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IFかもしれない世界で綴る物語(あるかもしれないみらいで生きるライフ・ストーリア)  作者: きちだ しんゆう
理想と幻想の間~ミックスド・リアリティ
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現れる黒いもの






「何?」

「何あれ?」


空を見上げた時にはそこには幾何学的な模様が不規則あるいはそれこそがこ

の模様の規則であるかのように動き回っていた。



「な、何なのよ?…一体?」


これは、一体何なのか?何が起こったのか?何故現れたのか?これから何が

起ころうとしているのかなど少なくとも綴也の頭の中に思い浮かぶ余裕すら

無い程に混乱して目の前の現象に目をただ見ているだけであった。

空の黒い幾何学模様は不規則な動きを止め模様は端から上昇しやがて球体状

に形を変えてった。

その球体はまるで何かの卵のように思えたがどこか何か仕掛けがある玩具を

思わせるようでもあった。

この常識の範囲から飛び越えた事態に何故そんな事が考え付くのかと己に突

っ込みたくなったが入れられるくらいに我に返っている事に綴也は気が付い

たが球体も先程まで慌しく動いていたのにその動きを止めた瞬間球体から大

きな音が聞こえた。

その音と共に幾何学模様の球体は突如として不規則なような規則的に各所か

らヒビが入り模様がはがれていった。

その間にも大きな音は鳴り響き続けた。


「な、何なのよ!?この音は!?」

「うぅ!」


その音に誰もが耳を塞いでいた。

その音は文様が剥がれれば剥がれるほど大きくなっていくその内にそれが音

ではない事にここにいる皆が気が付き始めた。

これは音ではない、声なのだと、雄叫びなのだと。

それにここにいる誰もが気が付いた瞬間そこから大きな大きな黒い何かが現

れた。

蛇にも鰐にも似ているがその顔や眼はそれらよりも鋭く。

体は人間に近いが全身の殆どが鱗で覆われその背には戦闘機のよりも蝙蝠に

近い翼が左右に4つ付いていた。

知っている人間はその生き物をこう呼ぶ。

空想上の生き物。

竜またはドラゴンと…。

そうしてそう呼ばれるはずの生き物は突如として現れて…。


「さあ…遊戯を始めようか?」


先ほどの雄叫びではなく地球上で現在人間だけが使える筈のもの…そう言葉を

発したのだ。

しかしその言葉の意味を何人が理解できていただろうかあるいはそれが出来て

いたかはわからない。

それが出現し形が明確になった瞬間に多くの人々がそれを合図に走り始めた。

いや逃げ始めた。

それの見えない所へその声の聞こえない所へ一分一秒でも速くと言わんばかり

に…。

彼等が逃げる間に黒い竜はその大きな右腕をマントを閃かせるようにも見え

る仕草で振るった。

振るった右腕は近くのビルに当たりそれだけでビルが砕けて倒壊し黒い竜の

右腕の衝撃は倒壊させたビルの隣四軒も貫いて同様に倒壊させてしまった。


「さあ出て来い。この私がわざわざ出向いてやったのだから楽しませて貰わ

ねばこの地は跡形も無くなるぞ?」


その竜の呟きを誰も聞いてはいない。


「…君!?ちょっと綴也君!?」


綴也は駆け出していた。

正しくはそこにいた人間達全員がだ。

逃げなければ、死ぬとそう思ったからだった。

それだけが頭の中を駆け巡り身体も動いていた。


「て、手離して!!自分で走れるから!!」

「…え!?」


思わず振り向くと綴也はサクラの手を取って走っていた。

その事に今更ながら気付いた綴也はその手を離す。


「す、すいません!!無我夢中で…」

「いいわよ!!私もあの場では全然動けなかったもの助かったのだけど…握

られた手が痛かったわ」

「うっ!!」

「でも、お陰で我に返れたわ…。ありがとう」


綴也が思っていた以上に力が入っていたのかサクラが右手で握られていた左

手を庇い擦っていた。


「どういたしまして…じゃないごめんなさい…」

「まあ、それはこの状況を脱してからにしましょう」

「そ、そうですね。でも生徒会の皆は…」

「居ますよ…一緒に」

「うわぁ!!?」

「いや…驚きました。「逃げろ!!」と聞こえた瞬間サクラの手を取って走

って行ったのですから…呆気にとられましたよ…」


背後からかけられたシアの声で綴也はあの正体不明の巨大生物から逃げる為

に生徒会メンバーの事を忘れていた事に気が付いた。


「そ、それもごめんなさい…」

「でも副会長。会長棒立ちだっただからいいじゃない…」

「そ、そうです…あんな状況じゃ仕方ないですよ…」

「う…あの時は…色々必死だったんです…」


ここにいても安心は出来ないのでとにかく安全な所まで避難する為に全員で

再び見晴らしの良い交差点に出た。


「おい!!どうなっているんだ!!」

「何で、進めないのよ!?」

「クソ!!クソ!!クソ!!」

「何でだよ!!何でだよ!!どうなってるんだよ!!??」


しかし、そこには多くの人達がごった返していた。

その人だかりからは悲鳴や怒号瞬く間に飛び交い続けていた。


「な、何が起こっているの?」

「まさか…此処から先に進めないというの…?」

「そんな!?」


何故こうなっているのかは理解できないが見えない壁らしきものに阻まれて

此処から逃げられない。

ならばどうすればいいのか綴也の頭の中は混乱していた。

その時おもむろに顔を周囲に向けた時あの黒い怪物が此方を見定めたのが見

えた。


「逃げろ!!あの大きいのがこっちに気が付いた!!早く!!」


誰かがそう言った時には黒い怪物は天に手を掲げていた。

掲げた手には黒い光が形を得て黒い大きな剣となって怪物の手に収まった。

怪物の手には収まったそれは正に大剣と呼ぶべきものでありそれを片手で自

分の一部のように振るっていた。

怪物は片手で大剣を綴也達がいる方向に軽々と振り下ろした。

その一振りは地を割り、一振りによって起きた風は津波の様に押し寄せ彼ら

がいた場所を跡形も無く吹き飛ばしてしまった。


「未だ現れずか…ならばもっと派手に燻り出してやるか…」


そんな光景を作り出した黒い怪物はそれを作った事に興味は無い様に只そん

な事を呟くだけだった。


「…也君…綴也く…」


あの黒い怪物が手を掲げている間に綴也達はその場から走り去って今も走っ

ていた。

あの怪物が何をするのか解らない以上とにかく離れる事しか考えられなかっ

た。

自分がアイディアルと言うスポーツをやっていて有名な仇名を持っている悪

い有名人である事など今の事態に直面してしまえばあの怪物が手の平で振る

えばそれだけでその事実ごと吹き飛ばしてしまうと思った。

あの怪物が何なのか?など考える事は出来ない。

考えてしまえばあの脅威に足が竦んでいる。

だから綴也は意識的に恐怖で竦んでいる自分の身体を無理矢理動かして走ら

せていた。

何時もアイディアルでやっている様な動きなど出来てはいない。

その間に向こう側で大きな音が迫って来たがそれも無視した。

決して早くは無いがそれでも走らなければあの黒い怪物を再び見る事になっ

てしまう。

だから綴也は走っていた。

絶え間なく続く破壊の音も無視した。


「君!?、綴也君!!」


自分の名前を呼ぶ声に気が付いた。


「え!?」

「これで二度目なんだけどそろそろ降ろして!!」

「降ろす?」


そうして見てみると綴也の手には自身よりも背の高い桜色の髪と眼をした女

の子が抱っこされていた。


「ああ!!?ご、ごめんなさい!!」

「まあ、お陰で助かったんだけど…」

「いえ、あの大丈夫ですか?」

「最初は右手を引っ張られながら走らされて…」

「…すみません」

「しかも…途中でお姫様抱っこされたし…」

「ああ!!す、すみません!!」

「大丈夫よ気にしないで…」

「でも…」

「皆と逸れちゃったわね…PDで連絡しているけど…今はつながらないみた

い…」

「すみません…無我夢中だったから…」

「今はとにかく逃げる事が大事、気にしたら駄目よあの子達は大丈夫よ…ま

た見つけられたら何で逸れたのよって文句を言ってやれば良いんだから…」

「…はい」


街は先ほどのにぎやかな喧騒などまるで夢だったのかと思いたくなるような

有様だった。

周囲は瓦礫と残骸の山。

その中には見てはいけないと言語化してはいけないと訴えかけるモノすらあ

る気がした。

しかしサクラとの会話で自分の身体を蝕む恐怖が少しだけ和らいだのを感じ

た。

恐怖が和らいだ事で生きる事為に綴也はサクラと一緒に避難を再開しようと

した。


「おかあさぁーん!おかあさぁーん!おかあさぁーん!」

「え!?」

「どうしたの?」

「今、子供の声が」

「まさか!?…こんな状況で!?」

「おかあさぁーん!おかあさぁーん!おかあさぁーん!」

「こっちです!!」

「ちょっと!?」


二人が泣き声のする方へ向かうとそこには幼い女の子が泣いているのが見え

た。

周りを見渡してもそこは瓦礫ばかりの廃墟で彼女が泣き叫んで呼んでいるお

母さんらしき人間は何処にもいない。

逃げている間に逸れてしまったのか。

それとも…あの瓦礫の中にいるのか。

今、あの怪物は近くにいるはずだが見つけた以上この子を放って逃げる事は

嫌だと思った。

綴也は女の子に目線を子供に合わせて言葉を掛ける。


「ねえ、どうしたの?」

「おかあさんが…おかあさんが…いなくなっちゃたの…」

「はぐれちゃったの?」

「わかんない…わかんないの…」

「そっか…よし…じゃあ一緒に行こう?」

「え?」

「一緒におかあさん探しに行こう?」

「……」

「ね…?」

「う…うん」


綴也は彼女が話を聞いてくれてほっと胸を撫で下ろした。

このような状況で親がいなくなってしまっているでは話が出来ないかもしれ

ないと思っていた。

綴也自身恐怖が和らいでも恐怖が消えた訳ではないので上手く話しかけられ

るのか不安でもあった。

しかし思っていたよりも簡単にこの子を落ち着かせる事が出来た。


「この状況で良く子供を落ち着かせたわね…」

「子供の頃、良くお世話になっていた人がこんな風に話し掛けてくれてたか

らそういう風にしたら何とかできるかもって思って…」

「そう…君がその子を保護している間に生徒会の皆とも連絡は着いたわ…」

「良かった」

「皆と合流してからその子のお母さんを探しに行きましょう」

「…はい」


そうして三人はここを離れようとした。


「ほう、このような所で生き残っていたとはな…」


三人の後ろから声がした。

その声には聞き覚えが有る様で無かった。

初めに声を聞いたときには聞く前に逃げ出していたのだから。

それがどんな声をしているかなど認識できていなかった。

だが、今の声の主が何なのか綴也は解った。

振り返りたくなくとも振り替えさせられた先には…。

あの怪物が目の前にいたのだった。


「あの一撃で全て刈り取ったつもりだったが私も修行が足りないか…」


何を言っているのかが理解できなかった。

何をしようとしているのか理解できなかった。

それを理解しようとする余裕は無かった。

間近といって良い距離で見る怪物の威容に考える事が出来なくなってしまっ

ていた。

黒い怪物の大剣は再び天に掲げられて今度は先程よりも近くで振り下ろされ

ようとしていた。

その結果は火を見るより明らかだ…。


「貴様達は戦士ではないが我が剣から逃れた事に私なりの敬意を表そう…こ

の一撃で!!」


その一言が言い終わった瞬間に怪物に握られている大剣は三人の前に振り下

ろされる。

その瞬間大地が割れるような音がした。

したはずだった。

しかしそんな音はせずに黒い怪物は大剣を振り下ろしてもその体勢のまま動

かなかった。


「貴様…」


目の前に蒼く光る剣を持った少年が自身の大剣を受け止めていたからだ。


Mル…今回のあとがきではあまり詳しい事は語れません。

   今後のネタバレになりますので…。


E香…何時も詳しく話などしていないだろう…。


Mル…突如として現れた怪物、そして何故綴也さんがそんな怪物

   の攻撃を受け止められたのか…。

   その答えは次回に続く…という事で。

   

E香…まあ、私達はその理由も知っているし解ってもいるのだけど

   な…。


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