152 赤竜の竜柱⑱ ジン、倒れる
初めてこちらを見つけていただいた方へ
ありがとうございます。
1話がとても短いものになっております。あっという間に負担なく読み終えてしまう短さです。ですので3日に一度朝6時更新という短いスパンです。 たまに遅れまる場合が(^0^;)
ちょっとの暇な時間の穴埋めになれたら嬉しいです。
ちらほらと、あらすじが挟んでおります。もし興味がありましたら、そちらをちょこっと除いていただければ、なんとな~くわかっていただけるかとw
よろしくお願いしますm(_ _)m
――くそ。限界だ。
そう思った時だ。ジンの横にシュリが現れた。
「!」
『国守玉の脚よ。あと少しだ』
その瞬間、ジンの体に力が戻る。
――一気に力が戻った!
『最後だ。一気に練りあげよ』
同時、やり方が脳裏に刻まれた。一瞬で理解したジンはその通りにする。
「終わりだ」
刹那、魔穴が金色に大きく光った瞬間、消滅した。
「終わった……ぜ……」
そう呟いたジンの体は横に傾き、そのまま倒れた。
「先生!」
アイラは驚き這いずるようにジンの元へと行く。
「先生! 大丈夫?」
だがまったく返事がない。アイラはハッとしジンの胸に耳を当てる。
――息をしていない!
すぐに回復魔法を施す。
「アイラ?」
アイラの行動にリュカは異変に気づき名前を呼ぶ。
「先生が息をしていない!」
「!」
――疲労困憊で気を失っただけじゃないのか!
リュカも急いでジンの元へと行こうと足を踏み出した時だ。うまく足が出ずその場に倒れるように膝をついた。
「リュカ!」
倒れたリュカを見て叫ぶアイラに、
「俺は大丈夫だ。先生を」
とリュカは片手を上げ制する。だがそれも無理矢理した動作だ。鉛のように体全体が重くこれ以上動くことが出来ない。
――体が動かない。鉛のように重い。
原因は、前世の時の感覚で魔力を解放して使った結果、発展途上の今の肉体には負担が大きかったのと、ジンの国守玉の力がリュカの体の中に入ったからだろう。
「くっ!」
どうにかして立ち上がろうとするが、やはり全身に力が入らない。
――国守玉の力は諸刃の剣だな。
膨大な力が手に入るが、その後の反動が酷い。
――ここで敵に攻撃されたら終わりだ。
「くそ!」
思い通りにいかない体に苛つく。すると四竜の青竜が言う。
『リュカ、仕方のないことだ。国守玉の力は普通の人間には強すぎるため毒なのだ。ジンのように『国守玉の脚』の者達は生まれ持って耐性があるから良いが、お前は耐性はないからな。反動が酷いのだ』
それをジンの治療をしながら聞いていたアイラが不満全開の声をあげた。
「でも先生は倒れたわ!」
青竜はそう言うが、現実はジンの方がリュカよりも酷い状態ではないかと言外に言う。
『それはリュカはジンの国守玉の力だが、ジンは、国守玉の本来の力を借りたからだ』
「私もシュリが力を貸してくれたわ? なんで先生だけこんなに酷いのよ」
アイラは今にも泣きそうになりながら言う。
『それは、質が違うからだ』
「質?」
リュカが訊く。
『ああ。アイラを手伝った時の国守玉の力は、人間のアイラに合わせて力を与えておった。だがジンは違う。それではあの魔穴は閉じれないと判断したからだ。そのためそのままの国守玉の力をジンに与えたのだ。だが国守玉の力はやはり人間の体には合わなかった。だからジンは体のすべての機能が停止したのだ』
「なっ!」
アイラは目を瞑って真っ青になっているジンに治癒魔法をしながら、
「そんなの! なんでこうなることを分かっていて先生に力を貸したのよ!」
それしか方法がないのは分かっている。だが文句を言いたくなる。
『これはジンも承諾していたことだ』
「!」
アイラは目を見開き驚く。そしてリュカを見る。リュカはただ目を細め表情を変えない。知っていたことを意味していた。
――知らなかったのは私だけ……。
それは仕方ないことだ。結局四竜の体を取り戻すことをするのはジンとリュカだったのだ。そしてリュカは『国守玉の脚』であるジンの後継者になるのだと聞いた。ならばジンから聞いているのは当たり前のことだ。
――胸の当たりはモヤモヤする。自分だけ仲間外れにされた気分だ……。
だがそんなことを思っている場合ではない。ジンの命を助けなくてはならないのだ。
そしてこの命は、助かる命なのだから。
――全力で治す!
「先生! 頑張って!」
アイラは大声でジンへ声をかける。
そこへ遠くにいたシガスが走ってきた。
「ジンは大丈夫か!」
「シガスさん、リュカを!」
アイラの強い口調にシガスは一瞬驚くが、その意味を理解し「あ、ああ」と応え、膝を突いて動けないリュカの元へと行くと癒やしの魔法をかけた。
「大丈夫か?」
「はい」
「それにしても、嬢ちゃん、いきなり厳しい声で言うから驚いたぜ。どっかの上司みたいだな」
シガスはリュカに治療をしながら少し怯えたように言う。
――そりゃそうだ、元は精霊魔法士長だったのだからな。
まさに今のアイラは前世の時の精霊魔法士長だった頃のアイラそのものだった。
前世でもよく治療するアイラを見かけた。そして部下にテキパキ指示し、命が助かる者を優先に助けるように部下に指示を出していたのだ。そのため、アイラが精霊魔法士長になってからは格段に命を落とす者が減った。それはアイラの治癒魔法が優れていたのもある。
「ジン、危ねえんじゃねえのか?」
シガスが倒れたままのジンを見て心配な顔を向けて言う。シガスも精霊魔法士の端くれだ。ジンが今どんな状態なのかを把握しての言葉だった。
リュカも眉根を寄せる。今ジンは瀕死状態だ。だがアイラは全力で治療を続けている。
「先生! 先生!」
その姿を見てアイラの前世の姿が蘇る。
戦いの後、マティスが治療をしていたアイラを見てリュカへと言っていた言葉を思い出す。
マティスと隣国に訪問する時に襲われ戦闘になったことがあった。相手の敵国は待ち伏せし、爆薬を使い、マティス達を狙い大爆発を起こさせたのだ。幸いマティスはリュカに守られ無傷だったが、魔術師団や兵士の何十人と多くの者がその爆発に巻き込まれ酷い傷を負ったのだ。その治療班としてアイラ達精霊魔法士が現場に来たことがあった。
それがリュカにとってアイラの治療魔法を初めて間近で見た時だった。
【前世】
アイラ達は来た早々すぐに治療に取りかかる。
まずアイラは一人の瀕死の状態の兵士の所へ行くと、治癒魔法はせず、ただ顔を近づけ、うんうんと頷き始めた。それを少し遠くからじっと見ていたリュカにマティスが言った。
「珍しくリュカが見入っているね」
「ただあの者には治癒魔法をしないのはなぜなのかと気になっていたたけだ」
マティスはアイラを見て合点がいき説明した。
「リュカはアイラが治癒しているところを見るのは初めてかい?」
「ああ」
あまり精霊魔法士と一緒に仕事をすることがなかったためだ。
「アイラはああやって命が尽きそうな者の願いを優先的に聞くんだ」
「は?」
「アイラは助からない者に、むやみやたらに治療魔法をしないんだ。それよりも最期に何か願いはあるかを話せる状態の時に聞いてあげて後悔がないようにしてあげるんだよ」
最後まで読んでくださりありがとうございます。
少しでも良かったと思っていただけましたら、ブックマーク、いいねボタンの方よろしくお願いします。
とても励みになります。
これからもよろしくお願いします(_ _)




