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戦いの果てに得たもの

 

「ほら、ウィークトゥス! この仕事もお願いね」


 私に仕事を押し付けて来た侍女は私が何かを言う前にそそくさと何処かに行ってしまった。



 あの拍子抜けしするくらい楽ゲーと化したラスボス戦から数ヶ月が経過した。

 邪神は再度封じられ、脅威が消えて世界は鎮静化し、人々は元の生活を取り戻しつつあった。

 この国以外の国はそこまでの被害が無かったが、この国の被害は甚大であり、復興に時間が掛かるので数ヶ月経った今でも復興作業中だ。所々、工事中の看板が出ているのが、その証拠だろう。

 その復興の為、王族達が懸命に動いている。


 現王はコルネリア様の兄上である【フェルベルマイヤー=ベンジャミン=ショーバーレヒナー】様が即位した。周りからは王様にコルネリア様をと言う者も居たが、コルネリア様が幼いという事もあり、フェルベルマイヤー様に決まった。


【スタニスラス=ナルシッシス=ショーバレヒナー】は事実上の軟禁生活を強いられている。今までの様に好き勝手出来ないようで、不満ばかりを口にしている様である。最近、減量したらしく、ちょっとは見れる姿になったそうだ。


 ソフィア様はコルネリア様を庇い儚くなられた。


 全ての元凶である元王【ディーデリヒ=オドントグロッサム=ショーバーレヒナー】様は捕まった後、死刑に処された。彼は笑いながら最後を迎えていた。


 王様側に付いた六花は黒い宝具の扱いに困る為、甘いが厳重注意で終わった。その後は現王に使える様に言い渡され、今はフェルベルマイヤー様に付いている。


 ハイドとギースはコルネリア様から離れて元鞘に戻り、フェルベルマイヤー様に使えている様子。


 師匠は今まで通りコルネリア様付きだ。


 兄様は城に残り、一般兵として頑張っている。私に一歩でも近づく為、今は殊技を会得しようと頑張っているそうだ。


 アスターはソフィア様付きの医者からコルネリア様付きの医者に変わったが、今までとあまり変わらないらしく、特に戸惑いとかは無さそうだ。


 純菜もソフィア様の付き人からコルネリア様の付き人に変わった。こちらは1度裏切っているので肩身が狭いのか、いつも縮こまっている。特に師匠の前では。


 クレマチスのジィジはお城で整備士として雇われたらしいが、最近年下の女性といい感じでゴール間近まで行っているらしい。幸せそうで何よりだ。


 次期当主様は自宅に帰り当主修行に入り、アキラは城勤めなものの偶には一ツ葉の自宅に帰っているらしい。

 そうそう、最近家に1度里帰りした時、一族の人間全員から土下座で謝られた。ベロニカとの戦闘を見て私の実力を知ったらしい。それからと言うもの親戚達が私を避ける様になった。今までは私を見るなり下衆な顔をしながら罵倒して来たのに、今では私を見ると怯えて何処かに行ってしまう。

 私は勝ったのだ! 長年の望みを叶えたのだ! 親戚達が私を恐れ慄き平伏すのを待っていた! 私の時代だぜ!

 だがまぁ、長年取り続けて来た態度を今更変えるのは難しいらしく、言葉の端々に見下した感じのが残っている。今までよりかは遥かに良いので放置している。


 花弦は先の大戦で数がかなり減ってしまい、新しく補充された。なので元々、下位の方に居た人物が上位に来るっという事もありえた。因みに純菜は元No.21だったが、今はNo.11になっている。10位上がった。

 因みに花弦の数が減ったのは大戦だけが原因ではない。師匠やハイド、ギースらへんが追っ手を悉く殺していた事も理由の1つだ。


 私はと言うと……


「ちょっと! さっき、これしておいてって言ったわよね!」

「私の仕事じゃないんで、自分の仕事は自分でして下さい」

「あのね! ウィークトゥスが何、口答えしてるの!」


 こんな感じでイビられてます。

 私は表向きはコルネリア様付きの侍女になった。裏では花弦のNo.2である。旅に同行する代わりに再試験を……っと言う話は何処かに行ったみたいで、私は未だにウィークトゥスである。


「いい? 今度、私が来る前に終わらしておいてよね!」

「これもお願いね!」


 こうしてウィークトゥスの私は他の侍女達から虐げられる毎日であった。まぁ、ウィークトゥスの人間が王族直属の侍女をしていたらイビりたくもなるかなぁ。


 私はそんな侍女達の置いていった仕事は放置してコルネリア様の所に向かう。いちいち相手してたらきりないしな。

 私は一応、コルネリア様の護衛な訳で、長らく側を離れられないのだ。突っかかって来る侍女達を相手にしている時間はない。


「見ていて面白いな」

「あ、ハイド」


 こうして偶にハイドが来ては今の私の現状を楽しんでいる。お前を楽しませる為にやってるんじゃないんだよ。


「いいのか? 呼び捨てで……」

「……ハイド様!」


 城ではハイドは権力者なので、様付けで呼ばないといけない。なんで、こんな奴を様付けせねばならんのだ!


「ふっ」


 私が様を付けて呼ぶと可笑しそうに笑った後、何処かに行った。コイツェ……。

 ハイドもだが、他の六花もこうやって絡んでくる。私に様を付けて呼ばれるのが面白いらしい。腹立つなぁ!


「また貴女は! 立場をわきまえなさい!」

「はぁ……」


 先程、ハイドに絡まれている所を侍女長に見られた。侍女は基本的には自分から六花や花弦に話しかけるのは禁止されている。それは、侍女達が花弦や六花に色目を使う事が多かったから、迷惑にならない様に禁止したらしい。

 先程のハイドとの会話は侍女長からしたら私から話かけた様に見えたのか、怒られてしまった。今のは私が悪いんじゃないと思うんだけどなぁ……


「まったく! これだからウィークトゥスは!」


 こんな感じの毎日に嫌気がさしてくる。どいつもこいつも、私を格下に見やがって!なんだか、一族内に戻った気分だよ。

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