはいかないのよね。広いって事は帰り道も遠いって事なんだから。調子に乗って深く潜り過ぎちゃ駄目よ?特に二十階にはおぞましいものが居るから絶対に十九階までで戻って来る事。お姉さんとの約束よ!」



 お姉さんさっきそのおぞましい階に冒険者放り込もうとしてませんでしたっけ。

 でも好意による助言はありがたい。



「はい!深入りしません!」


「よし良いお返事!」



 ちなみにだが、ダンジョンは月の初めに内装が変わるからダンジョンの地図などは無いらしい。



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