22 楽しいピクニック
お読みいただきありがとうございます!
今回も楽しんでいただければ嬉しいです。
今日はピクニックへ行く!
かのこちゃんはお休みだからニルスがボクの着がえを手伝う。なんだかもう、着がえをさせられるのに馴れてしまった。郷に入りては郷に従え。
いつも通りの朝練をしてシャワーを浴びて朝食食べて。
お出かけ服に着替えて、サリューを迎えに行ってピクニックへ!
王子が沈んでたから行ってきますのハグをしてあげたら途端に機嫌が良くなった。チョロい。…ボクは自分を安売りし過ぎだろうか?
今日の服はかのこちゃんチョイスで白シャツにこげ茶のベスト、ショートパンツにハイソックスだ。ひも付きの革靴も可愛い。ベルが護衛の日でなくて良かった。きっとちょいちょい鼻血出すもん。
…さっそく鼻血出してるけどこの服で?着がえで?
獣人の鼻血は何かの呪いかも知れないと疑い始めた。
「サリュー!おはよう。ヨーン、行ってきます!」
庭師はヨーンって名前だった。今朝聞いたよ。少し発音しづらい…
「おはよ。」
「行って来い。チハヤ様、よろしくお願いします。」
ヨーンは馬車の乗り場まで見送りに来てくれた。そのままみんなで乗り込もうとしたけど下級貴族用の馬車にはサリューが乗りたがらなくて、王子のお忍び用その2の幌馬車に乗り換えた。粗末な座席がついているだけの荷馬車なのでお尻が痛くなりそう。
…ニルスがふかふかの毛皮を重ねて乗り心地を良くしてくれた。さすが!
なかなか心を開いてくれないサリューだったけど、仕事の話を振ったらぽつぽつ話してくれる様になった。獣性が濃くて職を選べそうにないから手に職を付けてやる!とお父さんが色々教えてくれてるんだって。なんだ、そっか。息子の事が恥ずかしいのか!って早とちりしちゃったけど、心配してるだけだったんだね。
良いお父さんじゃん!
町から出て牧歌的な風景の中の石畳の道を行く。
ガタンッ
順調に進んでいたのに、馬車が跳ねてから止まった。
「何だ?」
馭者台との間の仕切りをめくってニルスが聞く。
「どうも、石畳が削れているようです。自然にこんなに深く削れるはずはありませんから、誰かが意図的にやったと思われます。車輪が溝に嵌まってしまっています。」
口調から馭者も護衛だと分かった。…どうでも良いけど。
既に町は出ているし、歩く事を提案する。荷物だけ馬に運んでもらって馭者さんには悪いけどここで待っててもらおう。
「なんだぁ!?
せっかく荷馬車が引っかかったと期待すりゃぁ、中身は空っぽかよ!獣人ばっかりじゃ腹の足しにもならねぇ!!」
声高に不平を口にする男は目深に帽子をかぶり、高い襟で顔の下半分を隠していた。そして仲間が2人。もふもふが2人!!
「どう言ったご用件でしょうか?」
ニルスが落ち着いた声で問う。サリューとかのこちゃんをボクが庇い、ボクをオロフが庇う。
「金目のモン置いてきゃぁ悪いようにしねぇ。見逃してやっても良い。」
定番だけどいかにも小物だし、ご老公様的な盛り上がりには不向きだな。
「それにそっちの猫。そんな奴らにおもちゃにされて我慢してるこたぁねぇ。獣性の濃い薄いなんてくそっ食らえだ!」
「サリューをおもちゃになんてしてないけど、獣性の濃度で差別するやつなんてくそっ食らえだ!」
「いつの間に!!」
帽子の目の前に行って激しく同意する旨を宣言する。移動速度に驚いた?虚をついただけで速くはないよ?
「チハヤ様!見境なくもふもふに近づいてはいけません!!」
「こんなに可愛いのに近づかないなんてムリ!」
近い方のもふもふに抱きついた。
…臭い。毛並みもごわごわ。
「かのこちゃん、あの子くさい〜…」
戻ってがっかりした気持を訴えるとよしよしされた。
「「臭くて悪かったな!風呂に入る金なんか無いんだよ!」」
一緒にいたもふもふまで声を揃えて言い放つ。
でも臭い物は臭い。身体拭くとか水浴びするとかできないの?
「保護施設に行けば無料で入れるのに、なぜそうしないんですか?」
ニルスが聞けば風呂が嫌いだからだと言う。
お金の問題じゃないじゃん。
「がっかりしちゃったよ。もう、いいから行こう?」
3人を無視してピクニックを再開しようとしたけど、当然ながら邪魔された。
「怪我したくなければ…」
キィィンッ!
粗末な剣を向けて脅して来るので、オロフの出番だ。
一直線に向かって行って相手の剣を弾き飛ばす。左右の2人は剣の柄で殴り倒し、主犯を地面に引き摺り下ろして押さえ込む。帽子が飛んで見えた顔は、よれよれの毛の間からつぶらな瞳が覗く。
洗ったらめちゃくちゃ可愛いんじゃない!?
ボクの意を汲んだオロフが押さえつけていた男を立たせて縛る。伸びている2人もニルスとかのこちゃんが縛ってくれた。コイツらを運ぶならやっぱり馬車が要る。全員で力を合わせ、嵌まった車輪を外して石を詰めて道の応急処置をした。
そして川へ洗濯に。




