海蛇!
「うわー。海蛇、久しぶり」
私は何度か海蛇と対峙した事が有る。父が漁に行く時に着いて行ったら何度か遭遇したのだ。なので交戦歴もあるし何とかなるが……
「どうする⁉︎ 海上での戦いは、このメンバーでは無理だぞ?」
「近接は絶望じゃしの……遠距離が得意なのは純菜くらいなものだ」
「このキャンピン、何か装備は付いているのか?」
みんな甲板? に出てきて騒がしくし始めた。皆、海蛇の相手をしたことが無いらしい。
あ、また船が沈んだ……
「安心せい! このキャンピンには兵器を搭載しとる! 水中戦はなんのそのじゃ! だが、水上戦は無理じゃぞ」
「それ、激しく意味ない!」
わーわー、なっている皆んなを他所に、純菜は銃を取り出し構える
「私が何とかする! 今こそ力を示す時だ!」
滅茶苦茶、張り切ってました。
「はーい、私もやるよー」
私も立候補しておく。戦った事あるから、倒し方も知ってるしね!
「大丈夫なのか?」
コルネリア様が不安気な様子で聞いて来る。これは、どの『大丈夫なのか?』なのかな? 『本当に倒せるのか?』って意味なのか、『熱は大丈夫なのか?』って意味なのか……
「大丈夫です! 私、海蛇とは戦った事、何度か有るし」
「有るのか⁉︎」
ずいっと顔を近づけてくる純菜。それにドキッとしそうになった。私は無言で頷いた。
「大丈夫、大丈夫。海蛇の倒し方を教えてしんぜよう!」
海蛇の倒し方の正攻法は、先ず硬い殻を柔らかくする為に雷系の魔法を当てる。海蛇は水属性みたいな感じなので雷が弱点でもある。この雷系の魔法を当てると、殻が柔らかくなり、攻撃が通りやすくなるのだ。そしてジワジワと攻撃して、殻に穴を開けて行く。ある程度、穴が空いたら、最後は火系の魔法でこんがりと中身を焼けば出来上がりである。
「です! 因みに海蛇は食べると美味しいよ!」
得意気にみんなに言うと、暫く考え込んだ師匠が
「なら、佳月に任せる」
そう言い、コルネリア様を連れてキャンピン内に引っ込んだ。まぁ、師匠は魔法は苦手だし、遠距離で戦う方法がないから、今回は役立たずになるしね。
師匠の意見に賛成なのか、他の面々もキャンピン内に入って行く。誰も手伝う気なしかよ。魔法が不得意な師匠は分からんでもないが、ハイド、お前は魔法は得意な分類だろうが! ちょっとくらい手伝えや! 唯一、純菜は残ろうとしたが、ギースに戻る様に言われて渋々戻っていった。
「そして、誰も居なくなったー」
1人ぼっちになりました。
「お⁉︎」
黄昏てていると、キャンピンが揺れ私はバランスを崩す。そして落ちた。
「海、冷たっ⁉︎ 後、痛い! 凄い沁みる! ハイドめ!!」
傷に海水が沁みる! 地味に痛い! 畜生、ハイドめ!
昨日ボロボロにしてくれたハイドを恨みながら私は思案する。さて、どうしようかな。水の中では戦えない事も無いが、行動が制限されて辛い為、取り敢えず水から出る。
「よいしょっと」
私は掛け声と共に水面に上がり立ち上がる。水面には波により影が出来る。その上に私は立っているのだ。水面や水の中は比較的影が多く、夜程では無いが戦いやすい。なので水上&水中戦はお手の物なのだ!
「あ、来た」
そうこうしている内に海蛇は私と言うかキャンピン目掛けてやって来る。それを迎え討つ私。カッコ良くない?
海蛇の正面方向にて待機。顔を出した時に勝負を仕掛けるつもりなのだ。
「来た!」
海蛇が顔を出し、攻撃しようとした瞬間に
「【雷花火】!!」
雷系の魔法を撃ち、海蛇の弱体化を図る。
雄叫びを上げ、のたうち回り苦しむ海蛇を避けながら、更に追い討ちをかける様に殊技で作り上げた弓と矢を海蛇に向ける。そして放つ! ハイドへのイライラを全て海蛇にぶつけた。人はこれを八つ当たりと言う。
「ちぇー、外したー」
動き回る海蛇の頭部を狙ったのだが、手元が狂ったのか、久しぶりに矢を射たからなのか、狙った頭部からは大きく外れ長い体の一部に命中。大きく抉れはしたが、海蛇では致命傷にはならないだろう。まぁ、このまま当所の予定通りチクチクと殻に穴を開けて行くとしよう。
緑の体液を撒き散らしながら、のたうつ海蛇。怒った海蛇は標的を私に変え、攻撃して来た。私は攻撃を躱しつつ、殊技を使ったり氷柱を放ったりしながら、チクチクと殻に穴を開けていく。
流石に危機を感じたのか、水中に潜り始めた。しかし、逃げる素振りは無い為、海蛇は狩りを続行するつもりなのだろう。ならば、コチラも続けるまでである。
先程の失敗を汲んでか水面に顔を出さなくなった海蛇は、次にキャンピンに向かう。水中で襲う気だ
それに気が付いたキャンピンは水の中に潜水。迎撃態勢に入った。
「しゃーない」
私も潜り、海蛇を追う。
水中で見る海蛇は凄まじかった。水面ではその全貌を見る事が叶わないが水中では、その巨体が良く分かる。
「……⁉︎」
私の直ぐ近くで何かが海蛇に命中し爆破した。その風圧で吹き飛ばされかけた。ミサイルか?
『おーい! 佳月よ! そこに居たら危ないぞ!』
ジィジの声がキャンピンから聴こえて来た。そんな機能も付いていたのか……
取り敢えず、一度離れて様子を見る。因みに私は水魔法で血中の酸素を操っているので30分くらいは息継ぎ無しで潜っていられる
海蛇は何度も攻撃を受けてキャンピンも無理だと思ったのか、別の場所に行こうとした。お? 逃げるのか? 逃げるなら追わないが……キャンピンを諦めただけで、他の船を狙いに行く様だ。仕方ない、倒すかなー
水の魔法と氷の魔法と殊技で海蛇をチクチクと追い詰めて行く。かなり殻に穴が空いた。これだけ空いたら、中に火も通るだろう。そろそろ顔を海面に出してほしい。そうすれば、炎系魔法でこんがり焼けるのに。
「お!」
チクチク攻撃されるのに耐えられなくなったのか、海蛇は海面に出た。私は水中の影を踏み台に、勢いよく海面に上がる。そして殊技の発動。海蛇を影で拘束した。弱りきった海蛇では、この拘束は解けないようだった。
「〈真紅の炎!!〉」
魔法を放ち、トドメを刺す。海蛇を真っ赤な炎が包んだ。周辺の海水が一部蒸発し湯気が出ている。そして何かが焼ける匂いが辺りに充満する。
「まぁ、海蛇だわな」
炎が治ると真っ黒になった海蛇が拘束された状態で、ダラリと垂れ下がって居た。これは死んでるとみて間違いないだろう。
「イェーイ! 私の勝利」
完勝である。
私は近づき、殻を割って身を取り出す。こんがり焼けてて美味しいです。
「あ、キャンピン」
私を迎えにキャンピンが近くに来た。私は一部だけ身を取り除くと、後はその辺の船の人達にあげる。そしてキャンピンに乗り込んだ。海蛇の亡骸は放置する。そのうち、軍の人とかが片づけにくるよ!
◆
「で! お前、どうやって水面に立って居たんだ!」
キャンピンに戻ると全員に詰め寄られた。いや、全員ではない。師匠とハイド、ギース以外に詰め寄られた。特に純菜の迫力が凄い。
「内緒だよ! んじゃ、私シャワー浴びて来るから! 体中、海水でベタベタなんだよー。あ、海蛇食べる?」
「食べない!」
「えぇ……美味しいのに。珍味に数えられているのに」
私は海蛇の身をリビングの机に置いて、さっとリビングから脱出。急いで浴室に入る。
シャワーを浴びながら考えるのが純菜の事だ。今回、私は純菜の出番を取ってしまった気がする。狙撃手の出番だった筈なのに……まぁ、狙撃程度で海蛇は倒せないのだけれども!
「まぁ、考えても仕方ないか!」
そう、仕方ないのだ。純菜は海蛇と交戦歴が無い。私は何度か有るのだから、私が殺った方が確実だしな。心の中で言い訳しながら脱衣所を出ると師匠が居た。コレはアレだ。水面に立ってたのを聞かれる奴だ。
「……言いたい事は分かります。殊技を使いました。水面は影が多いから私にとっては戦いやすく……」
「それを聞きに来たんじゃない」
「え?」
水面に立つ方法でなければ何を問いに来たの?
「水面に立って居た時、目の色が金だった。だから殊技である事は直ぐに分かった。水中に潜り続けていたのだって水系魔法を使ったのも分かってる」
「ネタバラしたら嫌ですよー」
師匠には何でもお見通しだな。隠し事出来ないや
「忠告だ。もうすぐ、次の国に着く。次の国ではウィークトゥス批判が今までの国より酷い。下手に出歩くな」
それだけ言うと師匠は何処かに行った。本当にそれだけだったらしい
「ウィークトゥス批判なんて今更だけど」
何故、今更ながら師匠が忠告して来たのか、私は後になって気付くのだった。
「あれ? 海蛇の肉が無い」
「ギースとハイドが食べていた」
「マジか」
そして、海に浸かった所為か、熱がぶり返しました……




