表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
IFかもしれない世界で綴る物語(あるかもしれないみらいで生きるライフ・ストーリア)  作者: きちだ しんゆう
理想と幻想の間~ミックスド・リアリティ
18/178

何よりも怖い…






日曜日、イリュシオンというゲームの中とはいえ物語の一ページに出てきそ

うな世界大戦を現実にした様な戦いを体験した翌日綴也はいつものスポーツ

センターに開始時間から来ていた。


「…ふぅ」


自分が世間の流行に疎いのは自覚があるしアイディアルという複合現実を使

用したスポーツしているとはいえあの()()は綴也自身に大きな衝撃を与えた。

突如街に出現した黒いドラゴン(種族名昨日覚えたて)が街を破壊し始め死

ぬかもしれないと恐怖を抱き。

そんな自分が黒いドラゴンとの現実を大きく逸脱した戦いを演じ止めに来た

生徒会長からこれがゲームなのだと知らされても信じ切れずそれでもあの黒

いドラゴンさんに誘われこのゲームを初めてそこでも仕事をしていた自称自

分専用インストラクターのレクチャーを受けて全身蒼色のアオヤになってプ

レイし始めて謎の老紳士と知り合いいきなりイリュシオンにいる超能力者達

と魔法使い達の戦いに巻き込まれた。

そんな彼女達の戦いを止める為にリーダー同士らしい少女達の間に割って入

ったら彼女達を圧倒したた自分自身の動きに吐き気を催し動けなくなった。

そんな時に助けてくれた春でも風邪を引きそうな格好の死神と呼ばれる女性

が自分の学校の副会長で彼女達の会話で出た色々気になる言葉を聞こうと思

ったら今度はドラゴンと会長と住人達による物語に出てきそうな大きな戦い

が発生し戦いを見ようと残ったら呆気も無く吹き飛ばされてそのまま気絶眼

を開けて見れば街は正しく真っ平らになっていた。

呆然としミフルのいる所に自動的に戻され世間では一部にしか試験運用され

ていない転送装置が使われていたり挙句あのイリュシオンのようなエリアが

日本で合計十三存在しているというどの出来事も衝撃的で未だどう受け止め

ればいいのか綴也は解らなかった。

あの老紳士の正体やイリュシオン中に吐いた事等気になる事は沢山あるが心

の中に色々詰まりすぎて整理が付かないという事で好きな事でもやればば少

しは落ち着けて昨日の事を少しは落ち着いて整理するのに良いのでは思った

のだ。

サクラ達にも昨日の事を整理する為に時間が欲しいと頼んで許可を貰い此処

に来ていた。

サクラからも…。


「初日からあんな体験してたらそりゃそうだよね。なんだかごめんね…」


と納得してもらってもらえた。

尚彼女達は今日は朝から新天神つまりイリュシオンに遊びに行っている。

今日もイリュシオンに行くといっていた彼女達からしても綴也の様な初体験を

したらお休みしたいという気持ちは汲み取ってもらえた事に綴也は感謝した。


(会長達、楽しそうだったなぁ…)


綴也にはサクラたちの言う楽しさがどれほどあったかは解らない。

だがあの二人は戦いを楽しんでいた。

もしも自分もあのゲームに慣れて来たらあんな風になれるのか?

そんな事を思ってもそんな自分が思い浮かばず綴也は苦笑しながらセンター

の中の何時トレーニングルームに入っていく。

返り血を浴びたような模様の白いアイディアルウェアに着替えてラジオ体操

第一から準備運動もして準備を整えメニューから練習相手を指定する。


「…よし!!」


今日の練習相手は滅多に選ばないが女性を選択した。

綴也は体質的に女性とは戦いたがらない。

例え立体映像とはいえ胸に当たれば即嘔吐だからである。

だが今日はあえて女性を選ぶ事にした。

その瞬間そこに一人の少女が姿を現した。

相手は一言で言えば白い少女だった。

しかし、彼女の身長は綴也よりも上で背比べしてしまったら綴也の顔は綴也

のデッドラインに収まる位置になる程だった。

髪と目の色もその身を纏う装束も右手に握る剣も全てが白い世界中の白とい

うものを凝縮しその白が光を放ち輝いている様に見える。

白色の色付きの少女。

アイディアルでは「白い姫神」(ホワイト・ヒロイン)と呼ばれたアイディ

アル歴代最強と言われた少女の立体映像だった。

綴也は右手に剣を左手に銃を構える。

立体映像の少女も右手に剣と銃を取る。

風景も施設のものから開かれた天井の闘技場に変わる。

十秒のカウントダウンがゼロになり開始のアラームが鳴り響く。

綴也と少女は揃ってお互いに走り出し剣を振るい振るった剣が激突し剣の共

鳴を歌い上げた。


「はあ…はあ…」


綴也は息を切らして大の字になって倒れていた。

あれから綴也は何度もこの少女と戦いそして負けた。

アイディアルの再現とはいえ何回も首と体が分かれて敗北し何回も心臓に剣

を突き立てられ敗北し何回も体中を正に蜂の巣にされあるいは切り刻まれて

蜂の巣逆に蜂の巣にされて切り刻まれた。

何回も何回も戦いを挑んでも結果は敗北だった。

さらには相手は立体映像とはいえ女性。

綴也には体質があってそのために一瞬でも胸を見てしまえがそれだけでダメ

ージになりそれが大きな隙になって前述の結末につながる。

少女の立体映像はニンジャ・マイスター以上に容赦なく綴也を何度も敗北さ

せた

ならば自分のレベルに合う練習相手を選べば良い言われるかも知れないが彼

にその選択肢が無い。

綴也はとある理由から女性ならばこの少女、男性ならばニンジャ・マイスタ

ーという自分の実力では天と地程差があるこの二人以外に練習相手を選ぶ事

が出来ない為に自分のレベルにあった練習が出来ない様になっていた。

出来るのは桁違いの実力を持った理想求者達の立体映像に一分一秒でも長く

戦い敗北する時間を延ばす事だった。


「あらあら、何時もながら見事な負けっぷりですね…」


そんな時に自分を倒した白い姫神から声をかけられる。

綴也は声に息を切らしながら顔を向けるも驚きは無かった。

何故練習相手は立体映像でるしゃべる訳が無いのでこの場所で自分に声をか

ける人間はいないしそん人物は一人(?)しかいないからだ。

その人物は白一色の外見の中で眼だけを山吹色に変えていた。


「み、ミフさん…?」

「久しぶりの彼女はどうでした?」

「うーん、負けるまでの時間が延びたくらいかな…十分だけだけど…」

「段々伸びてきましたね。最初は0.3秒だったのに…」

「二年かかったけど…」

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


しかし綴也は一度だけこの少女に勝利した。

それも此処にある立体映像ではなく本物の白い姫神にである。

それなのに立体映像にこの有様だった。


「無くなっちゃたけどね…」


しかもその勝利はその後自分が場外だった事が発覚しこの勝利は幻となって

しまった。

その後綴也は姫神殺しという仇名を付けられ理想と言う名のスポーツの門か

ら閉め出されてしまった。


「本当にあの時勝てたのは色々と重なってたんだな…って思ってそれを実感

してる」

「そうですね…」

「それに、姫神殺しって呼ばれるようになるなんて思いもしなかったし…」

「綴也さん、そんなに怖かったですか?」

「彼女の事?…いや…」

()()()()()()()()()()()()()()()()

「……え!?いきなり何?」

「初めてプレイするのにあんなに巻き込まれたのですから…怖い思ってもお

かしくないと思ったのですよ…」

「怖い?僕が?…」

「ええ。今日あのイリュシオンではなく此処に来ているのはイリュシオンが

怖かったからではありませんか?」

「僕は…恐く」

「責めてる訳ではありません。我慢しないで良いんです。あれを怖いと思う

のは寧ろおかしくないんです…だから」


イリュシオンが怖かったのか?。

先程のミフルの言葉が耳に入った瞬間綴也の頭の中で繰り返し続けていた。

反論も出来ないし口が開かなかった。

繰り返せば繰り返すほど思い出し始めた。


「あ、ああ…」


突然の巨大な怪物の出現。


「ああ…」


破壊される街。


「ああ…」


もっと明確に思い出していく。

逃げる途中に見えた街の残骸から出ている人間の手や足らしきモノが見えた。


「ああ…」


全身が震え出し体中から汗が出て呼吸も荒くなる。

そして死ぬかもしれないと思ったあの威容との対峙。

そう、どうして考えてみれば何で恐怖しなかったのか?

それが後でゲームだと解ったからか?

街が元通りになったから安堵したからか?

あの元凶の筈の黒いドラゴンに一緒に遊ぼうと話しかけらられてそこに不思

議な親しみや嬉しさを感じたからか?

しかし、あれであの時感じた恐怖が無くなったのか?

否、自身の心の中に残り続けていたのだ。

だが、恐怖を感じる前に色々と起こりすぎて恐怖を自覚する暇さえ無かった

のである。

ミフルに指摘されても反論は浮かばなかったし出来るわけもなかった。

自覚した今、恐怖というものが血管を巡る血液の様に綴也の全身と心を駆け

巡る。

止めようにももう止められない。

恐怖と言う色の無い血液が全身に行き渡りでまるで決壊したのダムの水のよ

うに体の内側から溢れて来る。


「あ…」


恐かったと言いたかった。

あの人達の前でそう叫びたかった。

でも出来なかった。

何故ならあの時何より恐怖したのは…。

何より怖かったのは…。

あの黒いドラゴンと戦った自分自身が怖かった。

何故か戦えた自分が怖かった。

()()()()()()()()()()()()()()()自分がドラゴンという生き物と戦えていた事など考えもしなかった。

そう彼女達を護ろうとして護る為にと殺そうとした。

そして、それを止めに来たサクラをも殺そうとした。

本当はあれはイリュシオンというゲームなのに本当に殺す気になってしまっ

ていた。

そんな自分がいたのにそんな事をいう事は許されないと思ったから恐怖に蓋を

したのだった。


「ああああああああああああああああああああああああああ!!」


両手の武器が滑り落ちて何の変哲の無い硬い地面に落ちる音がする。

しかしそれは今の彼の心のひびが割れた現われの様だった。

そう自分は本気で誰かを殺そうとしたのだ。

何も知らないとはいえゲームの中とはいえ怒りを殺意をを抱き殺そうとした

のだ。

黒いドラゴンやサクラに一度謝って許されてそれで全て水に流せたのか?

それでも自分が怖くて仕方が無かったのだと言い訳するつもりなのか?

自分にそんな部分がある事を知って自分自身がとてつもなく醜い人間に思え

て仕方がない様に思えた。



「がぁあああああああああああああああああああああ!!」


床に映りこんだ歪んだ顔の自分を見た。

綴也は玩具の光剣を右手にそれを絶叫と共に振り下ろそうとした。

そんな自分自身は死んでしまえと自分を殺す為に振り下ろそうとした。


「大丈夫ですよ」


しかし光剣を振り下ろす音がなる事は無かった。


「もう、大丈夫、大丈夫ですよ…怖かったんですよね貴方は…」


何時もの様に一緒にいるので綴也もよくよく忘れてしまうが彼女…ミフルは

人間ではない。

電子製命体と呼ばれるモノであり電子情報の塊である。

しかし電子製命体と呼ばれるモノ達は人間に触れる事が出来る。

ミフルは子供をあやすかのように自分の頭と背中を撫でている。



「ですがあの時の貴方は誰かを護る為に剣を振るったの。その為に怒りと殺

意を持った。それが正しい行いとは言いません。ですがそんな風に自分を否

定する必要もないのよ。だって貴方は…」


彼女は人間ではないしかしその言葉も頭に触れる手の感触も温かさも伝わっ

てくる。

それは手だけではない。

胸部つまり胸からもである。

通常ならばそれは心が温まる情景の筈だが綴也という少年にとってそれは…。


「ミブさん…」

「どうしました?」

「吐きそう…」

「あら…」


さっきまでの恐怖はいつの間にか吐気に変わっていった。

表情も青くなる。

それでもミフルは。


「フフ、遠慮せずどうぞ。ただし、後でちゃんとお掃除して下さいね」


と満面の笑顔で答えてくれたので何時もならばエチケット袋を使うが綴也は

ミフルのその言葉に甘える事にした。



「ようやく落ち着きましたね」


床に色々ぶちまけてから床のお掃除まで一通り終了して綴也は背を壁に座り

込んでいた。


「すみません…」

「どうでした?久方ぶりの私の胸は…?」

「どうと言われても…気持ち悪いとしか…」

「非道い!!私の胸に顔を埋めておいて気持ちが悪いだなんて…綴也さんの

ロクデナシー!!」

「僕がああなるって解っててやりましたよね?明らかにからかっているでし

ょ!?ミフさん!?」

「何を言ってるですか!?私の胸は…この身の全ては…綴也さんをからかう

為にあるというのに!!」

「力説しないで下さい!!」

「でも、何だか来た時より顔色は良くなりましたよ…」

「え!?やっぱりそう…かな…?」

「はい、文字通り床に色々ぶちまけてすっきりしたのでしょうね…」

「うぅ…ごめんなさい。何だか取り乱しちゃって…」

「ふふ、良いと言ったのは私ですから…」

「でも、何で僕がイリュシオンが怖かったか解ったんですか?」

「それは長い付き合いですから」

「そ、そう?」

「二つめの理由はあんな綴也さんを見たのは初めてだからです」

「あんな…って?」

「まあ、綴也さん貴方は要するにゲームの中で()()ちゃったんですよ…」

「えっ!?キレ…た?」

「はい、私もあんな貴方を見たのは初めてです。私見ですが色んな事があの

時に吐き出されたんでしょうね…色々とありましたから今迄」

「え!?…え!?」

「その時の映像を見ましたけど凄かったですよ。手加減されてるとはいえあ

の黒竜の両足斬るわ、両腕斬るわ、両翼斬って地上に叩き落すわ、顔を滅多

斬りにするわ、挙句の果てはあの黒竜と同レベルの相手に喧嘩売るとか…」

「うあああああ!!」


吐き出して色々スッキリしたがやはり自分の行いを語られると顔を真っ赤に

何とも言えなくなり綴也は頭を抱えて蹲りたくなったがそれを我慢した。

先程あんなに取り乱したのだからそれを繰り返したくなかった。


「何時もなら見ることの無い綴也さんの一面が見られて直ぐに私はフォルダ

に保存しましたけどね…」

「何で保存するんですか!?」

「まあ、衝動買いみたいなものです」

「衝動買いって…」

「三つ目は綴也さん専属インストラクターとしての勘ですよ」

「そんな仕事は無いでしょう!?」


それから暫くの間ミフルが楽しそうに今回の事をからかってくるので綴也は

それを止めるべく言葉の戦いが始まるのだった。


「あ、そうだ!?」

「どうしました?」

「昨日イリュシオンで吐いちゃったんだけど」

「その要因を私なら知っていると思って聞きに来たと」

「えっ?」

「本当はその為に来たのではないんですか?」

「えぇ?聞きに?…今日は気分転換に…って」


彼女に指摘されて改めて気が付いた。

ミフルはスポーツセンターのインストラクターとイリュシオンのサポートA

Iの二足草鞋をリアルタイムで実行しているのを昨日知った。

こんなにも身近にイリュシオンの事に詳しい人が居るのだった。


「ああ!!」

「はぁ…ご両親に聞いたらご両親も喜びますよ…色々と」

「でも…アイディアルの練習してたらそんな余裕が無くって…終わったら宿

題と予習で…」


ミフルは彼が此処に来るまでその考えに至らなかったのは単に彼が抱いた恐

怖がそれだけ深かったのだろうという事にした。


「何だか気の毒な人を見てる眼をしてる気がするんですけど…?」

「実際に気の毒だと思ってるんです…素直で真面目な子なのに何でこんなに

…」

「そう?僕より素直で真面目な人は沢山いると思うけど…?」

「…まあ、簡単な事くらいなら説明は出来ますし聞きたい事があるなら説明

しましょう」

「良いの?でもミフさん仕事が…」

「貴方が来たら私は貴方を優先して良いと言われているんですよ。誰も彼も

貴方の相手はしたくない様ですから…」

「…ごめんなさい」

「落ち込まないで下さい。私は貴方が来たら私は貴方をからかい放題なんで

すよ!!こんな幸せは他に無いのですから」

「何故そんなに心から嬉しそうな顔を浮かべるんですか!?」

「嬉しいんですよ!!」

「はぁ、じゃあ遠慮なく質問良いですか?」

「どうぞどうぞ。私のスリーサイズや性に関する相談でも構いませんよ無料

で相談に乗ります」

「その相槌って必要なんですか?」

「綴也さん、会話というのは時にこういう悪ふざけもそれに耐える忍耐も必

要なんです。客商売は特にね…セクハラまがいの一言でも耐える必要がある

んです」

「その…お疲れ様です。じゃあまず昨日イリュシオンで貰った大剣から蒼い炎

が出たんだけどあれって一体?…」


今のミフルのセリフに何か疲れの色を感じた綴也は思わず労いながら質問に

入った。


「蒼い炎ですか?成程…」

「ミフさん?」

「簡単に言うと綴也さんの場合はキャラクターよりも武器に対して想いが有

ったからあの大剣が出来上がったのでしょう」

「武器に思い…ですか?」

「ええ。心当たりはあるでしょう?」

「うん…」


そう、元々綴也はアイディアルで大剣を使いたかった。

しかしそれを使う前に大剣は使用不可能になってしまった。


「大剣から出たと言う蒼い炎とやらは恐らくその大剣が持っている力なので

しょう」

「武器が力を持つの?」

「そんなものは古代からの常識です。武器の力は貴方がこれから理解してい

く事が大事です。まあ、キャラメイクの細かい事は綴也さんには難しそうな

のでまたの機会にしましょう…」


だから自分がイリュシオンでまさか大剣を使えるとは思いもしなかった。

それは怖かった事だらけのあのゲームの中で嬉しいと思える事だった。


「次に綴也さんがイリュシオンで嘔吐した原因です」


そう、それはある意味一番聞きたかったことである。

しかし何故ミフルは言いにくそうな顔をしているのか気になった。

ほんの数瞬の間を置いてミフルが口を開く。


()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「適応?」


その言葉に綴也は顔を傾げた。


「要約するにイリュシオンという環境に適応しないとイリュシオンではつい

ていけなくなり吐いてしまうんです」

「?つまり、暑い寒いに順応しないといけないのと同じようにイリュシオン

という環境に慣れないと気持ち悪くて吐くって事?」

「そういう解釈で間違っていませんよ。ただコレばかりはとに角プレイして

身体を慣らしていくしかありません」

「成程…」

「但し、時間には個人差があるんですけどね…」

「そ、そう…」


果して、自分は何時間やればイリュシオン酔いを克服できるのか。

しかし、生徒会に入る為にはイリュシオンのプレイは必需だというのならば

やるしかない。

イリュシオンに関しては様々な問題があるが只でさえ女性の胸以外で吐いて

しまうでこれ以上そんな要因は持ちたくないと綴也は思う。

しかし、それが克服できるであろう問題である事に安堵してもいた。


「まあ、イリュシオンはあくまでもゲームなんですから楽しんでもらって慣

れていただければ…っと思いますので綴也さんも今回の事は気にしない様に

…」

「は、はい…」

「今日は気分転換で此処に来た言う訳でとりあえず質問には答えたのでアイ

ディアル練習で気晴らししましょう!!貴方にもっと練習が面白くなるもの

ご用意いたしました!!じゃじゃーん!!金網電流デスマッチミフルカスタム!!」


と高いテンションになったミフルの大仰な身振りと声とともに綴也の目の前

にプロレスリングのリングと呼ばれるものが出現した。

しかしそのロープと柱ははロープではなく刺々しい金属で結ばれていた。


「ちょっと待ってください何で作っちゃうんですか!?それ!?やらないっ

て言いましたよね!!それにカスタムって事は…」

「はい。本来のものより酷い作りにしていますよ。だって痛みはあくまでM

Rの再現ですから…」

「だからって痛くない訳じゃないでしょう!!」

「痛いのは生きてる証です」

「そうだろうけどそんな事で生きている事を感じたくは無いよ!!」

「ちなみにカスタム内容は体感する電流の出力と爆発の威力をオリジナルよ

り上げて金網ロープはドリルの様に回転する仕掛けになっただけですから」


良く見ると刺々しい金属製のリングのロープがドリルのように回転していた

のが見えた。

これは当たったらどうなるか等想像できない。


「何でそんなステージ作ったんですか!?」

「元々、今日無理矢理やらせる心算だったんでよ。こんな日にはもう何も考

えずにガンガンいきましょう!!」

「ええ!?」

「色々吐き出してスッキリしている筈ですから大丈夫でしょう!!さあさあ

、金網電流爆破デスマッチミフルカスタム!!レディー!!ゴー!!」


ミフルの掛け声共に綴也はリングに投げ入れられ同時に白い少女の立体映像

が再び出現した。

ゴングが鳴り1秒後に爆発と綴也の悲鳴が上がった。

結局、その日はミフル考案の金網電流デスマッチを一日中やらされる羽目に

なった。


金網電流爆破デスマッチ


T也…昔の人はこんな事をやってたんですか…。

   現実にやっていたら確実に死ぬ気が…。


Mル…アイディアルという複合現実環境だからこそ出来るのです

   よ。

   現実でこのミフルカスタムを作ったら参加者の葬儀代まで

   用意する前提の予算を組む必要が…。


T也…絶対やれませんね。(体験したのでしみじみ)


Mル…確かこれのオリジナルに参加されていた方はその後政治家

   のなられましたよ。


T也…何か人生って解りませんね…。


Mル…皆さん様々な可能性があるのです。

   全ては隕石が落ちる可能性よりも低かったとしてもです。

   だから綴也さんもお嫁さん探しを頑張って下さいね。


T也…その前に恋人です。

   恋人になってからお嫁さんと段階を踏まないと…。


Mル…(そこはここで言う事ですか!?と突っ込んで欲しかった

   …)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ