161 サラとセイラ②
初めてこちらを見つけていただいた方へ。
ありがとうございます。
1話がとても短いものになっております。あっという間に負担なく読み終えてしまう短さです。ですので3日に一度朝6時更新という短いスパンです。 たまに遅れまる場合が(^0^;)
ちょっとの暇な時間の穴埋めになれたら嬉しいです。
ちらほらと、あらすじが挟んでおります。もし興味がありましたら、そちらをちょこっと除いていただければ、なんとな~くわかっていただけるかとw
よろしくお願いしますm(_ _)m
「こうやってちゃんと話すのは初めてね。セイラ」
セイラは顔をあげ初めてサラを見る。
「そうね」
やはり言葉が出てこない。どうしたものかと思っていると次に発したサラの言葉にセイラ驚く。
「やはり私とは話したくないわよね」
「え?」
「あなたが今まで苦労してきたことは知っていたわ」
そこでやはりそうかとセイラは目線を下に向ける。
「小さい頃、あなたのことを知って見に行ったことがあったの。その時にはもう母は亡くなっていて、あなたの家の状況は大変な時だったわ」
――それは没落した後ってことね。
セイラはぐっと唇を閉める。
「私はなんて言えば良いのか分からなくて、あなたに声をかけることが出来なかった」
セイラは小さく鼻で笑う。
――でしょうね。あんな汚い格好の貧しい借家にいる私とサラは住む世界が違うんだから。誰だって声なんてかけれないわよね。
「あなたが大変な思いをして生活しているのに、なに不自由もなく育った私がかける言葉なんておこがましいし良く思わないと思ったの」
「え……」
意外な言葉にセイラは顔を上げサラを見ると目が合った。その顔は憂いを帯びた顔をしていた。
「何も力がない子供の私がどれだけあなたに声をかけても、あなたにとって何も特にもならないし、軽い言葉だと怒られるって思ったから、私はそのまま帰ってしまった……」
そして弱々しく笑う。
「逃げたのよ……。それからはあなたに会いに行くことが出来なかった。大きくなっても……。最悪な姉ね……」
「……」
「あなたが大変な生活を送っていることを目の当たりにするのが怖かったの。本当は手を差し伸べなければならなかったのに……」
「……」
「だから私はあなたの姉と言う資格がないわ」
そしてサラはセイラを見て優しく笑う。
「そうでしょ? あなたも私を憎んでいるはずだもの」
「!」
確かにそうだったとセイラは何も言えなくなる。だからと言って今もそうかと言えば違う。だがまったく思っていないと言えば嘘になる。だから何も応えることが出来ずに黙る。それがサラには肯定と受け止められた。
「じゃあ私は行くわ」
サラは踵を返すと部屋を出て行った。セイラはサラが出て行った扉を見て思う。
――これでよかったの? 私もそれを望んでいる?
サラを避けていたのは事実だ。それは羨ましかったのはあるが憎んでいたからではない。ただ気まずかっただけだ。これでもうサラと話すことは二度となくなるのかと思うと、寂しさが沸き上がる。その感情にセイラ自身驚き戸惑う。
――私はサラと話したかったの?
自問自答する。だがどうするのが良いのか分からない。だからそのまま立ち尽くしてしまっていた。
すると扉がまた開いた。見ればグレイだ。
「話は出来たかい?」
「……いえ」
セイラは俯きか細い声で応える。
「やはりそうか。あまりに早くサラさんが出てきたから、どうしたのかと思っていたんだよ」
外に出たエドモンとマティスはそのまま大広間へと行ったが、グレイはそのまま待っていたのだ。
「すみません……」
ただ謝るしか出来ない。するとグレイはセイラの肩へと手を置いた。
「色々君達姉妹には超えなくてはならない壁がありそうだね」
「……はい」
「焦らずにゆっくり進めばいいよ。家族ほどもつれた問題は解すのが大変なものだよ。私のようにね」
そこでセイラが顔を上げてグレイを見る。
「グレイ様もですか?」
「ああ。私にも家族がいるが、問題があって今は離れ離れになっているんだ。修復も難しいだろうね」
――グレイ様にもそんな過去があるのね。
何不自由なく順風満帆に見えていたグレイがそのような問題をかかえていたとは思わなかった。
「誰しも何かしら問題を抱えているものだよ。それが大きいか小さいかの違いだ。私と違い、セイラとサラさんはきちんと話し合えばわかり合えると思うよ」
「そうでしょうか……」
「ああ。セイラだって仲良くしたくないわけじゃないだろ?」
――そうなのだろうか……。わからない。
黙って応えないセイラにグレイは微笑む。
「一度ゆっくり考えてみることだ」
「はい」
「では大広間に戻ろうか」
グレイが歩き出したため、セイラも着いていくが、やはり心の中は晴れない。だが今は事前に言われた「笑顔で好印象を貴族達に与えること」を最優先にしなくてはならない。立ち止まり気持ちを切り替えるため、両手で自分の頬をパチンと叩く。
「よし!」
そしてグレイの後を追った。
2人が大広間へと入ろうとした時だ。正面から部屋を出てきたジンと鉢合わせになった。ジンとグレイは目を合わせる。すると遅れて気付いたセイラが声をあげた。
「ジン先生」
だがジンはまずグレイに頭を下げ挨拶をした。
「初めまして。アデール学園で教師をしております。ジン・ベレスです。本日はおめでとうございます」
それに対しグレイも笑顔で応え返す。
「グレイ・ホルスマンです。ありがとうございます。いつもセイラがお世話になっています」
「いえ。私は臨時講師ですので、セイラさんとは接点がありません」
「そうでしたか」
「ただ、どこかでお会いしましたでしょうか? なぜか初めてだとは思えなくて」
ジンは笑顔で訊ねる。だがグレイは笑顔で否定した。
「いいえ。今日初めてだと思います。先生のような方とお会いしているならば、記憶に残っていると思いますので」
「そうですか。私の勘違いだったようです。申し訳ございません」
「いえいえ」
「では失礼します」
ジンはもう一度深々と頭を下げるとそのまま廊下を歩いて行く。そんなジンを一瞥しグレイは笑顔を見せ、そのまま振り向くこともせず、
「セイラ、行くよ」
と言って大広間へと入って行った。
ジンは大広間を後にすると笑顔を消す。
――あいつがグレイ・ホルスマン。間違いねえ。『罪人の墓場』で会ったフードを被った奴だ。うまく隠しているが同一人物だ。
そしてやはりグレイの魔力に違和感を感じ眉根を寄せる。
――ホルスマン伯爵から感じる魔力はなんだ。何か混ざり合っている気がしてしょうがねえ。
そう思うが、何がどうなのかと説明しろと言われれば説明が出来ずにじれったい。
「あー分からねえ!」
つい大きな声を上げてしまう。
そこでリュカを思い首を傾げる。
「あいつはまだ向こうにいるのか?」
今日の昼には帰って来て顔を出すと思っていたからだ。
「あいつら、遊んでるのか? いいねー学生は呑気で」
するとトイレに行っていたライアンがやってきた。
「先生? 帰るのか?」
「ああ。用事があるからな。あ、サラのこと頼むな」
そう言ってジンは去って行った。
ライアンが大広間に戻ると、サラが1人でいるのに気付き、サラの元へと行く。
「もう終わったのか?」
「ええ……」
元気のないサラに気付きライアンが訊ねる。
「何かあったのか?」
「まあね……」
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