196 意識しろ
初めてこちらを見つけていただいた方へ。
ありがとうございます。
1話がとても短いものになっております。あっという間に負担なく読み終えてしまう短さです。ですので3日に一度、朝7時更新という短いスパンです。(土日の場合はお休みです)
たまに遅れまる場合が(^0^;)
ちょっとの暇な時間の穴埋めになれたら嬉しいです。
ちらほらと、あらすじが挟んでおります。もし興味がありましたら、そちらをちょこっと覗いていただければ、なんとな~くわかっていただけるかとw
よろしくお願いしますm(_ _)m
では、どうぞ!
ジンは小さく嘆息し言う。
「あまり自分を責めるなリュカ」
「え?」
驚き顔を上げて見るリュカにジンは呆れたように嘆息する。
「自覚がねえのかお前。どれだけ過去を悔やんでも意味がねえぞ」
「そういうわけでは……」
「そういうことだろ。お前はあのガキを過去のお前と重ねているんだからな」
「それは……」
確かに自分と重ねていたのは否めずにリュカは黙る。
「別に重ねることが悪いわけじゃない。ただ、そこで過去の自分の行動を責めるなと言いたいだけだ」
「……」
「無意識かもしれないが、あの時、殿下から離れるんじゃなかった。あの時、殿下の要望を聞かずに逃がせばよかった。もっと早くに気付けていたらとお前、ずっと思ってるだろ」
「!」
「だからお前はあのガキに同情し、どうにか解決してやろうと思っている。違うか?」
「……それは違……いえ、そうなのかもしれません」
リュカは素直に認める。そして言う。
「でも先生に言われるまで気付かなかったというか、無意識でした」
「そうだろうよ。お前は優しいからな」
「別に優しく――」
「それに昔からそのように思うことに慣れている」
「え?……」
どういうことだと顔をあげて見るリュカにジンは嘆息する。
「お前は小さい頃からマティス殿下とずっと一緒だったんだろ?」
「はい」
「だとすれば、お前は小さい時から殿下を守るように親や周りから言われていたはずだ。そしてそれをおまえは願っていた」
確かにそうだとリュカは思う。物心ついた時からマティスは自分が守らなくてはならないと思っていた。そのため成長と共にそれは体に刻まれ、マティスを守ることが最優先になり、日常でのリュカの生活の一部になっていたのだ。
「お前が置かれた環境からしたら、そうなるのは自然の流れで誰が悪いわけじゃない。だがなー、俺からしたらお前のその考えは異常なんだよ。それも当の本人が自覚がないときた。一番厄介だ。小さい頃からの癖や考えは今のお前を作った土台の部分だ。それをぶっ壊すのは無理な話だ。じゃあどうしたらいいか?」
そう言ってリュカを見る。その射るような視線をリュカは真っ正面から受け止める。
「やることはただ一つ。意識するだけでいい」
「え?」
意識するなと言われると思っていたリュカは驚き眉根を寄せる。
「あえて意識をするのですか?」
「そうだ。意識をして自覚しろということだ。反対に意識するなと言えば、余計に気になってしまい、悪い方向へと考えちまうのが関の山だからな。それならば、あえて意識をして今自分はまた後悔をしているんだと自覚することだ」
「自覚……」
「ああ。今も自覚しただろ? それでいい。そこでまだ俺は自責の念に苛まれているんだと自覚するだけで、これではいけないと一歩前に進むことができるってもんだ」
そう言ってジンは笑顔を見せる。その笑顔が少し憂いを帯びている気がしリュカは気付く。
――ああ、そうか。先生もそうだったんだな。
なんとなくそう思った。
「ということで、俺は寝るぜ」
「え? 先生は見ないんですか?」
「俺か? 俺はそういうことはしない派なんだ。それに俺を誰だと思ってるんだ? 『国守玉の脚』だぜ。魔獣に関しては経験豊富だ」
「それは陸の魔獣に対してですよね?」
リュカは突っ込むが、ジンは無視だ。そんなジンにリュカは苦笑し挨拶する。
「おやすみなさい」
「ああ、おやすみ。お前も早く寝ろよ」
そう言うとジンは寝室へと入っていった。残されたリュカはまた分厚い書類に目を落としたのだった。
※※※
その頃アイラは、
「赤竜! リュカとジン先生はイライザ精霊魔法士長の故郷に行ったのよね? どこか言いなさい!」
とずっと赤竜に迫っていた。
「アイラ、もう遅いから寝よう」
「教えてくれたらね」
――いや、場所は言えるわけなかろう。言ったら行くと言うのが目に見えておるからな。
「もう眠いから寝かしてくれ」
赤竜は半分瞑りながら懇願する。だがアイラは、
「何言ってるのよ。魔獣なんだがら眠くならないでしょ! 早く白状しなさい!」
と言って聞く耳をもたない。赤竜は
「いや魔獣も眠いぞ」
と突っ込みながら、心の中で、
――早く帰ってきてくれー! 身がもたぬ。
と懇願するのだった。
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