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運命の出会い (笑)をしたので旅に出ます。探さないで下さい

 

 夜。いつもの様に師匠と組手をした後、2人で話をした。いつもはここで解散の筈だが、今日は少しユックリ話をしようという事になったのだ。


「私、役に立ってますかね?」

「あぁ」


 夜風が涼しく、組手をして火照った身体に丁度良かった。


 結局、私は旅を終えても階級は変わらなかった。イビられるのも変わらなかった。しかし、旅を終えて得た物もある。それは、強さだ。今では六花に迫るだけの実力を手に入れた。それは旅を始める前にはなかったもの。

 旅は大変な事も辛い事も沢山有ったが、楽しい事も沢山有った。私はその思い出を胸に先に進もう。


「師匠」

「なんだ?」

「私、旅が出来て良かったです」

「そうか」


 師匠は頭を撫でてくれた……。


 ◆


 次の日、師匠はお仕事で少し遠出をする事になった。早朝からの出発で1週間後に帰って来る予定らしい。その間、コルネリア様には師匠の代わりにハイドが護衛に付く。なので嫌でも毎日ハイドと顔を合わせる事になった。ケッ!


「……ハイド様、コルネリア様が呼んで……何笑ってるんだよ!」

「……いや」


 肩を震わせて笑っているハイド。そんなに私の様付けが面白いか⁉︎ 後、セクハラも辞めろ!

 コイツの所為で毎日イライラする。


「生理か?」

「死ね!」


 師匠ー! 早く帰って来て下さいよー!


 師匠の代わりにハイドがヘルプで入っている所為で今までより侍女達がザワザワし始めていた。ハイドは城内で良く女性に手を出しては、手酷く振るを繰り返しているので良くも悪くも注目の的。

 そんなハイドのお眼鏡に叶おうと女性達は必死な様だ。あんな奴の何処がいいのか? 振られると分かっていて何故、近づくのか私には乙女の気持ちは分からん。


 ハイドと言い合いをする私が仲の良い様に侍女には見えるのか妬みの視線が突き刺さる様になった。師匠の時はそうでもないのになぁ……。

 まぁ、師匠の場合はお互い弁えているので仲良く見える事はないのだろう。しかし、コイツは私を煽って来るので応戦していれば、何故か仲を疑われる。解せない……


「コルネリア様! コイツ嫌です。別の六花にしてください」

「本人を前に……」


 コルネリア様の私室でコルネリア様とハイド、侍女長の4名で居る時にコルネリア様に直談判した。ハイドを指を刺して、本人の前で堂々と言ってやる。それを見た侍女長が驚きと、若干の怯えを含んだ表情をしていた。ハイドにそんな事を言い怒りを買ったのではっと怯えている様だ。


「佳月……ハイドの何が気に入らないんだ? お前達は共に旅した仲間だろう」


 コルネリア様が呆れた様に聞いてくる。


「旅してた時から気に食わないです」

「そういえば、お前はハイドに一方的に突っかかっていたな」

「一方的⁉︎ 違います!」


 今まで旅でのやり取りは私が一方的にハイドに突っかかっていた様にみえたらしい。一方的にじゃないです!


「コイツが……いえ、なんでも有りません」


 キャンピン時代のコイツの悪の所業をコルネリア様にバラしてやろうかと思ったが辞めた。コルネリア様は年頃になったといえ、まだ大人のアレコレは早いかもしれないし、仲間内で揉めている所は見たくないかもしれないしな。


「兎に角! 他の六花に変えてください。欲を言うとベロニカかラミルが良いですが、この際カミルか久遠でも良いです。ハイドは嫌です」


 私はゴネる。一週間もコイツと一緒は嫌! ゴネていたらコルネリア様が困り出した。うーん。これ以上、ゴネるのは良くないかな。仕方ない、諦めるか。チッ!


「……すみません。嫌ですが諦めます」

「ああ、すまないな」


 申し訳なさそうな顔をするコルネリア様に罪悪感を覚えた。すみませんでした。


「連れないやつだ」

「ちょっ」


 ハイドが腰に手を回して引き寄せて来た。辞めろよ!

 そのハイドの手が腰より下に下がって来る。辞めろ! コルネリア様が居るんだぞ! まだ年端も行かない子の前でするんじゃない。

 幸いな事にコルネリア様は恋愛小説に夢中で、コチラを見て無かった。だが、私達の後ろに居る侍女長はガッツリ見えている訳で……同情の視線を送って来た。


「はぁ……」


 やっぱり、変えてもらっていいですかね?



 ◆


 他の侍女達はハイドから私を遠ざける為、私の仕事ではないのに度々買い物に行かせる。私的には有難いけども。

 そんな彼女達はハイドの前で態と演技で転けてみたりして忙しくしている。まぁ、前回の刺客を捕まえて情報を吐かせたお陰で、黒幕を特定でき、追い詰める事が出来たのでコルネリア様に危害が及ぶ可能性は低くなったので、私が出かけても大丈夫だろう。それに純菜も居るしな。

 それにしてもハイドの野郎、ムカつくなぁ。久遠に呪いでも習って顔に消えない傷でも付けてやろうか? いや、そんな事してもイケメン度合いは下がらないな。

 因みに久遠によって私の太腿に付けられた噛み跡は治っていない。赤い歯型がついたままである。この前、友人にうっかり跡を見られた時に『DV?』っと聞かれるくらい、しっかりと跡が残っている。久遠め……


 久遠を恨みながら活気の戻りつつある城下町を歩いていると、見知った人物を発見。それは……


「おぉ! 弟ではないか! あ、後……例の女の子だね」


 弟と連れの女の子を発見した。

 そうそう、弟が旅に出たのだ。しかも女の子同伴でだ。その女の子は謎の組織に狙われているらしく、その組織に追われている所を弟に救われ、護衛を頼んだらしい。共に逃げるのだそうだ。

 どっかで見たような構図だ。私とコルネリア様の出会いに似ているなー。やはり、兄弟は似るのかもしれないっと思った今日この頃。

 そんな弟が何故、ここにいるのか? 旅に出たのではなかったのか?


「お前を頼って来た。……お前に頼むのは嫌だけど……他に手がないんだ。お願いだ。助けて欲しい」


 弟よ……。姉に向かって『お前』は無いだろう。しかし、私は寛大なので許そう。


 話を聞くに、弟が相手取っている組織はヤバイ連中がゴロゴロいるらしく、弟1人では到底勝てない。なので、嫌々だが実力のある姉を頼って来た訳だ。兄を頼らなかったのは自分より弱いので頼りにならないからだ。因みに弟の階級は【プローウォカートル】。それなりに強い


「私は貴族出身です。王族の方に取り持ってもらえれば……」


 という事で2人を連れて城に戻った。え? 買い物? そんなの知らない。気のせいだよ。


 弟達を客間に置いて、私はコルネリア様に相談しに行く。コルネリア様に人払いをかけてもらい、コルネリア様と2人きりでお話しした。すると、コルネリア様は2人を連れて王様【フェルベルマイヤー】様の元に。そこで、話をした。


 何でも、お嬢様は城内で騒ぎになっている件の当事者らしく、王族達も探していたらしい。無事に見つかって良かったっと言っていた。

 しかし、見つかるだけでは終わらない。そのお嬢様の持つディスクには大切な情報が入っており、これを遠くに住んで居る叔父の元まで届けないといけないと言う。そのディスクを欲しがる謎の組織がお嬢様を狙って来てる訳だ。


「しかし……大掛かりな護衛もなぁ」


 と言う訳で、護衛役に私が選ばれた。私1人居れば送り届けられるだろうと王様とコルネリア様が判断して私1人に護衛を任せたのだ。その間、コルネリア様の護衛は花弦が行うらしく、心配しなくて良いとの事。


 師匠の部屋に影から侵入して()()()()を置いて、私は弟とお嬢様を連れて国を出た。因みに誰にも出掛ける事は言って無い。てへっ!

 コルネリア様も面白そうだと言い、誰にも言う気は無いらしいので誰も私の行き先と目的を知らない事になる。


「久しぶりの旅だ!」


 あの頃とは違い、相手取っているのは国ではなく、組織なので比較的、楽だろう。ここは旅を楽しみながら行こう。

 そして久しぶりにジャージを着た。いつもは侍女の制服なので動き辛かったが、これからは今まで通りに動ける。


「あ、端末が……師匠か」


 師匠が鬼電してくる。珍しい……。いや、珍しいというより、電話の掛けた方覚えたんだね。成長したね師匠。

 多分、師匠は帰って来て私の置き手紙を読んだのだろう。だから、鬼電して来ているのだな。

 因みに手紙に書いた内容は……





『運命の出会い (笑)をしたので旅に出ます。探さないで下さい』




 である。てへっ!






 人は間違える生き物だ。


 人は争う生き物だ。


 人は憎しみ合う生き物だ。


 人は人である限り争い続けるだろう。小さな火種が大きくなり、やがて誰にも手が付けられないくらい燃え広がる。それはきっと誰にも止められず加速していき、更に広がり続けるだろう。

 だから世界には負の感情が満ちている。人が人である限り、決して消える事のない負の感情が……。

 黒は未だに世界に健在の為、いつかは同じ過ちを犯す者が現れるかもしれない。また、(ウィケット)が解き放たれて世界は混沌に染まるかもしれない。


 でも、世界には負の感情に負けない、正の感情を持つ者達も多くいる。そんな者達がきっと世界を切り開いてくれる事だろう。



 白い(フロース)と黒い(フロース)


 それはどちらも無くてはならないものだ。



 人が人である限りね




 〜END〜

ここまで読んで下さった方、ありがとうございました。一応、本編はココまでですが、気が向けば番外的なモノはあげるかもしれないです。需要があればifで誰かと恋愛話しを書くかもです。


補足ですが最後の鬼電に至る経緯は、主人公が居ない事に気がついた周りが騒いでいる所に師匠が帰って来て、部屋の置き手紙に気が付き慌てて電話した感じです。なので城内はプチパニックになっております(笑)


では、終わります!!

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