↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
6/9

月の下で君は笑っていた

創作お題bot(@asama_sousaku)より

『月の下で君は笑っていた』



「はぁ...」

今僕は君と別れて一人で家に帰っている。いつもこの時間が大嫌いだ。君といられない。それだけが嫌だからこの時間が大嫌いなんだ。しかも金曜日。二日も君に会えないではないか。

...こんな事を一人で考えていても仕方ない。

そう思考を振り切り、僕は早歩きで家に向かう。

ときどき近所の人たちに声をかけられる。おはようとか、おかえりなさいとかをかけてくる。流石に答えなければならないのであいさつぐらいはするが。

いつものおばちゃんが声をかけてきた。

「おかえりなさいねぇ~どうしたの?そんなおっかない顔をして。いつもより酷そうよ?」

...おばちゃん、いつも僕の事を見ていたんだな...

「ただいま。ただ単に今日金曜日だからだよ」

僕は『金曜日』だけを強調して言った。言ったはずなんだけど...

「好きな子に会えないからでしょう?」

「......」

僕は図星なので黙りこくってしまった。なんで分かるんだ、このおばちゃん...

「なんでって顔をしてるわね。私にもこんな時期があったからね。あなたは好きな子の事を考えてイライラいていたそうでしょう?」

...はい。図星です...というよりもこんな時期って...?

「おばちゃん、こんな時期ってのは?何かしたの?」

「そうね...私があなたぐらいの時に好きになった子がいたのよ。その恋は叶わなかったけれどね」

近所のおばちゃんの昔の恋の話...なかなかレアだな。

「それで?おばちゃんはなんで諦めたの?」

そっちの方が聞きたい。

「私が諦めた理由は女の子を好きになったからよ」

...!?おばちゃん!?おばちゃんもだったの?

「なんで?なんで諦めたのさ?」

僕はおばちゃんを揺さぶる。

「ちょっと...揺さぶらないでくれるかしら...」

僕ははっとする。

「あっ...ごめんなさい...」

「そこまで慌てなくていいじゃない。あなたは女の子が好きなのね。だからそのに反応になった。あなたは怖いんでしょう?」

...好意を伝える事は怖くはない。その好意が要らないと言われる事が怖い。

「...いろいろ怖いよ。僕はあの子にはその事を言わないけれどね」

おばちゃんははっとした顔になった。

「ねえ、確かに怖いと思うけれどね、怖い事を克服して好きな子になんでも言えるようにしておかないと駄目だよ。後からね、物凄い後悔をするよ」

...おばちゃんは後悔したのか...

そうしておばちゃんは話を続ける。

「やっぱりね、私は好意を伝えて置けば良かったと思っているわよ。今も思うもの。伝える事はもう無理な話だけれどね...」

そうなのか。だからおばちゃんは独身のままなのか。

「おばちゃんは結婚しないの?」

僕は聞いてみる。

「私は結婚はしないわね。独身でいいからね。私が好きになった女の子が忘れられないから。結婚しても相手の人に悪いからね」

...忘れられないのは辛いのかな。僕は君を忘れたらどうなるのかな?他の人を好きになってた?それとも男の人を好きになってた?僕は一人のままだった?考えると背筋が寒くなってきた。君に出会えて良かった。君がいない世界なんて考えられない。考えたくもない。君に出会えて良かった。

「...おばちゃん、ありがとう。僕がしなくちゃいけない事がわかった気がするよ。僕は頑張るね」

僕はおばちゃんに宣言する。

おばちゃんはびっくりしたような顔で言った。

「そう...後悔のないようにね。頑張って。いい報告待ってるからね」

「うん。出来るように頑張る!」

始めのどんよりが嘘のように僕は家に走って帰っていった。

 ~*~*~*~

「ただいま」

そうは言ったものの僕は一人暮らしなのであいさつなど帰って来ない。

取り敢えず、鞄を寝室においてから洗面所へ行く。

僕の顔が鏡に映る。何回見ても何も変わらない自分の顔。

...顔を洗おう。すっきりしたら君に会うための方法を考えよう。

バシャバシャと冷水で顔を洗う。すっきりした...

台所の椅子に座り水を飲みながら考える。

さて、君に会うためにはどうすればいいか。

君に電話してから会いにいく?それじゃあダメだ。このまま月曜日になるまで待つ?そっちの方がダメだ。

...今日の夜に君の家に侵入しようか。不法侵入になるだろうけれど...どうしても君に会いたい。でも、君の両親が黙っちゃいないか...素早く会って帰ろうか...でも...

あぁぁぁぁぁ!!堂々巡りだ!もう、訴えられてもいい!今日の夜中に君に会いに行く!決定事項だ!

気合を入れていこう!

 ~*~*~*~

着々と会いに行くための準備が終わり、後は夜になるだけになった。確か君の部屋は二階で東側にあったと思う。遊びに行った時に確かそうだったような...ぶっちゃけ本番で行くか。どうにかなる。うん。信じよう。自分の記憶力を...

 ~*~*~*~

僕は今歩いていた。夜の道を。

あまり人だかりの少ない道を通っていく。

取り敢えず、君の家に入るための道具と、防犯用の物を持っている。君の家に行く前に誰かに僕が襲われちゃ駄目だからね。

10分ぐらい歩いて君の家の前についた。

家の中は明るくない。もう寝ていると見える。

これなら行けるか...確かに東側の二階が電気が付いている。あそこの部屋だな。

僕は鞄から紐を出し、鉄のかぎづめをくくり着ける。それをそのまま回転をつけて高い所の家の壁に突き刺した。

...ごめんなさい。君に会いたいだけだから。またお金出して直そう...

紐を持ってしっかりと引っ張ってみる。

よし。外れない。確認できた。

僕はそのまま登っていく。ロッククライミングみたいな要領で。

そうして窓を叩く。コンコンと控えぎみに響いた。

なにかと窓が開く。そこには君がいた。

「......えっ......」

君は驚きすぎて声にもなっていない。

「やぁ。こんばんは。君に会いに来たんだ」

君は慌てて言う。

「取り敢えず、急いで靴脱いで部屋の中入って!急いで!」

何を慌てている。慌てる必要など...

窓の向こう側から歩いてくる音がする。

「ちょっと...!早く!!」

僕もなんかヤバいので早く君の部屋に入った。

君は靴を素早く奪い取り、ベッドの下へスライディングさせた。そうして僕を引っ張ってベッドに放り投げた。君が覆い被さってくる。君のなされるがまま従った。二人でベッドに乗って布団を被された。僕は隠れるように。君の頭は見えるように。

扉の叩かれる音がする。

「入るよ」

そうして部屋に入ってくる音が聞こえる。

この声的に男の人か?

「どうしたの?お兄ちゃん」

...お兄ちゃん?兄なんかいたのか。

「部屋の電気が付けっぱなしじゃないか。消さないのかい?」

君は不機嫌そうな声になって言う。

「自分で消すわよ。出ていって!」

結構辛辣に言うな...何かあるのか?

「それじゃあ消しておくよ。おやすみ。我が妹よ...」

部屋の電気が消される。

...うわ、この言い方はいやだよ。

「...おやすみなさい」

そうして君のお兄さんは部屋から出て行った。

月の光だけが部屋の中に差し込んでくる。

そうして僕はガバリと起き上がる。

「すまないね。急に押し掛けて」

僕はい一応謝っておく。

「...謝っても一応不法侵入だからね!何で貴女はちゃんと考えて来ないの?」

...相当ご立腹だな。僕が悪いか...

「悪かったよ。でも僕は君に会いたくて会いたくて仕方無かったんだ」

「連絡もしないで?」

君は腕を組ながら僕に問いかける。

「君に会いたくて仕方無かったからそこまで頭が回らなかったんだ」

僕は本当に思っていた事を言う。

「...そうなの...本当貴女の行動力には驚かされるわ...」

ふふん!そうだろう?...っと、そろそろするか...

僕は君を軽くベッド側に押す。

「うわっ!な、なにするのよ...」

僕は君を押し倒した。僕の下にいる君。なんて可愛いんだろう。

「決まっているじゃないか。君を押し倒したんだ」

見ればわかる事だが。

「な、何をいきなり...」

ふふふ...君に会いに来たけれどいろいろ抑えられそうにないよ...

「ねぇ、今ここで君を殺してもいいかい?」

「なにそのいきなりな発言。殺すのは駄目だけど急所に手を当てるぐらいならいいよ」

...急所に手を当てるか...いいだろう。

「いいのだったら、当てるぞ」

僕は君の左胸に手をおく。

少しだけ君の心臓の音が聞こえた気がした。

「.......」

君は無言になった。首に当てるとか思っていたのか?残念、胸だったんだ!

「ねぇ、また君を殺していいかい?」

唐突に僕らの合言葉のような言葉を言う。

君はなんて言うかな?

「いいよ。言っているでしょ。いいって」

君は笑った。部屋に差し込んでくる月の光が君を照らす。まるで君が儚く月の下で笑っているようだった。

君は僕に近づいて抱き締めてきた。そうして耳元で囁きかけてくる。

「殺すのはまたいつかね。いつかこの思いが言えたらいいのに...」

君はこれだけ言って僕と距離を取った。なんなんだ?『この思い』って?

「ねぇ...『このお...「さて、帰ってくれる?」

言葉を被された。ヒドイ。

「もうそろ帰ってくれないとまずいんじゃないの?」

確かそうだけど...君といつまでもいたいよ。

「朝までいちゃ駄目か?」

君は怪訝そうな顔をした。

「家族に見つかったらまずいよ。最悪通報されちゃうから帰って欲しいよ」

...そうか...

「わかった。帰るよ。それじゃあな」

僕は立ち上がり、ベッドの下の靴を取る。

「じゃあ、また月曜日。おやすみ」

僕は軽く手をふる。

「ありがとう。嬉しかったよ。おやすみなさい」

君も手をふったのを見て僕は紐をつかんで下りていった。

誰かに見つかる前にさっさと帰ろうか。

僕は紐を取って鞄に詰め込んだ。さて帰ろう。

そのとき一階の部屋の電気が付いた。

!!や、ヤバい!取り敢えず、すばやく茂みに隠れた。

様子を見ていると君のお父さんだった。煙草を吸っているらしい。早く家の中に戻ってくれ!

煙草を一本吸った満足したのか、部屋の中に戻っていった。よし!僕は急いで君の家の敷地から出て行った。

 ~*~*~*~

僕は無事に家に帰れた。

君に会いたい時は電話して満足するようにしないとな...君に会いたくても努力しないと...

そうして僕は帰ってきたままの姿で眠ってしまった。

 ~*~*~*~

後から君に聞いた話だが朝起きたら家族が叫んでいたらしい。まぁ僕が壁に傷つけたからね...

はい。すみません...

また、お金は払います...

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。