激突! 純菜&No.5&No.9vs私
扉を開けて部屋に入ると、直ぐに銃声が聞こえた。私の真横を銃弾が掠める。あぶねー
「随分な挨拶だね、純菜」
中には可哀想な程に震えて怯えているコルネリア様、そしてコチラに銃を向ける純菜と、いつぞやに見た花弦No.5とNo.9が居た。また混戦確定か……。
今、体調優れないんだけどな
「……お前が来るとは思わなかった。てっきり、カーディナリスかベルナール辺りが来ると」
「私でしたー! ザマーミロ! 残念でした! 師匠とハイドのあんちきしょーは、まだ牢獄だよ。見捨てて来たんだ!」
だって色々と満身創痍な私が六花のラミルとグロキシニアを同時に相手出来るはずはないし、そしてカミルに駆けつけられても不味かったので、早急に離脱する他なかったのだ。
「先程、お前が逃げ出したと通達があった。できれば生捕りとの命令だが、無理なら殺して構わんとも言われている」
「宝玉の在処は、お前に聞かずともお前の師に聞けばいいからな」
口を噤む純菜に変わり、他の花弦が話を進める。
「そう。言っとくけど、大人しくする気はないからね」
存在を忘れかけていた兄をその辺に転がし、私は戦闘態勢を取る。手に持つのは2丁の銃だ。いつも持っている刀は今回使うつもりはない。何故なら、私の体は絶不調だからだ。
先程ラミルから拷問を受けた際に何かの薬品を使われたらしく、それの副作用か本来の作用かは知らないが体が鉛のように重く内側から軋む様に痛んでいる。
「ゲホ、ゲホ……。あー、つらぁ」
咳が出て、体のあちこちが痛い。まったく酷いことをするなぁ!
「顔色が悪いな。相当、酷くされた様だ」
「まぁね。六花の奴ら、加減というモノを知らないから困るね。師匠然り」
軽口を叩きながら、勝算を計算する。今の私の体で近距離での戦闘は長く続かない。ならば、あまり動かず体力を消費せず、尚且つ体に負担の少ない戦い方をして、花弦3人を相手取らないといけない。
それに、グズグズしていれば応援が来てしまうかもしれない。カミルに来られたら厄介だ。以上の事から今回は勝つのはキツイだろうからコルネリア様を奪還して直ぐにズラかる。それが私の勝利としよう
「純菜の真似事か?」
No.9の男がニヒルな笑みを浮かべ聞いて来る。私はそれには無言で返す。別に純菜の真似事ではない。純菜の銃は拳銃ではなくライフルだ。そもそも構え方が全然違う。お前の目は節穴か!
「どれだけ持つか見ものだな!」
そう言うと同時にNo.5とNo.9は動き出した。私も迷わず引き金を引き応戦。
「ゲホッ! あぁ、もう!」
結局、銃で戦おうが近接戦闘になった為、私の蝕まれた体は悲鳴をあげる。喉が焼ける様に熱くなり、変な咳が出る。
片方の銃で相手の動きを牽制し相手の接近を防ぎながら、もう片方の銃で奥から攻撃して来る純菜を攻撃。自画自賛になるが、この体で3人を抑え込めている私は、やはり凄いのでは?
というか、純菜が戦ってる所を始めて見た。長く共に旅をしていた筈なのに何でかなぁ。
「ゲホッ! ゲホッ! コホッ! えっ? わぁお……」
咳で集中力が切れながら、何とか応戦を続けていた私。特に酷い咳が出て来たので、物陰に身を潜め咳が治るのを待った。
目は相手の動きを捉えたまま、左手の甲を口に当て咳をすると、手の甲に血がベッタリ付いた。どうやら血を吐いた様だ。
これはマズイ。相当、キている。血を吐き出すなんて内臓がヤバイのかもしれない。それか毒か?
「チッ!」
こうなった以上、作戦変更。銃を仕舞い、刀を出す。そして近くに腰を抜かし、へたり込んで居る兄の首根っこを掴み、自分の持ち得る最高の速度でNo.5に接近。右腕を難なく切断した。
このご時世、腕くらい直ぐに治るし、引っ付くし大丈夫だろう。そう勝手に解釈し相手が怯んでいるうちに純菜の元まで一気に駆け抜けた。
銃の得意な純菜は近接戦闘が大の苦手。なので懐に入ってしまえばコチラのモノ。私は刀を影に戻し、空いた拳で純菜の腹に強烈な一撃を叩き込んだ。
「すまん純菜!」
崩れ落ちる純菜を視界の片隅で捉え、私はコルネリア様の元に。震えて居るコルネリア様を抱き上げると影に入り高速でこの場を後にした。
物陰から出てコルネリア様奪還まで恐らく数秒もかからなかったと思う。超高速だ。私の考えでは、だが。
影に入り移動したり、普通に廊下を走ってみたりしながら、あの3人からかなり遠ざかった。追っ手は無い。
別に兄様は置いて来ても良かったのだが、一応は兄弟なので助けてやった。感謝しろよな!
「コルネリア様。大丈夫ですか?」
誰も居ない安全そうな場所にて、一時身を潜める。そしてコルネリア様の安否を確認。もしかしたら安息を打たれて、【お人形】と化してるかもしれない
「僕は大丈夫だ。すまない」
打たれてはいなかった様だ。しかし、まだ震えが止まらない。相当、怖い思いをしたのだろう。幼い女の子に、なんて仕打ちをするんだ!
「ゲホッ、ゲホッ。あ、ヤバッ」
私の咳は止まらず、むしろ悪化の一歩を辿っている。血が止まらない。コルネリア様もヤバイが私もヤバイ。助けて師匠。
そして、兄様もヤバイ。首根っこを掴んでいた所為か兄様は窒息していたらしく白目を剥いている。戻って来い兄様!




