迷子の師匠
地下3階。先程と違い、フロア全体が明るい。電気でも入れたのかな。お陰で私の殊技がいつも通り影しか使えない状態になった。
辺りを警戒しながら、進んでいると奥から銃声が聞こえて来た。まさか進化したジェノサイドが銃を持っているのか? それは進化し過ぎではないか? そんな考えが過ぎる。
私は慎重に銃声のした方に向かうと……
「純菜」
「佳月……」
そこには、まさかの純菜が居た。久々の登場だ。
純菜は私の登場に驚いてコチラに銃口を向けて来る。なので私も銃口を純菜に向けた。
「た、助けてくれ……」
息も絶え絶えな感じの声が聞こえて来た。この声はイネスだ。そして、イネスの声は横の部屋から聞こえる。横の部屋には純菜の奥にある扉から行く事が出来る様だが、生憎と目の前に純菜が居り、行く事は叶わない。私がどうしようか悩んでるいる間に再度銃声が鳴り響いた。
それを機にイネスの声は聞こえなくなった。もしかして始末された?
目の前の純菜は引き金を引いて居ないので、違う誰かが引き金を引いたらしい。さぁ、誰だろうか
「終わったぞ……。何だ佳月、来ていたのか。探す手間が省けた」
「正解は久遠でしたー」
まさかの花蘇芳兄妹の登場である。本当にまさかだ。そう言えば師匠が宝具の気配は2つとか言ってたな
久遠は右手に銃を持ち、左手に剣を持っている。その右手にある銃を私に突きつけ、不敵に笑って来た。どうでも良い事だが、この部屋に居る奴は銃率高いな
「へぇ……。久遠って銃使えるんだ」
「当たり前だ。純菜より上手い」
「それはダメだろう」
純菜より銃の扱いに長けていたら、純菜は立つ瀬が無いだろう。例え自分の方が上手いと思っていても言ってはいけない事もある。私の様にな! しかし久遠は聞く耳持たない。六花、聞く耳持たない奴多くないか?
「イネス殺った?」
そんな下らない議論しても時間の無駄なので、単刀直入に聞いてみる
「あぁ。殺った」
私の問いに久遠は素直に教えてくれた。しかし謎だ。イネスは王の手先の筈で、久遠も王の手先だ。何故、久遠がイネスを殺すのか?
「ふっ……。解せないと言った顔だな。まぁ、良い。教えてやろう。イネスは俺たち兄妹の実父の仇でもある。今まで散々探して来たが、まさか王が庇護されていたとは……」
久遠は実父をイネスに殺されたらしいので恨んでおり、いつか復讐する気だった様だ。そういえば、師匠が言っていた気がする。イネスは師匠とハイド、久遠、3人の父親達を殺したとか。
そこで今回、ベロニカと共に私達の捕縛or殺害を命じられた際、イネスが関係していると知り、これはチャンスだと思い、味方の援護だと思わせて油断させてイネスを亡き者にした。後は、適当に誤魔化して報告すれば完全犯罪の完成である。
「うわぁ……」
イネス、恨み買い過ぎー。そんだけ恨み買ってたら命が幾つ有っても足りないだろう。
「話は終わりだ。俺は今、高ぶっていてな。発散に付き合ってもらう」
言うや否や、久遠は私に向けて銃をブッパして来た。難なく銃弾を避けたが次は純菜が仕掛けて来る。まさかの花蘇芳兄妹のタッグである。夢のタッグ。こんなの勝てる訳無いじゃないか!
障害物を盾にしながら私達は銃撃戦を繰り広げる。いつぞやに銃弾を買い占めていて良かった……。
久遠は自身で自賛していた通り、確かに上手い。それに+奴の殊技が追加されているので非常に厄介極まりない。私が動こうとした場所に向けて撃ってくるなんて反則だ!
隙を突いて部屋から脱出したが、久遠は追って来る。続く銃撃戦に疲労が溜まってくる。あれ? 純菜が居ない。純菜は何処?
純菜の行方が分からないまま久遠と銃戦が続く。先を見る事が出来る久遠の前に出る事は、自殺行為なので銃で久遠を牽制しつつ後退。師匠と合流を図る。しかし、何処まで逃げても師匠に会えない。まさか、また迷って居るのか?
「師匠と離れるんじゃなかったな!」
なんであの人は直ぐに迷うかな!
そんな事を思いながら、走って久遠から距離を取って居ると前方に人影発見! 助かった……。恐らく師匠かハイドだろう
「違った⁉︎」
まさかのベロニカだった。何でここに居るの⁉︎ ギースはどうした? まさか負けたのか?
私の絶叫後、ベロニカの剣が飛んで来た。慌てて避けて曲がり角を曲がると
「……ッ」
「イデッ!」
ハイドと衝突した。こんな所に居たのかよ
「イネスは何処だ」
「今、それどころじゃないから!」
後ろからベロニカと久遠が来てるから!
「チッ!」
ハイドも2人に気付いたらしく、連れてきた私に非難の視線を向けて来る。仕方ないだろう!
「リンドヴァルは?」
「師匠は……多分、迷子」
「……チッ」
結論、師匠の加勢は期待できない。なので私とハイドで応戦しなければならない。狭い通路で銃片手に持つ男と剣を自在に飛ばせる男の相手はキツイだろう。なので一旦退き、広い場所に出る事に。ハイドと走って広い場所を探したが、なかなか見つからない。そうこうしている内に背後から剣と銃が飛んで来くる。ハイドが後ろを振り返り、久遠に殊技を掛けてみたりしているがベロニカが邪魔でなかなか上手くいかない様だ。
「まさに弱者。肉食動物に追われる小動物の様だ」
「ほんそれ」
角に身を隠し、銃で牽制しながら対策と雑談をする。雑談をしている暇は無いが、ここまで追い詰められると雑談もしたくなって来る。
このままではラチがあかないので打って出る事に。覚悟を決めて、出ようとした所で背後で爆発が起きた。
「ギース!」
「あ、生きてた」
「勝手に殺すな」
爆発を起こしたのはギースだった様だ。ギースが合流した為、戦力は五分五分になった。
勝てるか?
どうでも良い『人物設定』
花蘇芳 久遠
髪色:純菜と一緒
殊技:一手先を見る(頑張れば3手先まで見える)
階級:ドクトゥス
年齢:28歳
備考:リンドヴァルと幼馴染。リンドヴァルには及ばないが天才と言われている。暗殺等、不意を突くのが得意で、不意を突けば最強のベロニカさえ殺せると言われている。拷問は六花内で1番上手い。彼に掛かればどんな強者もたちまち情報を吐き出すらしい。
妹が居るが興味は無いし、愛情もない。なので平気で拷問にかける。イネスに父を殺され、イネスを恨んでいる。父の後を継いで六花に入る事を決意。後に22歳で六花に入る。
先を行くリンドヴァルに並ならぬ感情を覚えており、いつか彼を拷問に掛けたいっという黒い野望があった。しかし今は弟子である佳月にそれが向いている。
好みの女性は「強い女」であり、稀に花弦の女性に手を出してみたり……。今は佳月に強い執着がある




