第十三話 三柱
査問会議が終了後、俺は国王陛下直々にお呼ばれした。
「君には改めて感謝しなくてはいけないと思ってね。 息子もこれからは反省し、民に愛される人になれるように努力するであろう。 そこでだ、君に息子の教育係をお願いしたいのだが、どうだろう? 引き受けてはくれぬだろうか? 」
「そんな…… おれに教育係だなんて務まりませんよ」
「息子の悪さはこの国の民も気づいていただろう。 そして、私も……。 しかし、気づいておきながらも、言えなかったのだ。 父であってもな。 その甘さが出てしまうのだ。 だから、君なら息子を良い方向へ導いてくれると感じたのだ。 レイジ殿! 息子をどうか頼みます」
「頭をお上げ下さい国王陛下! 分かりました。 おれにうまく教育係が務まるとは思って無いですが、宜しくおねがいします」
「ありがとうレイジ殿。 何か困った事があれば、いつでも私を頼ってくれたまえ」
国王陛下によると、王子は謹慎処分の後、俺が経営する旅館で働かせることになるそうだ。謹慎処分は2週間程だと言うことだ。それまでに、旅館を完成させなければいけなくなってしまった。それにしても、あの王子の教育係なんて俺にできるだろうか? そっちの方が心配になってしまった。
王宮を後にした俺達は、スコット家とも一旦お別れをし、山小屋に戻ってきていた。旅館の建設は一時中断し、明日からまた再開することになった。この間に俺は考えなくてはいけない事がある。それは、旅館を経営していくにあたって、旅館の目的、目標のようなもの(経営理念)を考えなくてはいけない。従業員に示す組織の行動指針である。簡単に言うと俺達が目指したいことは何かと言うことだ。その目的に向かって仕事をすることで、俺達の評価に繋がり、客が増えて、収入にも影響していくことになるだろう。しかし、ここは異世界だ。元いた世界なら、こんな風に堅苦しく考えていたかもしれないが、俺は第二の人生。もっと楽しく生きると決めたんだ。俺の考えは決まっていた。
俺はみんなを集めた。
「みんなに、聞いてほしいことがあるんだが、いいかな? 旅館を経営するにはみんなが一つにならなくてはいけない。 その為の目標を考えたんだ」
「聞かせて頂きたいです」
イチが俺の話に返事をしてきた。
「難しいことはおれも嫌だったんだ。 だから、目標は笑顔、仲間、楽しむの三柱が良いなって思ったんだけど、どうかな? 」
「……」
皆が静まり返ってしまった。これを目標にするのはまずかっただろうか。もっと、長めのやつとか第二候補も考えときゃ良かったと思ってしまった。
「ど…… どうかな? 」
「これは…… すばらしいです! あえて、短くして覚えやすくし、誰でも思いつくような言葉だが、取り組みやすいです」
「あ…… ありがとうイチ。 貶しているのか、褒めているのか分からないが……」
「おいらも頭は使えないが、これなら分かる」
「レイジ様らしいですわ。 そうよねお姉さま? 」
「お主の考えなら、従うまでだ。 異論はない」
「みんな、ありがとう。 では、この三柱でいこうと思う。 これから忙しくなると思うけど、みんなで、協力して乗り越えていけるように頑張ろうな」
「「はい」」
こうして、目標の三柱が決まった。明日からまた頑張ろう。
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