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IFかもしれない世界で綴る物語(あるかもしれないみらいで生きるライフ・ストーリア)  作者: きちだ しんゆう
理想と幻想の間~ミックスド・リアリティ
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寒そうな格好の死神と…






長い黒髪に黒い眼に水着の様な形をした何かというべきか露出が多い服装と

呼べるのかロープと言うべき何かを身に纏いその手にはその身体よりも大き

な刃の鎌があった。


(あの人、ゲームの中とはいえ風邪引かないのかなあ)


吐き気が抜けない中綴也はあの人物が何者かよりもこんな春の季節でも風邪

を引かないか心配になってしまいそうになるくらいの服装(?)だった。


「あんたは…」

「死神ガラーシア!?」

「何でアンタが違法住人の肩を持つ訳よ?」

「それはその子が違法住人じゃないからですよ…」

「何ですって?」

「その子は今日初めて住人登録をしたばかりの住人なんです」

「そんな訳無いでしょ!?今日始めたばかりの奴がこんなに強い筈ないでし

ょ!!」

「そうですそれこそ違法住人ではないというのならば…」

「ええ、その子は理想求者なのですよ…」

「「!?」」


謎の女性から理想求者という言葉を聞いた瞬間二人の少女の顔が驚愕に染ま

り驚愕のままそこでえずいているアオヤに顔を向けていた。

それが何なのかはアオヤには解らない。

思考しようにも吐き気が収まらずにそれ所ではなかった。


「つまり…裏切り者って事?」

「ええ」

「裏…切り?」

「裏切り者というのは理想求者でありながらイリュシオンの幻想住人になっ

た者の事を言うんです」

「どう…して?」

「イリュシオンに登録された住人は誰もが超人的な身体能力や特殊能力を自

由に行使する事もできるのですがそれにも個人差と呼べるものがあって此処

との相性がいい人はその分通常よりも行使できる能力が強いのです。しかし

特にアイディアルの経験者はこのイリュシオンというゲームの中でも高い能

力を持つ事が良くあるんです」

「そう…なん…で…すか?」

「理想求者が此処に来ると昔から此処でプレイしている幻想住人を短い期間

で超える事が多いので反感から裏切者と呼ばれる事なってしまったのです」


謎の女性の一言でようやく自分があの黒いドラゴン相手に大立ち回りを出来

たのかその謎が解けた。

自分がアイディアルの練習で頑張った結果とこのイリュシオンのお陰であれ

だけの事が出来たのだと。

アイディアルをやる為に頑張ってきた事がこのような形で現れる等思いもせ

ず努力が認められた気持ちになったがアイディアルで認められた訳ではない

事にアオヤは寂しさを一緒に味わって顔の表情も複雑になった。


「でも…なんで裏切り者なんですか?」

「それは…」

「私達にとって理想求者は敵だからよ…」

「…敵?…どういう事?」

「理想求者共は私達幻想住人の敵なんです。あいつらはそこにいる突然変異

より許せませんわ…」

「コイツと意見が一致するのは癪だけどあいつらはあたし達の敵なのよ。そ

このインチキ女よりも許せないのよ」

「貴方は理想求者でありながらそのアイディアルと言う敵地からこのイリュ

シオンに来た者、だから私達は貴方達のような理想求者を裏切り者と呼ぶの

です」

「まあ、という風に言っている人もいますが全ての幻想住人がこんな人達で

はありませんので誤解しないで下さいね」

「あ、ありがとうございます」

「うるさい!!露出狂女!!」

「黙りなさい!!露出狂女!!」

「ですがそろそろ貴方達も名物行事の同士討ちをやめて自分達のエリアにお

帰りいただくといいのですけれど…」

「同士討ちじゃない譲れない戦いなの!!そいつが違法住人じゃないという

話は信じてやってもいいけどそれとこれとは別よ!!」

「その通りですその少年の疑いが晴れたとしても貴方も私達の敵である事に

変わりはありません…」

「それに余計にコイツは見逃せないわ、正体が裏切り者ならば尚の事コイツ

は此処で殺すわ。邪魔をするならアンタも…」


二人の少女達は戦いをやめる気配が無くアオバが理想求者だと知ってむしろ

先程よりも戦う気が満々な気がした。


(あれ?何か忘れているような…?でもそんな事考えている余裕は…)

「仕方がありませんね。ですが貴方達の毎週恒例ケンカ祭りなのですが…も

う少し時と場所を考えて行うべきだという事をそろそろ学ぶべきだと思うの

ですけれど…」


そう死神が言った瞬間何処からか大きな爆発と破壊の音が聞こえてきた。


「「!ッ」」

「な!?」


その音がする方を向くと爆発音の音源らしき場所からあの黒いドラゴン程で

はないが三体の巨大なロボットが出現し何やら足踏みをしていたり地上にパンチを繰り出しているようだった。


「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「に、逃げろ!?こいつらには俺達程度の魔法も超能力も通じないぞ!!」


また三体の巨大ロボットの出現位置とは反対の方角からは長さだけならば黒

いドラゴンよりも長大な蛇が出現してその長大な身で戦っていた連中を薙ぎ

払っていた。


「な、何だコイツは!?」

「どう見たって蛇じゃねえか!?こんな住人ありかよー!?」


また違う所ではドラゴン並の巨大なゼリー状のプニプニしている何かが戦闘

中の連中を自分の身体の中に閉じ込めていた。


「な、何なんだこれ…」

「う、動けねえ…」

「んー!!んー!!」

「と、溶ける!?溶けてるぞ!?…コレぇえええ!?」


先程まであった超能力者達と魔法使い達の同士討ち込みの戦いの声はやがて

彼等の悲鳴に変わりそれは瞬く間に広がっている。

綴也の耳に三つの地点以外にも悲鳴が聞こえてきたので彼等を圧倒する誰か

が現れて同じような事をしている様だった。


「さて…どうやら戦いも鎮圧されつつあるようですね…」

「…チッ!!」

「…クッ!!」

「貴方達の大規模戦闘はこのゲームの名物の一つですが毎回毎回各エリアで

こんな大規模の戦闘を起こして色々壊してそのたびに各エリアの名を持つ者

や上位の住人に叩きのめされているのですから本当にいい加減に戦うなら時

と…」

「覚えてろ!!この露出狂女!!」

「覚えていなさい!!この露出狂女!!」


二人は共にそう言って片方は浮かび上がりもう片方は箒にまたがって空に去

っていった。

セリフが何度もピッタリ同調しているのを見てアオヤはやっぱりあの二人は

仲が良いのかも知れないと思った。


「あの二人…今度会ったら即座に首を刎ねましょう…絶対に」


その一言は彼女なりの理由があるはずなのでアオヤは考えないようにした。


「いやあ、間に合いましたね…」

「し、思命さん!?」


謎の女性の後方から正体不明の老紳士思命が現れた。

彼は本当に自分との約束通りに助っ人を連れて来てくれた。

お互い見ず知らずの人であるのに自分は思命が助けを呼んでくる事を信じ彼

はその約束を守った。

此処はゲームで遊びの筈なのにこんなになって必死になるのは何でだろう不

思議に思いながらも助っ人を連れてきた思命に感謝した。


「…あの人達は?」

「ご心配なく安全な場所まで退避しましたので…」

「良かった…あとありがとうございます戻って来てくれて助かりました…」

「いいえ、貴方も始めてばかりであの二人に立ち向かったのですから…」

「そんな…、あの、この人が…?」

「ええ先程言ってた助っ人ですよ…。といってもあの人達と同じ町内会の方

なんですが…」

「え!?町内会!?町内会って…あ、あの…この人は一体?」

「私の町内会の仲間が助けていただいて感謝いたします」

「え!?い、いえ…先にそのおじさんがあの人達の危ない所を見かけて僕も

それを見て思わず行動しただけですから…」

「そうですか…うふふ、朝倉君は謙虚ですね…」

「いえ…そんな事は…って?何で僕の名前を…?」

「…ガラーシア」

「…うふふ」

「あ、あのぅ…貴女は…?」

「あら、私が貴方の住人登録に付き添ったではありませんか…」

「え!?という事は…いやその声は…」



アオヤはようやくの女性の正体は何なのか?という当たり前の疑問をひねり

出した。

そもそもこの女性はアオバが現実の自分が理想求者であると知っていた。

そして彼女は自分がアオバの幻想住人の登録に付き添ったと言った。

目の前にいるこの大きな鎌を持った女性の正体は…。


「し…」

「リアルの名前を言うのはマナー違反ですよアオヤ君?」

「…あ」

「元々は町内会の人達と一緒に遊んでいたらあの恒例のケンカに巻き込まれ

て皆と逸れてしまったのです…」

「そこに私と朝く…ゲフン、アオヤ君が通りかかったという訳です…」

「そ、そうだった…」

「「わぁぁぁぁああああああああああああああ!!」」

「ん?」


ガラーシアことシアの事情説明を聞くアオヤの耳に二つの叫び声が近づいて

来た。

その声の主をその目で見たその時ガラーシアが二人に接近し手に携える大き

な鎌でその二人の首を刎ねた。


「「「え?」」」


それは先程この場を去って行ったあの二人の少女だった。

アオヤと二人の少女達から異口同音が発せられる。

首を刎ねられた少女達はその瞬間首の根から赤い液体を吐き出して少女達の

身体は倒れた。

その瞬間分かれた身体と首が光り出し瞬く間に光の粒子の群れとなり空へ上

っていった。


「このゲームでは致命傷は即、死につながります。そして死んだらあの様に

なりますから十分気を付けて下さいね…」

「あ、あの…ガ、ガラー…シアさん。何で…ですか?」

「さっき私の事を露出狂と言ったからです。私も望んでこんな格好や鎌を持

っている訳では無いと言うのに言っておきますけど現実に死ぬ訳ではありま

せんから大丈夫ですよ」


だからといってそれはあんまりではないかアオヤは思った。

ゲームだからといってそれで良いとアオヤは思えなかった。

此処はゲームとは説明もされたしゲーム初心者とはいえそれなりに理解もし

ているつもりだった。

こういう事もゲームの演出の筈なのにそれがどうしても受け入れたいとは思

えなかった。


「…だからって此処に逃げてきた理由も聞かずに殺すなど…」

「その必要も無いでしょう」

「…?」


ガラーシアがそう呟きながら空を見上げる方へアオヤも視線を向けた時。

空で大きな音が鳴り響き雲が割れた。

その割れたた雲の中から二つの何かが急速に降りてくるのがのが見えた。

一つは大きな巨体に大きな翼その手にはその身が持つに相応な大きさの大剣

を持つアオヤ自身名前と存在そのものを今日生まれて初めて知ったドラゴン

という空想上の生き物。

しかし空から降りてきている眼の錯覚なのかアオヤは最初に見た時よりも姿

形が変わりが更に大きくなっている気がしていた。

もう一つはそのドラゴンの身長と同等の長さの大剣を持った赤い髪に赤い瞳

を持った少女だった。

空の二人は何やらお互い悪口を言いながらお互い大剣を振るいその衝撃で最

初に争っていた筈の者達は逃げる間も無く衝撃の渦に巻き込まれているのが

見えた。



「サクラ先輩にドラゴンさん!?でもドラゴンさんなんだか姿が…」

「アオヤ君…マナー違反」

「あら…完全にどちらもトップギアですね…このままだと…」

「このままだと…?」

「このエリア自体がマッ!!平ら!!になりますね…」

「まっ!!平ら!?」

「先程の連中の戦闘を人間同士の戦争というのならこれはもう怪獣同士の戦

いなのです!!」

「でも何でこんな事に…?」

「あの黒いドラゴン…アリスティーアと話に行って来るといった時点でこう

なる事は解っていたのに…全く」

「話し合いに行って来るんじゃなかったんですか!?」

「彼女達の話し合いはイコールあれなのです。先程の連中なら戦闘の後日に

自主的に街の修復に参加するんですがあの二人になるとまるで借金を踏み倒

すかのごとく力づくで文句を踏み倒してしまうのです。しかし何故かそれが

あの連中の戦闘以上に不思議な人気を持ってしまって…」

「不思議な人気って…後あの人達は修理を手伝ってくれるんですね…って今首

斬ってましたよね!?」

「大丈夫です。あの組織はそれとこれくらいは分別が付けられない人達では

ありませんから…ですがあの二人は毎度毎度人の服装に悪口を言ってくるの

です。実はあの二人の首を刎ねるのはこれが初めてではないのです…」


あの集団にそんな一面があった事を知り少し心がほっこりした筈なのに先程

の首を刎ねられる一幕とその理由を知ってだ台無しになった気分だった。


「さて、これから私達はあの二人のケンカを止めにいかなくてはこのまま見

ているだけ言うには行きませんから…」

「じゃあ…」

「アオヤ君は逃げなさい…」

「え!?」

「今は二人供本気です。貴方が止めに入った時とは訳が違うわ…」

「でも…」

「大丈夫ですこれも何だかんだでゲームのイベントなのですから別に本当に

死ぬ訳ではありませんから…それに止めに入るのは私だけではありませんか

ら、それに私達にも意地があるのですよ」

「私達の…意地?」

「はい。このイリュシオンの幻想住人プレイヤーとしての…です」


そう言って大きな鎌を持った女性は空へ飛び少女と怪物が起こす嵐の中へ向

かっていく。

そんな彼女と同じように先程あの戦闘で鎮圧をしていた者達があの嵐に向か

っていくが見えた。


「所謂…ゲーマーの意地ですね」

「?どういう…」

「攻略不可能なものに挑むのはゲーマーの性というものなのです貴方にも違

いはあれど譲れないと言うものはありませんか?」

「…あります」

「それが彼女達にとっては今という事なんでしょう…。さて我々は駅まで逃

げませんと駅まで逃げれば後は安全に観戦できますから…」

「あの…」

「…?」

「此処で見るというのは…」

「…死にますよ?」

「…でも此処はゲームなんでしょう?だったら…」


綴也自身不思議だった。

何ゆえに此処で見るという言葉が自分の口から出せたのか…。

理由は解らない。

もしかしたらゲーマーの意地と言う言葉に自分の譲れない物があると老紳士

に問われてそんな気持ちになったのかもしれない。

しかしそれに対して綴也は今後悔は無かった。


「…仕方ありませんね…では私も残りましょう」

「ええ!?でも…」

「いいえ、貴方の意地に私も少し当てられただけですから…確かにこれは…

ゲームなのだから生で見ないとね…」

「おじさん…」


そう言って老紳士はアオヤの前に立ち手を広げ…。


「さあ!!特等席でご覧下さい!!このイリュシオンの上位である名持ちの

住人達の戦いを!!」


ミュージカルの俳優のように高らかと歌うように声を上げた。

しかしその直後に老紳士の遥か後方でで大きな爆発がまるで日に出のように

立ち上がりアオヤも思命も吹き飛ばされてしまった。


「グッ…」

「まあ、これも…このゲームだからこそなんですけどね」


吹き飛ばされたアオヤの意識が途絶える寸前に先程まで聞いていた老紳士の

声とは違う女性の声を聞いた気がしたがその声の有無を判断す前にアオヤは

意識を失った。


「…君…アオヤ君…起きて下さい」

「…ッ…うッ」

「…気が付きましたか?」

「僕…気を…」

「ええ…私も一緒に吹き飛ばされて仲良く気絶してしまいました間に…周り

は…」


そう言われ周りを見渡したアオヤは言葉が出なかった。

そこはまるでつい先程見ていた黒いドラゴンによる破壊の光景の再現の様で

破壊された建物の残骸ばかりだった。

その中には今迄戦っていた筈であろうモノ達が様々な所で倒れており巨大な

ロボットは全身がバラバラに長大な蛇は全身を黒こげにされたまま大地に伸

びて動かない。

さらには廃墟の周りには巨大なゼリー状の生き物の一部らしきものが所々で

見つかった。

その他にも自身が気絶する前に見た人達が様々な格好で気絶していたりした

り中には大地に上半身が埋まって足だけ出ているという者もいた。

此処が現実ならば助けに行かなければいけないが此処がゲームだというので

大丈夫だろうとは思った。


(ふくかい…じゃないガラーシアさんは…いない?何処に?)


そんな中を歩くと夕焼けを背景に何も無くなった大地にお互い向かい合いな

がら腰掛けて何か満たされた表情の一人と一匹の姿を見つけた。


「これは…引き分けのようですね」

「あの…これ…ゲームなんですよね?」

「ええ、こんな事も出来る。起こっている様に見せるとんでもないゲームな

んです」

「街はどうするんですか?」

「心配要りませんこういう街を作るのが大好きな人達もいらっしゃいますか

らまあ遅くとも現実の時間でいう所の十日で街も再建されるでしょう…」

「十日って…」


ゲームの中とはいえこんな街の破壊と再建が現実の街を舞台にして毎日の様

に起こっている様に見せている。

確かにこれはとんでもないゲームだという所には綴也は心から老紳士の言葉

に同感した。


「…おや?」

「?」

「そろそろ夕方の六時になりますね」

「もうそんな…ってそんな事を言ってる場合じゃ…」

「いいえ、イリュシオンの時間ではなく現実の時間がです」

「?どういう…」

「我々は帰らないといけません。まあ、直ぐに解りますよ…」


そういった直後大きな鐘の音が響く。

その音に聞き入っていたらアオヤの体が光に包まれていった。


「!?これって!?」

「心配要りませんよ。良い子は帰る時間なんですよ」


老紳士のその言葉を最後にアオヤは視界も光に包まれ老紳士も廃墟の光景も

見えなくなった。


「おっかえなさーい!!」

「…うわぁあ!?」

「何で…避けるんですか?」

「理由解ってるのにそんな事をしないで下さい…」

「ぷぅー…」


光に包まれて光が消えた直後に見たことの無い部屋にいたと思う直前に両手

を広げて迎えるミフルの顔が彼の間近にあった。


「あの…何でミフさんが…?」

「ああ、イリュシオンの目玉の一つとしてこのゲームには全世界で試験運用

されている転送装置(トランスポーター)を導入しているんです」

「て、転送装置!?」


転送装置などそれは人類にとって夢の装置の一つ。

未だに様々な問題が存在しごく一部の中で試験運用がされているというのは

綴也もニュースで見ていた。

しかしまさかそんな夢の装置を自分自身の体で体験するなど思いもしなかっ

た。


「まあ住人がこの幻想から現実に覚めるために用意された目覚まし時計のよ

うなものです。最もこのイリュシオンのフィールドとこのホームポイント内

にある転送ポイントに住人が行き来する限定ですが…」

「あの、ホームポイントって?」

「簡単に言うと、綴也さんの場合はこの新天神駅の事ですよ。ちなみにホー

ムポイントや転送される時間はPDで設定を任意に変更できるんですよ」

「?…時間はわかるけどホームポイント変更って此処以外にホームポイント

があるんですか?」

「ああ、これは言ってませんでしたね。綴也さん実はイリュシオンはこの福

岡を含めこの日本でエリアが十三存在しているのです!!」

「へぇ、イリュシオンってエリアが十三もあるんですね………………………

え?」


転送装置が導入されているだけでも驚きなのにあんな体験が可能な場所が合

計十三存在している等と聞いて今までイリュシオンの存在自体を知らなかっ

た綴也が驚きを叫びにしたのは言うまでもなかった。


「綴也さんの今までに無かったビックリ顔、最高です。黙ってて正解でした

ウフフ、私の綴也さん表情集に登録しませんと…」


自分を驚かせる事に成功したミフルはそんな事を言っていたが綴也は驚きの

あまりに突っ込む気力はなかった。

その後綴也が変哲もない形をしたピンク色のドアを出ると住人登録の際に入

った新天神駅の地下だった。

とにかく駅のロビーに向かうと生徒会のメンバーが待っていた。


「今日は初心者の綴也君もいるから早く帰った方が良いと思ったのよ。それ

に客が少ない内に帰った方が席に座れて君も良いと思ったのよ」


彼女達に気を遣わせてしまい綴也は申し訳なく頭を下げたが彼女達は気にし

なくて良いと返されまた自身の体質を考えると席がある方が後は眼を閉じて

いれば事故は防げるので彼女達の厚意に甘える事にした。

出会ってそんなに時間は経っていないがそれでも今イリュシオンの話しで盛

り上がっているこの生徒会のメンバーがあのイリュシオンのゲームの中でと

はいえあんなにも激しい戦いを魔法や超能力のような力で戦っているのかと

思うとやはり意外な一面だなと綴也は思えた。

でも彼女達の顔を見ているとイリュシオンというゲームを楽しんでいる事は

良く解ったし会話から先程のサクラとあの黒いドラゴンとの戦いもゲームの

勝負のとして負けた事を悔しがっていたのが解った。

つまりあの戦いでは生徒会のメンバー全員が戦いに参加していた事になる。

サクラとシアは正体を知ってしまったが彼女以外のメンバーがどんな姿をイ

リュシオンではしているのか興味はあるが聞くのはどうなのか気になったの

で聞いてみた。


「私達は偶然あの高校で揃っちゃったから正体を明かしちゃってるけど…まあ

、基本リアルを知っているのは親しい友人だけでましてやいきなり相手のリア

ルを聞くのはマナーとしてどうかと思うから聞かないのが正解だと思うわよ」


と言われたので聞くのは辞めようと思った。

人の嫌がる事はやっちゃ駄目だ親やお世話になった人達からも良く言われた

からだ。

ただ何か引っ掛かる何かを引っ張り出そうとした時に電車到着のアナウンス

が流れた。

やって来た電車の席は彼女達の言う通り席も空いていたので座って帰りは朝

とは違いゆったりと夕焼けの光を閉じた眼の中で感じながら目的地まで電車

に揺られたのだった。

そうして駅まで辿り着きそこで解散し綴也は家路に着いたのだった。

食事を済ませ風呂まで入り歯まで磨いた綴也はそのままベットに大の字にな

る。


(ああ、あのおじさん結局誰なんだろ?それに…あの人は…ああ、駄目だ…

もう眠い)


寝床についてようやく頭の中で引っ掛かっていたものを思い出したが疲れが

溜まったのかそのまま瞼が重くなっていく。


(イリュシオンの事アウラお姉ちゃんは知ってるかな?手紙に書いたら笑わ

れるかな?制服の時は写真を送ってって言われたし…)


その日綴也はそのまま眠りに着いた。


T也…うーん。


Mル…あら、どうしました綴也さん?


T也…作者さんがあとがきで本編とは関係の無い事を書いている

   からそれで良いのか悩んでいるんだって…。


Mル…それを綴也さんが悩んでいるんですか…。


T也…一話一話が長いとその分情報量が多くなるからそこに重き

   をおいた方が良いのかもと思うけど…。


Mル…思うけど…?


T也…つい、本編とは違い少し自由に書いてしまうんだって。


Mル…そもそも何であとがきをこの形式にしたんでしょう?


T也…会話形式のあとがきを読んでて楽しそうだったらだそうで

   す。


Mル…あとがきの道も険しいという事ですか…。


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