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次期当主様

 

「ウィークトゥス⁉︎ え、でも殊技使って?」

「あぁ。ウィークトゥスだが強さはドクトゥス並だ。訳あってウィークトゥスを取ったらしい」


 やったー!! ドクトゥス並だって! わーい! 兄様、ザマァミロ!


「訳って?」


 私は一族のお話をしてやった。すると、


「成る程な。僕の場合は兄が優秀過ぎて辛かったが……兄が凡愚でも辛いのか……」


 同情の眼差しを頂戴した。なので私も同情の眼差しを送ってやった。お互い大変だねー


「それより、コルネリア様。黒い宝玉の方は見つけられたのですか?」


 話は変わり王が隠したと言われている宝玉の話になった。


「……見つけてない。そっちは?」

「見つかりません。姫様も必死に探したのですが……本当に前王は何処に隠されたのやら」


 前王は生前に宝玉は安全な場所に隠したっと告げて死したらしい。そこの在り方は誰にも伝えなかった為、未だに見つかっていないのだ。まぁ、私の中に有るがな!


「都京付近に隠したと言われていましたが……一切痕跡も無く、闇の力も感じない。本当に何処に行ったのでしょう?」


 都京とは私の故郷の町の事だ。私とコルネリア様が会った辺りが都京なのである。確かに彼処の付近に隠したな。そこに住んでいた人に隠したがな!


「その話はまただ! 兎に角、今日は休むぞ!」


 そう言って、コルネリア様は私の片足に頭を乗せて休む態勢を取った。偶にだがコルネリア様は寂しいのか、人肌が恋しいのか、こうして私に甘えてくる事がある。師匠にはしている所を見た事がないので同性の私にしかしていないのかもしれない。

 そりゃ、まだ幼い少女だ。幾ら王族とはいえ、姉や両親に甘えていたい時期だろう。彼女の親代わりは出来ないが、これくらいはさせてあげたい。

 因みに私はいい歳しているが、師匠に甘えていたりする。この前は抱きついてやったぜぇ!


「僕も休むよ……はぁ。久々の就寝だ」


 眼鏡は横になったと同時に意識が落ちた。凄い寝付きの良さだ

 膝の上に頭を置いているコルネリア様も寝入っており、起きて居きているのは私だけ。見張り役である為、寝る訳にもいかず、辺りを警戒して見張りを続ける。


「まぁ、数日寝なくても問題無いけど」


 師匠が居れば交代で休めるが今は居ない為、今夜は徹夜だろう。出来るだけ疲れが取れる様に楽な態勢を取り、夜が明けるのを待った



 ◆



「また、山登りか……」


 眼鏡がうんざりした様に言う。


 そう! 早朝から山に登り、この山からの脱出を目指すのだ!


「メガ()はいつまで来るの?」


 山道に文句を言いながらも着いて来るメガネ萌え、略してメガ()に問う


「……僕は戦えないんだ!  此処に置いて行かれたら死ぬだろ!」


 その通りなのだが、私はコルネリア様を守るので手一杯なのだ。1人増えたら、どう守ればいいんだ?  私は1人なのに2人も守れない


「僕は全く戦えないが、回復魔法(クーラー)防御魔法(ウォープロ)は得意だ。怪我したら僕に任せろ」


 威張って言える事ではない。戦闘要員欲しいな……


 ぐだぐだと言い合いながら、昨日落ちた辺りに到着。そこに待ち受けていた者とは!!


「聞いていた通り来たな、佳月」


 まさかの次期当主様だった。なんで居るんだ?


「【晴間】が言っていたが……相変わらず、ズルばかりするらしいな」


 晴間とは我が兄の名前である。【三ツ葉 晴間(ミツバ ハルマ)】。それが兄の名前だ


「知り合いか?」

「次期当主様だよ」

「あー。あれがな」


 腕を組み、仁王立ちの次期当主様。出世したのか部下もいるらしい


「ズル?」


 それより、ズルとか言われたんだけど。ズルなんてした覚えはないのだが? 何したっけ?


「お前はズルしかしないだろ? 昔、俺に勝った時もズルして勝ったんだ。今回もズルして花弦に勝ったんだろ? 本当にセコイよな」


 コイツには今までの事が全部ズルに見えていたらしい。呆れを通り越して、関心するよ。


「なんだコイツ。これで次期当主とは笑わせるな」

「全くだ。終わったなお前の一族」


 メガ萌とコルネリア様は言いたい放題だ。まぁ、その通りなのだが


「貴方にはズルに見えるんですね」

「ズル以外なんだ! お前が俺に勝てる訳がなかったんだ!  この売女! お前は一族からも必要とされない負け犬なんだよ!」


 今まで、誰に言われてもイラつく程度で済んだが、コイツに言われればイラつくを通り越して怒りが湧いてくる。お前が俺に勝てる訳がなかっただ?  勝てるさ! だって、お前弱いんだから!

 怒りのままに手を握りしめる


「おい、辞めろ。闇が漏れてる」


 コルネリア様の声にハッとなった。私の周りに黒いオーラみたいなモノが出ていたのだ。抑えていた闇が漏れた様だ。これでは宝具を持つ者に居場所がバレてしまう。マズイ……

 慌ててしまったが時既に遅し。メガ萌はバッチリ見てしまったらしく、目を見開いている


「格の違いを見せてやる! 行くぞ!」


 次期当主様は黒いオーラが見えていなかったのか、剣を構えてこちらに走ってくる。足、遅っ⁉︎



 動揺した私は走って来た次期当主様の顔面にグーパンを入れてしまった

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