メガネ登場
他に手が無いので、山に登り街まで行く事になった
「取り敢えず、休みましょう。もう暗いですし……」
辺りはすっかり暗くなり、辺りから獣の呻き声や虫の鳴き声が聞こえてくる。夜は私の時間なので、そこまでの心配は要らないと思うが用心に越した事はないだろう
「そうだな。お前が居れば夜は問題無い筈だ。問題は昼か……」
昼間は私の力が半減どころか、ほぼ皆無の状態だ。暗いモノなんて影しかない。そんな状態で他の六花や上位の花弦に遭遇すればジ・エンド。早急に師匠と合流せねば……
「兎に角、今はお前だけが……」
「ぎゃぁぁあああっ!! 助けてくれ! 僕なんか食べても美味しくないから! 本当に美味しくないから! だから、助けて!!」
「「……」」
近くで悲鳴が聞こえて来た。なので、コルネリア様と様子を見に行くと、眼鏡をかけた青い髪の男が縛られ、火に炙られそうになっていた。周りには私の腰くらいまでの身長の人型モンスター【プーリミオ】が火を囲い踊っていた。セリフを付けるなら『今日は大物だー!』だろうか?
【プーリミオ】とは、その名の通り小人っという意味で廃墟などを根城にしているモンスターの事。小人の名に相応しく、私の下半身程の身長に短い手足、顔も小さい生き物だ。
しかし、小さいからといって侮っていると痛い目に遭う。この生き物、随分ズル賢いのだ。闇討ち上等、漁夫の利上等だ。稀に、大きなモンスターを飼ってみたり、お溢れを貰ったりしている
知性が有るので、罠を仕掛けたり、連携して攻撃してくるので、実に厄介なモンスターなのだ
「どうします?」
横に居るコルネリア様に問うと、コルネリア様はウンウンと何かを考えておられた。
「あの男何処かで……あ!! お姉様の従者だ! 何でこんな所に!」
あの眼鏡男、コルネリア様のお姉様の従者なのか。
「それより、助けてやれ」
「いいんですか? 敵ならどうするんです?」
「その時は、説得していい」
「あぁ。説得(物理)ですね」
プーリミオの数が多く反撃されたりしたら厄介なので、殊技を使い辺りに居るプーリミオを串刺しにして一瞬で全滅させた。今は夜なので、こんな荒技も簡単にこなせるのだ。夜、最高! 夜なら師匠にも勝てる気がする! いや、無理だ。あの人は殊技殺しがあるんだった……
そして、水の魔法を使い火を消す。これで一丁上がりである!
安全を確認してから、私はコルネリア様を連れて男の側に寄る。そして縄を切り縛られた男を解放した。
「大丈夫か? お前はお姉様の従者の筈だが……お姉様はどうした?」
コルネリア様はその男に近づき、話し掛けに行く。私は男が襲って来ないか警戒しつつ、モンスターや敵が来ないか辺りを警戒する。警戒するって、こんなに大変なんだね。漸く師匠の大変さが分かった気がした。
「あ、貴女は⁉︎ コルネリア様⁉︎ ご無事だったのですね!」
「あぁ。僕は無事だよ。幸いにも優秀な者が付いてくれていてな」
「コルネリア様、ちょっと不味いかも。多分モンスターですが。移動しましょう」
モンスターの足音らしき音が聞こえて来た。あまり長居は出来ないので、コルネリア様を促す。
「あぁ、ココ居ては不味いな。一旦、離れよう」
無事に救出したので此処から離れる事に。離れた先に洞窟を発見。そこで今夜は野営する。
「改めまして……僕の名前は【アスター=ベルナール】。貴女のお姉様【ソフィア】様の専属医師をしていました」
「ベルナール⁉︎」
私は洞窟の入り口付近に陣取り、男と外を警戒しながら話しを聞く。コルネリア様と男は夕食を取りながら話している。しかし……この男よく食べる。食べ物があっという間になくなって行く。
「兄は【ハイド・ランジア=ベルナール】か?」
「はい。そうです」
誰の事か分からない。私だけ置いてけぼりだ。なので問う
「知り合いです?」
「……コイツの兄【ハイド・ランジア=ベルナール】はリンドヴァルと同じ六花だ。そして、その兄の妹は花弦の上位者」
兄【ハイド・ランジア=ベルナール】は現在は第1王子に付いて逃走中で、姉の方は第3王子に付いている為、敵なんだとか。
「……僕だけ凡人で、才能の有る兄達に比べられて来ました。戦うことが出来ず、何をやってもダメで……なので努力をして医者になったのです」
この男の階級はメディウムである。兄様と同じだ。
戦えない者がメディウムを取るのは相当大変なのだが、この男は努力で取ってみせたらしい。そこをコルネリア様のお姉様であるソフィア様に見染められ、ソフィア様のお付きになったのだとか。凄いなぁ。普通に関心する。
「ならば、お姉様は?」
「……数日前に山の山頂付近で兵に襲われて、僕は崖から川に転落したので、それより先は分からないのです」
この男も私達と同じ所で追っ手に襲われ、崖から落ちたらしい。私達と一緒だ
「何日も彷徨っていたのですが……つい今し方、プーリミオに捕まりまして」
成る程。何日も彷徨って何も食べてなかったから、こんなに食べているのか。可哀想になぁ
「所でリンドヴァルは?」
「逸れた」
「なっ⁉︎ 逸れた⁉︎ それでは、この先どうやって逃げるおつもりですか! そこのジャージは一応、殊技が使えている様ですが、リンドヴァルが居なければ!」
師匠、有名人だなー。皆んな、師匠、師匠って……大人気じゃないか。確かに師匠居ないとヤバイけど。
「師匠って有名なんです?」
「あぁ、城内で六花は基本は有名だが、リンドヴァルは六花No.2だったからな……」
「No.2……」
師匠、つよぃ……。六花No.2って、それぼぼ敵なしなんじゃ?
「師匠?」
私の言葉に眼鏡が反応した。
「あぁ。コイツはリンドヴァルの弟子だ」
「師匠って勝手に呼んでますけど、師匠は本当に私の事を弟子だと思ってるんですか?」
1番気になる所だ。本人に許可無く師匠呼びしているが、果たして私は師匠の弟子と認めてもらっているのだろうか?
「リンドヴァルは弟子だと思っているぞ? 前もお前は教えたら、スポンジが水を吸う様に覚えて行くから教えるのが楽しいっと言っていたしな」
「マジか⁉︎」
やったー! ちゃんと師匠公認の弟子だった!
「リンドヴァルに弟子が……まさか⁉︎ あの男に⁉︎」
眼鏡は呆然としていた。そんなに驚く事か?
「あぁ。本当だよ。因みにコイツの階級はウィークトゥスだ」
「……はぁ?」
面白い顔になった。まぁ、皆んな、そんな反応するわな。




