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3秒ルール 〜悪役令嬢に転生したら、3秒だけ無敵でした〜  作者: 南蛇井


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影の取引 ― 闇組織《ヴェール》との接触

 ――地下都市ノクス

 光の届かぬ迷宮の奥で、青い鉱石がわずかに脈動していた。

 追っ手の足音が遠ざかる。セレナは息を潜め、壁に背を預ける。

セレナ(心の声):「……教会の諜報部。早すぎる。

帳簿の存在に気づいたのね。」

 その時、背後の影がゆらりと動いた。

 闇の中から、黒いヴェールを纏った人物が現れる。

 女――だが、その声には炎のような芯があった。

???:「“真実を暴く亡霊”――噂通りね。

まさか、あなたが本当に存在するとは。」

 薄明かりに照らされ、女の姿が露わになる。

 深紅の瞳、黒衣に縫い込まれた聖印の切れ端。

 かつて教会に仕えていた者の証。

セレナ:「あなたは……?」

???:「私は《ヴェール》のエスメラルダ。

教会の“神託”に異を唱えた者たちの集まりよ。」

 《ヴェール》――

 聖教会の闇に抗う“影の集団”。

 その存在は、地上では異端として語られてきた。

エスメラルダ:「あなたが持っている帳簿――あれは氷山の一角。

教会は“神託の儀”と称して、人間を魔石の核にしている。」

セレナ:「……人間を、魔石の核に?」

エスメラルダ:「そう。命を光の結晶に変えるの。

ルミナイト――それが人の魂の結晶だと知ったら、

民は誰一人、神を信じなくなるでしょうね。」

 冷たい衝撃が、セレナの背を走る。

 その瞬間、過去の記憶がよみがえった。

 ――企業の内部不正を暴こうとして、裏切られた自分。

 ――社会の“正義”が、自分を切り捨てたあの日。

セレナ(心の声):「……どの世界も同じ。

正義の仮面の下で、人を犠牲にしてる。」

 沈黙を破ったのは、後ろで腕を組んでいたカインだった。

カイン:「さて、どうする?

このまま闇に潜って、生き延びるか。

それとも、光の下に出て“正義”を焼くか。」

 セレナはゆっくりと仮面を外す。

 金色の瞳が、闇の中で淡く光る。

セレナ:「決まってるわ。

光の下に隠れてる“嘘”を――全部、引きずり出す。」

 エスメラルダの口元に、わずかな笑みが浮かぶ。

エスメラルダ:「いいわ。その瞳……まるで神を断罪する光ね。」

 青白い鉱石の光が、三人の影を照らした。

 その瞬間、どこかで金属音が鳴る。

 ――“真実を暴く亡霊”が、再び動き出した。

 静寂の中、カインが呟く。

カイン:「おいおい……今度の標的は、神様か。」

 闇が笑い、世界がざわめいた。

 そして、亡霊の令嬢の反逆は、ここから始まる――。

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