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404 信者なのかファンなのか

お待たせしました。

すみません。

「神様というと太陽神様ですか?」


「違う、太陽神じゃない。

 こちらの世界の管理神エリザエルス様。

 本人はエリーゼと呼ぶようにと言ってるけど」


「ああ、なるほど。

 異世界でしたね。

 神様も世界ごとに異なる訳ですか」


「なかなか理解が早くて助かるよ」


 俺たちの世界ルベルスでは太陽神と月の女神は絶対的信仰の対象だからなぁ。

 他の神を信仰している者も多いけど主神は別格。

 信仰する神より上の神として崇め奉られるのである。

 そうなると主神は全ての世界の神という認識をされてもおかしくない訳で。

 こんなにアッサリと受け入れられるとは思わなかった。


「ちなみに君らが太陽神と思っているのは亜神だ」


「……え?」


 何を言っているのか分からないという表情だな。


「各世界に唯一無二の管理神がいる。

 その眷属として亜神が何人かいるんだよ」


 呆然とした様子のフェルト。

 まあ、自分たちの信仰してきた絶対的存在が神でないと言われりゃ無理もない。

 むしろ激高したりしないだけマシな反応だと思う。


「管理神の上には統括神もいるそうだ。

 残念だけど俺が会ったことがあるのは管理神までだね」


「ええ──────────っ!?」


 鼓膜をビリビリと刺激する大音量で驚きの声を上げるフェルト。

 ハッキリ言って煩い。

 純田くんが「ぬわぁにぃ」と先輩の物真似をしつつ驚く声が完全にかき消されている。

 俺は聞き取れたけど。


 相変わらず器用な男だよ。

 驚いているのは確かなのに先輩の真似をするんだもんな。

 どんだけ先輩が好きなんだ。

 好きな群青は岩塚群青さんとか言うくらいだから相当なものだとは思うけど。


 思わず吹き出したさ。

 そしたら聞き取れるとは思ってなかったんだろうな。

 純田くんが嬉しそうにニヤリと笑った。

 聞き取るだけなら他の面子でもできたんだけどね。

 理解できたのが俺以外だとミズキとマイカだけだったりというのが寂しいところだ。


 まあ、煩い悲鳴にやられて何人かは両手で耳を塞いでいたけどね。

 ハイラミーナ組は風魔法で遮断していた。

 純田くんの夢の中だと彼女らにも魔法が使えるようだ。

 4つも耳があることで必死になったことは否定できないが。

 ラミーナ系の子たちは、こういう時に苦労するよな。


「かかか神様と会ったことがあるんですかっ!?」


 興奮しまくった様子でフェルトが聞いてきた。

 掴みかからんばかりの勢い、どころの話ではない。

 俺の場合はリアルで掴まれてますよ?


 そのまま思いっ切り前後に揺さぶろうとしている。

 レベル差があるので俺の方はビクともしないけど。

 かわりにフェルトの方が激しく前後に揺れ動いている。

 そのせいで、たゆんたゆんと揺れ動く柔らかいブツが当たってくるんだが。

 当たると言っても触れるか触れないか程度だけどな。


 いや、逆にその方が想像を膨らませてしまうのか。

 実にけしからんモノを持っておるな。

 前後に揺さぶる反動で揺れるなど薄い者にはできない芸当だ。

 見た目はそこまでのものには見えないんだが。


『着やせするタイプということか』


 少なくとも平均より上であろうと思われる。

 これで一般的なフェアリーと同じように背が低ければ、凄まじい破壊力を生んでいたことだろう。


『押し付けられるのもアレだがな。

 こういうのも小さな幸せというか……』


 ゲフンゲフン。

 んー、何もないぞ。

 無いったらない。


 とにかくその微妙な感触を受けているのが余計なことを考える元か。

 いかんな、いかん。

 実にけしからん。


 こんなに何度もぶつけるなど痴女なのかと思ってしまう。

 他人のせいにするのは大人げないがね。

 どうやらぶつけている側は気付いていないっぽい。


 無自覚というのも質が悪いな。

 妻でもないのにそういう感触は迷惑というもの。

 ……ゴメン、嘘だ。

 気持ちいいのは認める。


 認めるけど独身じゃないから、そういうのはいかんだろう。

 俺は別に[ただいま妻を追加募集中]なんて張り紙はしてないしな。

 嬉しくてもヘラヘラする訳にはいかんのだ。

 そう考えると地味にこのまま続くのが鬱陶しい。

 向こうの興奮状態はまだまだ続きそうだし。

 放置はできないので眉間に軽くチョップを入れておく。


「ていっ」


「あうっ」


 何も考えずに反撃したのでカウンターになるとは思わなかった。

 威力はないので首の骨が折れたとかはない。

 かわりに仰け反る形になったフェルトが俺にまともにぶつかって離れる形となった。

 ムニュン。


「あんっ」


 WAO!

 変な声を出すんじゃない。

 俺が変な目で見られかねないんだぞ。


 事故だ、これは事故なんだ。

 意図して柔らかいものを受け止めようとした訳ではないのだ。

 言い訳しても始まらんな。

 スルーして次に行くのがいいだろう。

 背後から「ギルティ……」と呟く声が聞こえたような気がしたが、気のせいだ。


「落ち着けよ」


「これが落ち着いていられますかっ」


 今度は唾を飛ばして食って掛かってくるフェルト。

 理力魔法でブロックしたけどさ。

 誰だ? 御褒美だからくらっておけとか言ってる奴は?

 俺はスケベだとは思うが変態ではないぞ。


「どうして神様と会うことができるんです?」


 そりゃあ称号にも[女神の息子]とあるように親子だからだろうな。

 これをストレートに言う訳にはいかないが。

 俺から質問して、その返答しだいだな。

 まだ聞かないけど。


「どうやったら会えるのですかっ」


 必死だな、おい。


「普通は会えねえよ」


 うちの国民になれば話は別だが。

 俺が呼べばベリルママはホイホイ出てくるだろうからな。

 まあ、そう簡単に呼ぶ訳にはいかないがね。

 とにかくスルー推奨なので話を進めることにする。


「今回は神様の依頼って言っただろ」


 ブンブンとすごい勢いで頷かれる。

 ヘッドバンギングじゃないんだぞ。


「依頼と言っても、こっちの世界の神様からなんだがな」


 ガーンという効果音が聞こえてきそうな程に目を見開いてフェルトは固まってしまった。

 一応はすぐに復帰するんだけど。

 忙しいというか面倒な女である。


「そ、そんなに……

 そんなに大勢の神々と……」


 あーあ、誤解されちゃったか。

 そんなにたくさん知ってる訳じゃないんだぞ。


「直接の面識があるのは俺たちの世界の神様だけだ。

 こっちの世界の神様とは会ったことはない。

 ただし、知り合いではあるがな」


 フェルトが生まれた直後の鹿のようにプルプルと震えている。

 どうやら2人だけでも彼女にとっては多いらしい。


「うちの神様の直属の上司らしくてな」


 少しだけネタバレしておこう。

 エリーゼ様が俺にとっては従姉小母だったりするのは伏せておく。

 ああ、そういや義母にもなるのか。

 ミズキやマイカにとっては母親になるからな。


 考えてみれば俺たちの関係も無茶苦茶だな。

 妻2人とは幼なじみじゃないけど古い友人だったのに後にはとこになって結婚。

 滅多にないことだよな。

 そもそも親が神様だからあり得ない話なんだけど。

 そこをスルーしたとしても珍しいとは思う。


『ん?』


 よくよく考えたら、純田くんも身内になってしまったのか。

 付き合いの期間こそ短いが、俺にとっては数少ない友人だったんだがな。

 その純田くんが友達の枠を超えてはとこで義兄弟になった。

 もはやカオスとしか言い様がない。


 この事実をフェルトに知られるのはマズいだろうな。

 どう考えても煩いだけだ。

 場合によっては教えないということもあり得るし。

 ここは情報を絞っておこう。


「面識はないが何かあったら電話連絡くらいはする相手だ」


 呆然とするフェルト。

 彼女にとってはショッキングな出来事の連続だろうからな。

 面倒な女である。


「今回も電話連絡をもらって依頼を受けた」


「おお……」


 呻くような感じで、ようやくそんな声が出た。


「電話って何ですか?」


「……そうだな、知らないよな」


 剣と魔法の世界ルベルスでも身内限定とはいえ電話を広めていたから失念していた。

 向こうには電話の概念がないということを。


「離れた相手と会話ができる魔道具だ」


「ああ、なるほど。

 念話と同じことをするものですね」


 否定はしない。

 脳内スマホの電話機能はまさにそれだしな。

 色々と念話の補助をしているだけだ。

 俺の開発したやつは、まだまだその領域には達していない。

 今後も改良を加えて双方で会話できるようにしたいものである。


「ちなみに俺の仕事はお前さんたちを純田くんの夢の中から連れ出すことだ」


「ふわぁ」


 変な声が出てきたものだ。

 どう考えても返事じゃないよな。


「しょ……」


「しょ?」


「少々お待ちください」


 俺の返事も待たずにフェルトは固まってしまった。

 どうやら今度は念話をしているようだ。

 俺の言っていることが本当か、あるいは俺を信じるかで話し合っているのだろう。


 いくつか情報は伏せているから信じないに傾く可能性もある。

 その場合は隠れ里から強引に引っ張り出すしかないか。

 【諸法の理】でその方法を確認しておく。

 願わくば、そうならないようにしてほしい。

 さて、どうなりますやら。


読んでくれてありがとう。

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