一ツ葉
その後、師匠と話していると、いつの間にか寝落ちして居たらしく朝起きると師匠のベッドで寝て居た。どうやら自分が思っていたより、疲れていたらしい。
「師匠に悪い事したな」
師匠何処で寝たんだろう。
◆
リビングに行くと、既に皆んな揃って居た。
「おはようございます。師匠、昨日はすみませ……」
「貴様! イネスを取り逃がしたのか⁉︎」
師匠に挨拶しようとすると、珍しく感情的になったハイドが掴みかかって来た。
「あー……。ごめん」
「アイツがどれだけ危険人物か分かっているのか!」
随分と御立腹らしく体から黒いオーラが出ている。イケメンが怒ると迫力あって怖いな
「止めろハイド。取り逃がしたのは惜しいが、イネスに接触出来ただけでも良い」
師匠がハイドを止めてくれた。ふぅ、助かった……
「イネスは慎重な奴じゃ。逃げ道を複数用意しており、尚且つ罠も沢山用意しておる。初見で奴に接触出来ただけでも十分じゃ」
「あぁ。ギースの言う通りだハイドよ。イネスに会い、情報を得ただけでも良しとしよう」
ギースとコルネリア様も続く。それを聞いて、やっと手を離したハイド。襟首を容赦なく掴まれたので服が伸びた
「場所は?」
かなりドスの効いた声でハイドが問うてきた。こっわ!
「言えるけど、もう入れないと思うよ? だって入り口閉じてたし、出口も無かったし。恐らく、基地を破棄するにあたり、誰も出入り出来ない様にしたんじゃないかな?」
まぁ、私は影を通れば出れるし入れるのだが
「……お前はどうした?」
「影通った」
「……」
納得したのかハイドは席に着いた。私も座ろうかと思い、空いてる席を探す為、グルリと一周見渡せば、何やら暗い顔のアスター。
そういえば、ハイドの父はイネスに殺されたんだったな。ならばアスターもか
「話の続きだが、今後はイネス戦も視野に入れていく。奴が白を持っている以上、追わねばならない。それに個人的に恨みもある」
コルネリア様は母君を殺されたんだっけ。そりゃ、恨むな
私は席に座る事無く、リビングを後にする。そして、部屋に戻りベッドに横になって考える。実は師匠にも言っていない事が有るのだ。
それは奴の研究所内を散策中に壁に血で描かれた絵を見つけた。絵と言うより模様なのだが。
その紋様を私は見た事が有る。壁に血で描かれた模様、それは私達の一族『一ツ葉〜六ツ葉』まで有る家系の1つ【一ツ葉】の家紋だった。
一ツ葉といえば思い出す事がある。
私達の一族は代々【六ツ葉】の者が当主を務めるのだが、六ツ葉の次期当主様より【一ツ葉】の若君の方が優秀だった為、今代は【一ツ葉】の若君を次期当主にしないかっと提案されていた事があった。
それに反発した【六ツ葉】側の人間に嫌われていた若君だが、私とは違い彼は男性だったので一族内でも一定数の味方がいたから実害は無かった様だ。幼いにも関わらず殊技が使えたのも理由の一つだろうが、一族は男尊女卑な所があるので女である私は一族総出で嫌われたが、一ツ葉の若君は妬む六ツ葉だけでするでいたのだ。
それはかなり昔の話、私が次期当主様をボコボコにする前の話だ。
あまり記憶に無いが、その若君は私より8つ年上の優しく強い、お兄さんであった筈だ。因みに私の兄と同年代だ。
そんな若君はある日突然姿を消した。一族総出で血眼になって探したが見つからず、当時は才能を妬んだ六ツ葉による暗殺かと言われていたが真相は闇の中。
そんな一ツ葉の家紋が何故、あの施設に有ったのか、とっても謎だが私達の一族が関わっている事は間違いなさそうだ
「師匠に言おうにも、家庭の問題だしな」
なので師匠にも伝えず、1人で悶々としているのだ。
「はぁ……」
ゴタゴタ考えても仕方がない。手掛かりは、あの血文字だけなのだ。答えなど出る筈も無い
「寝るか」
考え過ぎて頭がパンクしそうなので、スリープモードに入りまーす
◆
今日も今日とてキャンピンは走る。あれから数日経ったが、悩みを師匠にも他の誰にも打ち明けていない。
「はぁ……」
「なんじゃ? 悩み事か?」
「まぁね。でも大した事じゃない」
いつも通り助手席でジィジの助手をしている我。今は【スルスラー】という国に来ている。
【スルスラー】には白の気配が無いので、素通り予定だ。なので、次の街で補給した後、直ぐにこの国を発つのだ
「にしても……。不気味な場所だなぁ」
「そうじゃな。誰も居らんわ」
対向車はおらず、前にも後ろにも車はいない。大きめな道路なのに人気が全くなかった。なんだか、とても嫌な予感がする。
そのまま、暫く走り続けると、後ろのリビングの方が騒々しくなり始めた。
「五月蝿いぞ! 今、運転しとるのが分からんのか!」
「え⁉︎ ジィジ?」
横に居るジィジがリビングに居る者に怒鳴る。珍しい光景だ。ジィジが怒るなんて。しかも、貧乏ゆすりまで始めた。何かイライラしてない?
「ジィジ、落ち着きなよ。事故るよ」
「五月蝿いわ! 運転手は儂じゃ!」
なんだか様子が可笑しい。後ろのリビングに居る者達も激しく口論している様だ。皆んなイライラしてる。
「佳月、お前は平気か?」
前に師匠がやって来て問うて来た。何の事だか分からないが、取り敢えず頷く。すると頭を撫でなれた。何故⁉︎
「クレマチス。次の街は諦めて、その次の街に向かってくれ」
「なんで命令されなイカンのじゃ! 運転手は儂じゃ!」
本当に様子が可笑しい。後ろのリビングでも、未だに口論が続いている。口論しているのは、純菜とコルネリア様で、アスターはハイドに突っかかっている。珍しい光景だ。
ハイドは我関せずを貫いている。ギースも同様だ。この2人は何時も通りだな
「いいから、聞け。死にたいのか?」
「え? 師匠、どうしたんですか?」
ジィジを脅しだした師匠。突然どうした?
「チッ! これだから強者は」
ジィジは言われた通り、別の街に向かうべく道を変更した。そして暫く走ると、突然
「なんだか急に機嫌が治ったのぉ。はて? 何故、さっきまでイラついとったのか?」
ジィジが元に戻った! 後ろの3人も元に戻り大人しくなっている。
「師匠どう言う事です?」




