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番外if 恋愛編 (師匠)

興味本位で書いてみた師匠と恋人になる話。

 

 安息(レクイエム)……。それは投与された人間に安らかな眠りを促す物。投与された人間は幸せな夢を見て永遠に眠り続ける。誰も起きる事はない。そう、誰も……。



 佳月はベットに横たわり浅い眠りについていた。その側に誰かが忍び寄る。その気配を察知してか佳月は目を開けた。


「……」


 開いた目が捉えたのは自身の師の姿。手枷を嵌められ自由が効かない身で、弟子の側まで来たようだ。

 佳月は不思議そうにしながらも何も言わない。否、言えない。彼女は恐ろしい薬を打たれた為、意思はココには無く、ただ命じられるがままに動く()()となったのだ。命令されたならいざ知らず、そんな彼女が師が近づいて来たからといって行動を起こす訳がない。彼女はぼんやりと虚ろな目に師を映す。


「佳月」


 師は彼女の側までやって来る。そして拘束された不自由な手で彼女の上半身を起こし腕の中に収める。しかし彼女は何も反応せず、ただ不思議そうな顔をしながら師を見ていた。

 それを見た師は抱きしめる力を強めた。そうすると苦しいのか彼女が腕の中で身動ぎしたので力を緩めてやる。すると彼女は安堵したのか、顔を師の胸板に引っ付けて少しだが頬擦りをした。

 その姿を見た師の口角は少し上がる。しかし目元は泣きそうに歪んだ。


「お前は意識が無くても同じ事をするんだな」


 彼女が師の胸板に頬擦りするのは良くある事。意識が無くても同じ行動を起こした彼女に師は自然と胸が締め付けられる。


 彼は時間が許すまで、彼女を腕に抱き続けた……。




 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「……ファッ⁉︎」


 世界が平和になり、新たに旅に出て、それが終わって城に帰った。

 それから暫くしたある日。師匠との訓練終わりに、ある紙を渡された。それは婚姻届けだった。夫の欄には既に師匠の名前が書かれており、保証人の欄にはベロニカの名前があった。何事?


「これなんですか?」

「婚姻届けだ」

「いや、それは分かりますけど……これを差し出されて私はどうすれば?」

「書け」


 妻の欄を指差して師匠が言う。


「ファッ⁉︎ なっ! な、何なんですか⁉︎ どうしたんですか⁉︎ 悪いものでも食べました? お腹下しました? 今からアスターの所に行きましょう!」


 師匠がトチ狂った。何を血迷ったのか私に妻になれと言う。


何故(なにゆえ)⁉︎」

「前に約束しただろう」

「約束? えーと……。……あっ! あのレクイエム打たれる前ですね!」


 今はもう昔の、あの牢屋の中での話か! あれは冗談の筈では? もしかして師匠、本気にしてたのか? 師匠を見上げると、いつも通りの無表情なので何を考えているのか分からない。

 さて、どうするか? こんな紙まで持ち出して来たと言う事は師匠は本気なのだろう。冗談で紙を持って来ないだろうし、ベロニカに保証人になってもらう必要はない。うーん……。断ろうにもなぁ……。後に響くと嫌だし、円満に解決出来たら……。こう言う時、先人たちは、どのように躱していたのだろう。是非、知恵をお貸し願いたい所だ。


「いきなり結婚は……せめてお付き合いからにしません?」


 何言ってるんだ私⁉︎ 師匠とお付き合いとか何の冗談だ。私達は師弟で恋人とかでは無く! いや、師弟なのに結婚話になっている事自体が可笑しい! あの時、あんな冗談言わなければ良かった!

 私が後悔していると、師匠は私の頭の上に手を置いて


「お前がそう言うなら良いぞ」

「……マジですか」


 なんか、成り行きでお付き合いする事になったのだが……。え? 普通の恋人とかって、こんな感じにお付き合いが決まるの? 私達が特殊な感じなのか?


 どうしよう……。気まずい。顔が上げれない。師匠の顔が見れない。自分の言った冗談がまさか返って来るとは夢にも思わなかった。

 取り敢えず落ち着く為、師匠に抱きついてみる。そして胸板に頬擦りをする。あー、落ち着く。師匠の匂いだ!


「……」


 師匠はいつも私が抱きつくと頭を撫でてくれるのだが、今日はない。その代わりに抱きしめてくれた


「WHY⁉︎」


 あまりの展開に絶叫した。いつもの師匠じゃない! まさか偽物か⁉︎ 本物は何処だ! 師匠に成り済ますとは命知らずな奴だな!


「お前は何があっても変わらんな……」


 腕の中から師匠を見上げてみると、師匠はなんだか悲しいような嬉しいような複雑の表情をしていた。


「どうしました?」

「……いや。ただ安心しただけだ」


 師匠はもしかして私が勝手に出掛けて戻って来なかった事を気にしてるのか? あれは悪かったと思うけど、緊急事態だったから仕方なかったんだ。

 再度、師匠の胸板にスリスリと擦り寄る。すると、ちょっと嬉しそうにしたので、このまま続けておこう。


「仕方ないですね。師匠の気が済むまで、大人しくしててあげます」

「そうか」


 師匠の腕に力がこもる。ちょっと苦しくなって来た。しかし我慢だ。師匠がこんな暴挙に出たのは私が勝手にどっか行った所為だろうから気が済むまでお付き合いしよう。




 それは弟子の可愛い勘違いから始まる不器用な2人の恋の物語。

甘くならない……だと……


私には恋愛の話を書くのは無理でした。難易度が高すぎました。恋愛って難しいです。そもそも、これが恋愛なのかどうかさえ怪しいですね。もっと勉強します。


話の流れ的には前半はレクイエムを打たれた後の佳月とリンドヴァルで、後半はエンディング後の2人でした。

分かりづらくてすみません……。


終わり!

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