153 いい仲間
初めてこちらを見つけていただいた方へ
ありがとうございます。
1話がとても短いものになっております。あっという間に負担なく読み終えてしまう短さです。ですので3日に一度朝6時更新という短いスパンです。 たまに遅れまる場合が(^0^;)
ちょっとの暇な時間の穴埋めになれたら嬉しいです。
ちらほらと、あらすじが挟んでおります。もし興味がありましたら、そちらをちょこっと除いていただければ、なんとな~くわかっていただけるかとw
よろしくお願いしますm(_ _)m
「ジン、危ねえんじゃねえのか?」
シガスが倒れたままのジンを見て心配な顔を向けて言う。シガスも精霊魔法士の端くれだ。ジンが今どんな状態なのかを把握しての言葉だった。
リュカも眉根を寄せる。今ジンは瀕死状態だ。だがアイラは全力で治療を続けている。
「先生! 先生!」
その姿を見てアイラの前世の姿が蘇り、前世で、マティスが怪我をした隊員を治療をしていたアイラの姿を見て、リュカへ言っていた言葉を思い出した。
マティスと隣国に訪問する道中に襲われ、戦闘になった時があった。相手の敵国は待ち伏せし、爆薬を使い、マティス達を狙い大爆発を起こさせたのだ。幸いマティスはリュカに守られ無傷だったが、魔術師団や兵士の多くの者が爆発に巻き込まれ、酷い傷を負った。
その治療班としてアイラ達精霊魔法士が現場に来たことがあった。
それがリュカにとってアイラの治療魔法を初めて間近で見た時だった。
【前世】
アイラ達精霊魔法士達は、来た早々すぐに治療に取りかかった。
まずアイラは一人の瀕死の状態の兵士の所へ行くと、治癒魔法はせず、ただ顔を近づけ、うんうんと頷き始めた。それを少し遠くからじっと見ていたリュカにマティスが言った。
「珍しくリュカが精霊魔法士の治療に見入っているね」
いつもはリュカは、精霊魔法士達の治療に対して視線を向けることも立ち止まって見ることもなかったため、マティスは珍しく思ったのだ。
「ただあの者には治癒魔法をしないのはなぜなのかと気になっただけだ」
リュカの説明を聞きマティスはアイラへと視線を向けると、「ああ」と合点がいき説明した。
「リュカはアイラが治癒しているところを見るのは初めてかい?」
「ああ」
あまり精霊魔法士と一緒に仕事をすることがなかったためだ。
「アイラはああやって命が尽きそうな者の願いを優先的に聞くんだ」
「は?」
「アイラは助からない者に、むやみやたらに治療魔法をしないんだよ。それよりも最期に何か願いはあるかを話せる状態の時に聞いてあげて後悔がないようにしてあげてるんだよ」
確かに無駄な足掻きをするよりは効率的だとその時リュカは思った。この仕事をしていれば、治療魔法をしても助かるか助からないかは見て分かる。だからリュカもむやみやたらに治療魔法をしない。
人によっては、「頑張れ! 大丈夫だ!」と励ましながら治療魔法をする精霊魔法士や魔術師がいる。だがそれは酷だとリュカは思っている。変な期待をさせてしまうだけで本人のためにはならないからだ。
軍に入隊した者は、自分の最期の覚悟はある程度出来ている。だが死に際になれば冷静さを失い、正確な判断が鈍る者もいるのも事実。
そのようなの者に「頑張れ、大丈夫だ」と言うのは、意味の無い期待を持たせるだけで、余計な絶望を与えてしまうだけで良いことは何1つない。死を実感した時には、話すこともままならない状態になり、伝えたいことも何も言えず悔やむだけなのだ。
ならば、きちんと教え、何か言い残すこと、やり残したことはないかと聞いてやり、家族や大切な人のに思いを伝えてあげたほうがいいはずだ。
だからアイラがしていることはリュカも賛同出来た。だがそれを冷たい、冷酷だと非難する者もいた。時にはアイラ本人に抗議する者もいた。だがアイラはどれだけ批判や罵倒を受けても顔色変えずにその対応を変えることはなかった。
それがアイラのベストだと判断していたからだ。
そんなアイラの姿勢をマティスは誇らしく思い、
「アイラは凄いね。周りから何を言われようが自分の意思を貫き通すなんて。強い精神力がなくちゃ出来ないことだね。ほんと尊敬するよ」
と賞賛していたのだった。
【今世】
確かにその時はリュカもそう思っていた。だが今世でアイラの性格が手に取るように分かるようになり、それは間違った解釈だったのだと分かる。
――ただ自分の気持ちを表に出さなかっただけだ。
アイラもまたリュカと同じで気持ちを抑えていただけなのだ。だがリュカとアイラは決定的に違うことがある。
――あいつはそこまで強くない。
リュカは、人と関わることは極力避けたい性格だ。そしてマティス以外信用していなかったため、自ら1人になるために距離を取っていた。だから精神的にはそれほど辛いと感じたことはなかった。
だがアイラは違う。
人見知りではあるが人恋しい性格なのだ。現に今世で友達ができ、とても喜んでいる。そんな人物が人から距離を取られ、罵倒などを浴びせられて耐えられるわけがない。相当無理をしていたことが分かる。唯一マティスがいたのが救いだったため、精神的に限界ギリギリの状態で、感情を押し殺し精霊魔法士士長としての矜持だけで仕事を全うしていたのだろう。
そんなことを思いながらアイラを見れば、ジンを賢明に治癒している。その姿は前世で治療をしていた精霊魔法士士長の時と同じ。
その意味は明らかだった。
――先生は助かる!
「大丈夫。先生は助かります」
確信に満ちた目で言い切るリュカにシガスは眉根を寄せ疑いの目を向ける。
「なぜそう言い切れる? 心臓が止まってるんだろ?」
アイラのことを知らない者はそう思うだろう。ましてやアイラは学生だ。未熟な学生がする治療法が効くとは思わないだろう。だからシガスの反応は正しい。だがアイラのことを知っているリュカからしたら、あのアイラが本来の姿なのだ。精霊魔法士長であり、何百人と治療をしてきた経験豊富な人物なのだ。だから言い切れる。
「でもあいつは治る者しか治さないので」
これは絶対に揺るがない決定事項。
1ミリとも疑わずに言うリュカにシガスはフッと笑い言う。
「あんた、あの嬢ちゃんのこと、よく知っているんだな」
「そういうわけでは……」
ただ前世の記憶からそう思っているだけなのだが、シガスは違う意味で取ったと思ったリュカは、アイラとの関係を訂正しようと、
「アイラとはそういう関係――」
と口を開いた時だ。シガスがリュカの言葉にかぶせるように、
「あんた達はお互いを信頼しあってるんだなと言いたかっただけだ。変な意味はない」
と付け加えた。リュカは驚き言葉を言い止す。そんなリュカにシガスは笑顔を見せ聞く。
「そうなんだろ?」
「あ、はい」
間髪入れずに応えたリュカにシガスは満足するように笑顔を深め、
「いい仲閒だな」
と言った。
その言葉がリュカの胸に刺ささった。
――いい仲閒……。
前世ではリュカもアイラも言われたことがない言葉だった。
なぜか嬉しい気持ちでいっぱいになる。
そしてリュカは口元を緩ませ、
「そうですね」
と答えた。
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