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婚約破棄され泣きながら帰宅している途中で落命してしまったのですが、待ち受けていた運命は思いもよらぬもので……?  作者: 四季


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1話「婚約破棄され、女神と話し」

「お前との婚約は破棄とする!」

「え……なぜ、ですか」

「なぜ? 馬鹿なことを言うな。お前は俺を裏切っていただろう。俺以外の男と歩いているところを見たぞ」


 その日私はすべてを失った。

 婚約相手であった彼の呆れるような勘違いによって。


「昨日ですよね。一緒にいたのは兄です! ですので、貴方が言っているようなことは一切していません」

「兄だと? 嘘をつくな! 馬鹿みたいな嘘つくな!」

「嘘ではありません。命だって賭けられます。誓って嘘など口にはしていません、理解してください」


 私は婚約していながら別の異性に手を出すような人間ではない。

 分かってほしいのに分かってもらえない。

 一緒にいたのが兄だということは証明できるのに証明するほんの少しの間すら与えてもらえない。


「お前はみっともない下品な女だ!」

「違います!」

「はは。何を言っても無駄だ、寒いだけ。言い訳なんて、自分の馬鹿さを強調するだけの行動でしかない」


 こうして婚約破棄されて。

 泣きながら家へ帰ろうとしていたところ、通りすがりの謎のおじさんに刃物で刺され、死亡した。



 ◆



『あなたは死にました』


 次に気がついた時、目の前にいたのは女神だった。


「し、死ん……?」

『はいそうです』


 女神の瞳は虹色だ。

 珍しい宝石のような独特の色をしていてとても美しい。


「ええっ……あ、でも、そうでした。思い出してきました。私は確か、誤解で婚約破棄されたうえ、通りすがりの人に刺されて……」

『記憶が戻ったようですね』

「そうでした。はい。確かに思い出しました」

『では大切なことをお伝えしましょう。あなたの今後に関わる、他のどんな物事よりも大切なことを』


 やたらともったいぶってくるなぁ、と思っていたら。


『あなたは亡くなるたびに強くなります』

「は、はぁ」

『その力で、いずれ、世界を救ってください』

「ええ!?」

『それはあなたにしかできないことなのです。分かっていただけましたか? お願いしますね』


 さすがに意味不明過ぎたので「ちょ、ちょっと待ってください!」と発したのだけれど女神は待ってくれなかった。


『ではよろしくお願いしますね』


 女神が消えて、やがて、私自身の意識も薄れてゆく。


 ああ……。

 これから私はどうなってゆくのだろう……。


 分からないことばかりだけれど、でもきっと、流れのままに生きてゆくしか方法はないのだろう。


 ならば今は大人しくしていよう。


 いつかはもう少し形が見えてくるだろうから。

 まだ何もしないでおいて。

 この先のことを考えるのは後にしよう。

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