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426 神様に任せた結果と帰還

修正しました。

「え? → 「え?」


 色々と見せた結果が不安を煽るってのはダメな証拠だよな。

 そんな風に思って落ち込んでいたらガンフォールが耳打ちしてきた。


「それくらいにしておかんと収拾がつかんぞ」


「そうは言っても、不安がっている相手を落ち着かせないとな」


「は?」


「え?」


「お主は何を言っておるんじゃ」


「そっちこそ」


 そこで少し話し込んだ結果、俺が皆の反応を誤解していただけなのが判明した。

 不安がっているんじゃなくて凄くて驚いていただけ。


『俺、アホすぎ』


 1人で静かに落ち込んでいたいところだが、そうもいかない。

 俺らが話し込んでいる間に観衆はざわめく状態から脱していたのでね。

 再びマイクを手にして挨拶の続きだ。


「あー、分からないことはドンドン聞いてくれ。

 要望とかも遠慮せずに言ってほしい。

 俺らも答えるし、サポート用に自動人形を配置する」


 今度は静まりかえった。

 ガンフォールをチラリと見る。


「意外すぎて呆気にとられておるんじゃろ」


 目線だけで俺の言いたいことが分かったようだ。

 伊達に年は食ってないな。


 なんにせよ、そういうことなら危惧することは何もない。

 後はこの場にいる面子の紹介。

 種族なんかは伏せて名前と立場くらいなもんだけどね。

 紹介された皆も軽い挨拶程度に喋って終わり。

 だから騒ぎにはならなかったよ。

 妻の多さに絶句されたけどね。


「そんな訳でよろしく頼むわー」


 最後に手を挙げて挨拶終了。

 細かな話についてはスマホで確認してもらうことにした。

 操作を覚えるついでに動画とかテキストとかで事情を説明する形になる。


 ただ、全員に配布する前に空間魔法を覚えてもらわないとな。

 今度は俺が教えることになった。

 人数が多いので一筋縄じゃ行かんなと思ったけど皆のサポートもある。

 なんにせよミズホ国に帰ってからになるかと思っていたのだが。


「ハルト、少し待っていろ」


 ルディア様がそんなことを言ってきた。


「何かトラブルでも?」


「いや、そうじゃない」


 見当がつかずに首を捻っていると苦笑されてしまった。


「ヤクモに新しい国民たちを残してきているだろう」


「あー、はい」


 そこまで言われて察しがついた。


「迎えに行ってもらえる訳ですか」


「ああ、そうだ。

 元よりそのつもりだった。

 海エルフと一緒に連れて来れば無駄がなかったのだろうがな」


「いえ、一緒だったらフェアリーたちが混乱していたかもしれませんし」


 睡眠学習で事情を説明してはいるけれども、だ。

 目覚めた直後にヒューマンが大勢いる状況は心臓によろしくないだろう。


「御配慮いただき、ありがとうございます」


「気にするな。

 魔法を伝授したら連絡を入れてくれ」


 どうやら待ってくれるらしい。


「すみません、ありがとうございます」


「だから気にするなと言っている」


 ルディア様に苦笑されてしまった。

 そんなこんなで魔法を教える時間ができたのである。


「では、行ってくる」


「お願いします」


 俺がお辞儀して頭を上げるとルディア様の姿は消えていた。



 □ □ □ □ □ □ □ □ □ □



 数千人規模で魔法を教えるのは相応の根気がいると思っていました。

 いりませんでした。


「私に任せなさーい」


 その一言で俺の魔法講座ではなくエリーゼ様の魔法講座になっていたからなんだが。


『いつもの丸投げっぷりは何処に行ったんだ?』


 いくら首を捻っても捻り足りないくらい積極的なエリーゼ様を見てしまった。

 ミズキやマイカも驚いている。

 思わず勘繰りたくもなるのだがスルー。

 下手にほじくり返すより知らぬが仏で通すことにした。

 結果的に俺が教えるより効率的に魔法が伝授されていたしな。

 なんて思っていたら……


「それはズルいっすよ」


 こっそり皆を進化させていた。

 そりゃあ魔法適性の低いはずのラミーナだって魔法を覚えるのがスムーズに行くよな。

 ラミーナからラミーナ+になるだけで全然違うんだし。

 もちろん残りの種族もフェアリー+、海エルフ+と同様に進化していた。


「まあまあ、気にしちゃダメよ」


「無理だと思います」


「ん、もう!

 融通が利かないわね」


 日本では役所の窓口でよく言われた。

 法令を遵守する立場だったため杓子定規な面があるのは否定できない。


「得はしても損はしないでしょうに」


 確かにそれはそうなんだけど。


「これでも控えめにしているのよ」


 最上位まで進化させることを考慮していたかのような口振りだ。


『エルダーフェアリー、ハイラミーナ、シャドウエルフが一気に増えるのか』


 不自然すぎる気がするんだが。

 既に最上位の種族をわんさかと抱えている身ではあるけれど。


『隣国と地続きじゃなくて良かったよ』


 トラブルが頻発しそうな気がしてしょうがないもんね。

 具体的に何がどうなるとかは想像できないんだけど。


「控えめじゃなくて自重してください」


「えー、ヤダぷー」


「……………」


 もうやだ、この神様。


「神様がそんなこと言ってもいいんですか」


「手違いだから気にしちゃダメよ」


 意味不明である。

 というか支離滅裂か。

 どう考えても手違いではないし。

 やってることも無茶苦茶だ。


 これで上司に目をつけられたりしないのだろうか。

 気にするなと言う方が無理難題だろう。

 それは気にしないとしても気になることは他にもある。


『こんなに依怙贔屓されて良いのだろうか』


 ずっと考えていたことだ。

 得をしている側だから、どうこう言える立場じゃない気がしてモヤッとしなくもない。

 贅沢なことを言っているとは思うんだけどね。


『まあ、今更なんだよな』


 プラスに進化した面々もいずれは最上位種になる者が出てくるだろう。

 諦めが肝要なのだと思う。


 ただ、俺がそれで良くても当事者はそうはいかない。

 自分たちが進化したことに気付いていない者たちばかりなんだし。

 黙っている訳にもいかないよな。

 再び壇上に上がってマイクを使い皆に進化したことを説明。


「「「「「ええぇぇぇぇぇ────────っ!!」」」」」


 上を下への大騒ぎとなってしまった。


『やっぱ、こうなるよな』


 決して想定外ではない。

 だからこそ憂鬱な気持ちになる。


『どうやって説得するんだよ』


 蜂の巣を突いたかのような混乱ぶりだ。

 思わずエリーゼ様の方をジト目で見てしまう。


「アハハハハ……

 いや、ゴメンねー」


 謝ってはくれるけど事態を収拾してくれるつもりはないようで。

 結局、丸投げなのだ。


『勘弁してくれよ』


 そうは思うが、俺の心理状態とかどうでもいい。

 それよりも新たに国民となる一同のフォローの方が大事だろう。

 抗議の意味も込めて魔法は使わない。

 壇上でマイクを使って呼びかける。


「あー、諸君」


 これだけで響めきがざわめきになった。

 正直、助かる。

 悪化したらどうしようとか不安になったもんな。

 だったら魔法を使えってことなんだけど。

 意地でも使わない。


「死にはしないから気楽に行こう」


 俺もけっこう無茶苦茶だ。

 けれども「死にはしないから」という部分が耳に残ったらしい。

 徐々に大人しくなっていった。

 最終的に全員が静まるまで時間はそれなりにかかったけどね。

 お陰でルディア様に連絡を入れるのが遅くなったさ。



 □ □ □ □ □ □ □ □ □ □



 ヤクモ組も無事に合流。

 ヒューマン相手に過剰な反応を示すこともなく変な騒動にもならなかった。

 事前の根回しってのは本当に重要だと思う。

 そういや根回しが不充分な相手がいた。

 ミズホ国の妖精組である。


『うわー、どうすんだよ』


 いざ、帰らんって時にそれに気付いたけど手遅れだ。

 俺の都合で延期させられるなら、そうしただろう。


 が、皆を連れて行くべく転送魔法を使ったのはルディア様だからな。

 間違っても「ちょっと待ってくださいよー」なんて言えない。


 問答無用な感じでミズホシティへと連れ帰られた。

 開発が進んだとはいえ空きスペースはまだまだいくらでもある。

 そういう場所に突如として連れて来られた訳なんだが。


「「「「「陛下、お帰りなさい!」」」」」


 妖精組が待ち構えていた。

 いつもの忍者服ではなく学校の制服姿だ。

 これはこれで統率された印象を与えてくれる。


『……って、そうじゃなくて!』


 なんで帰ってくるのが分かったんだ!?


「陛下だニャー」


 ミーニャを筆頭とする子供組が飛びついて来る。

 混乱した頭だと受け止めるとか回避するという選択肢が出てこない。

 結果的に妖精まみれになった。

 ミズキが「何よ、そのモフモフ天国!?」とか騒いでいるが気にならない。


『そっか、ルディア様が動いてくれたんだ』


 時間はたっぷりあったからね。

 現在時刻は翌早朝。

 時差を考慮しても、それなりに時間を使ったのは明らかだ。

 そんな風に考えたものの俺の推理は見事に外れた。


「ハルトくん、おかえりなさい」


 ベリルママが現れたからだ。

 つまりは、そういうことである。


「ただいま戻りました」


 安堵したのか疲れたのか自分でもよく分からない脱力っぷりで俺はただいまを言った。


読んでくれてありがとう。

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