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No.19?

 

「それよりお兄様。何故、リンドヴァルは連れて来てはダメなのですか?」


 話を戻す様にコルネリア様は1つ咳払いをした後、スタニスラスに問いかけた。その問いにはスタニスラスは笑顔を浮かべるだけで何も言わない。言い訳ぐらい用意しとけば良いのに


「それより、菓子を食べないか?」

「だから結構です」


 そして、やたらとお菓子を勧めるスタニスラス。怪しまれてるんだから、いい加減止めれば良いのに


「では、質問を変えて……ディーデリヒお兄様は宝玉の在り方をご存知なのですか?」

「……白い方は知っているが、黒い宝玉はまだ分からん。しかし……お前は、どっちも知っているのだろ?」

「どうでしょう」


 コルネリア様の質問にスタニスラスは苦い顔で答える。


「ソフィアは白は吐いたが黒は言わない。いや、言えない。ソフィアは黒い宝玉の在り方を知らんからな。だが……ディーデリヒはお前が発見された付近で黒い宝玉の気配がしたと言っていたぞ? ディーデリヒだけではない、他の六花もだ」


 ヤバイ! 私が次期当主様にイラついた時に漏れたヤツだ。完全にバレてるよ


「さぁ? 僕は知りませんよ。僕も知りたいぐらいですし」


 コルネリア様はご存知でしょ……


「……はぁ。もう、遅いし休もうか。部屋を用意させよう」

「いえ、帰ります」


 そういいコルネリア様は立ち上がって。それを見たスタニスラスは眉を吊り上げて


「泊まっていけ!」


 命令した。しかし、彼の言い成りになる必要はないコルネリア様は早々に部屋から出て行こうとするが、扉を兵に塞がれて行けなくなった。


「どういう、おつもりですか?」


 コルネリア様が満面の笑みで兄に問いかける。何故、そんなに笑顔?


「もう、まどろっこしい事は止めだ! コルネリアを捕らえよ!」


 やっぱり、そうなるのね……


 先程、私達を連れて来た兵が歩いて来てコルネリア様の腕を掴もうとしたので、その手を掴み捻り上げた。


「いでででっ⁉︎」

「大人しくしていてくださいね? 下手すると折っちゃいますよ?」


 軽く脅しておく。


「成る程、お兄様。リンドヴァルを連れて来るなっと言ったのは、この為だったんですね」

「今更気が付いても遅いわ! 間抜け!」


 コルネリア様は始めから気が付いていたのだが……。スタニスラスは気が付いていなかったと思い込んでいる様で、もの凄いドヤ顔を披露している。正直、笑いを堪えるのに必死だ。


「そうですよねー、お兄様。だってお兄様には腕自慢の兵が1人も居ませんしねー。お兄様には花弦も六花も居ませんしねー。リンドヴァルに来られたら、自分が危ないかもしれないですもんねー。そりゃ、呼びたくないですよね」


 コルネリア様が急にスタニスラスをバカにする様な発言をしだした。鬱憤を晴らしているのか? 仕返しか? なら、私も加勢した方がいいか?


「〜〜ッ! もういい! 殺せ!」


 オイオイ……腹立てて自分の妹殺そうとするなよ。そんなヤツ見たことないぞ? いや、普通に居たわ。私の兄


 一斉に兵が襲い掛かって来たので、持っていた兵をその辺に捨てて、コルネリア様を一旦抱え後ろに引く。そして、コルネリア様を背後に隠して刀を取り出して襲い来る兵をバッタバッタと倒していく。


「安心しろ、峰打ちだ」


 1回言って見たかったセリフである。


「……チッ! ザルゾ! お前も行け!」

「仕方ありませんね」


 ザルゾと呼ばれた花弦No.19が出てきた。此処からが本番だろう。

 ザルゾが剣を振ると本当に剣が鞭の様にしなる。それを自在に操ってみせるザルゾだが、別に避けられない事もないし、普通に見えるし、そこまで凄い殊技ではない。これでNo.19?


「驚いたか! これが私の殊技だ!」


 ドヤ顔で言って来るザルゾ。私が立ち止まり、ボンヤリと見ているのを、剣先が見えず呆然としていると勘違いしている様だ。

 そして、後ろのコルネリア様はザルゾの剣撃に息を呑み、スタニスラスは得意げな表情だ。


 ボンヤリと眺めていると剣を鞭の様にしならせて、攻撃して来たので、その場から動かず刀で襲い来る剣先を弾きながら思った。


「アイツ、背後ガラ空きじゃね?」


 っと。この男、剣を操るのに夢中で後ろに全く注意が行っていない。普通に背後狙えるわ

 私はその場から動かず剣を弾きながら殊技を使い、奴の後ろに有る影を鈍器状にして奴の後頭部を殴った。そしたら、ザルゾは倒れて動かなくなった。


「これ、死んでないよね?」


 手加減はしたよ? ちゃんと、したからね。


「コルネリア様ー。終わりました」

「……そうか、帰るか」


 コルネリア様は呆然としているスタニスラスを放置し、私がバッタバッタと倒した兵を踏んづけて部屋から出て行く。その後を倒した兵を踏んづけならがら私も追う。部屋から出ると、駆けつけた兵が状況を把握し、敵わないと悟ったのか道を開けてくれた。兵が左右に避けて道を開く様は、まるでモーゼの様である。

 そして、私達は堂々と玄関から外に出て無事、師匠と合流した




 花弦、弱っ!

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