298 つくってみた『艦載機』そして……
修正しました。
してもても → しても
空中空母を作った。
理由?
主に格好いいからだけど。
アニメで見た艦載機を搭載するタイプの諸々を外見だけ真似してみた。
決してプラモデル感覚ではない。
作ってる途中でプラモデルみたいだと思ったのは否定しないが。
外観は同じでも俺仕様のサイズにしてる。
縮尺はバラバラってことだな。
そもそも人を乗せることのできる大きさでプラモデルはないと思う。
あ、基本的に搭乗員は自動人形だ。
それと武装など部分的に変更点もある。
中身は最初から互換性を持たせているのでオリジナルとは別物だったりする。
空母ごとに内部構造の配置が違うので、もしかすると戸惑う部分はあるかもしれない。
乗ることになればの話だけど。
あと、他の理由としてはスマホの中継基地としての役割を持たせるためってのがあるな。
見た目は趣味で中身は実用ってところか。
どちらかというと趣味の方に傾いているとは思うが偵察もさせているので実用性も高いはずだ。
偵察任務は中継基地を守るために危険な魔物がいないか監視する程度なんだけどね。
まあ、大陸東方にも何隻か配備してるから。
そんな訳で攻めるより守る方を重視している。
ローズやシヅカぐらいの存在が本気を出さないと近づくことすらできない。
強力な結界でガッチガチにしてあるのだ。
防御に特化している分、攻撃に回す魔力が少ないのが難点かな。
現状では主砲を最大出力で撃つには一時的に結界を弱めるしかないのでね。
時間を見つけて新型の魔力増幅器に置き換えるつもりはある。
そういう意味では拳銃を作ったのは意味があったな。
うん、決して趣味だけで作ったのではないぞ。
とはいえ最大出力の主砲は使わんだろう。
これのお世話になるような事態にはなってほしくはない。
出力100%で撃てば大きな街でも軽く吹っ飛ぶだろうし。
そんなの撃つくらいならミサイルの方がマシである。
とはいえ、これも使わないに越したことはないレベルの代物だ。
魔法で強化してあるゲールウエザーの城壁も大穴を開けるくらい。
どう考えても過剰な攻撃力である。
もちろん、そんな物騒なものを軽々しく撃ったりはしない。
周辺被害も考えないとなぁ。
地形を変えてしまうような装備は基本的に封印である。
使うとしたら亜竜より上のクラスの魔物を相手にする時だろうね。
じゃあ普段はどう対応するか。
ふたつの答えがある。
答えその1、出力を控えめにしてある対空兵装。
機銃とか副砲以下の砲門だね。
主砲と比べると破壊力はガタ落ちだけど、これくらいでちょうどいいんじゃないかな。
ちなみに発射されるのは属性魔法だ。
実体弾は用意するのが面倒なんだよね。
とはいえ相手によって属性は変更可能なので地属性を選択すれば代用できる。
属性を変更可能にしたのは相手にした魔物によっては活性化させることがあり得るからだ。
火食鳥とかに火属性の魔法なんて餌を与えているようなものである。
あ、こっちの世界の火食鳥は本当に火を食べるみたいだよ。
見たことないけど。
【諸法の理】の情報だから間違いない。
図鑑的な感覚で魔物だけをピックアップして眺めていた時に目にとまったんだよな。
おー、こっちの火食鳥って火を食べるのかーって驚いたので覚えていたのだ。
確か全長3メートルほどの赤いダチョウみたいな外見をしていたはずである。
外見通り空は飛べない。
遭遇したことはないけど。
こういう奴には水や氷の属性魔法が有効である。
わざわざ言うようなことではないか。
答えその2、艦載機で対応する。
たぶんだけど出番が一番多いのはこれだ。
小回りがきくし攻撃力も程々だからね。
え? 敵を倒さないのかって?
相手によるかな。
赤面クラスなら群れで来ても問題は無い。
鴨が葱を背負ってくるようなものだ。
喜んで素材になってもらう。
問題は亜竜クラスの魔物かな。
空を飛ぶ奴で代表格となると言うまでもなく翼竜ワイバーンだけど。
一応は竜種だけあって防御力が高いんだよね。
おまけに連中だって動かない的でいてくれる訳じゃない。
回避運動をランダムで行うようなら艦砲射撃だと命中率が大幅に下がる。
そこで艦載機に敵を追尾して攻撃する役割を任せる訳だ。
艦砲射撃で牽制し艦載機で攻撃を当てる。
ただ、攻撃が当たっても一撃で亜竜を倒せるほどの攻撃力は持たせていない。
ダメージは入るから頭に当たれば死ぬが、他の部位ならほぼ耐える。
何発か入れれば倒せる程度だ。
ショボいと思うことなかれ。
流れ弾で周辺に被害とか出たらシャレにならんのだよ。
え? 艦砲射撃の副砲?
あれは一定距離で消滅するようにしているからな。
そうそう問題にはならないだろう。
艦載機の方はそんなことに魔力を余分に使うのがもったいないので射撃武器の術式は省略している。
1発の魔力を少なくすることで射程や攻撃力も下げるようにしているのでね。
そうしないと流れ弾が上位の竜種やそれに匹敵する存在に偶然命中したりとかした場合には……
更に怪我させたりなんてことになったら確実に怒らせるよな。
そんなのを怒らせたりするとか面倒極まりないだろ。
つまり、当たっても亜竜より上のクラスの魔物にはダメージにならない程度に攻撃力を落としているのだ。
ローズたちと互角以上に戦える魔物なんてそうそういないだろうけど。
念には念ってやつである。
まあ、艦載機でも亜竜クラスを一撃必殺する手段はある。
接近戦だ。
近寄る方が危険だと思わせないと群れで襲いかかってきた時なんかは損耗が激しくなるからね。
ビームサーベルで亜竜を切り刻めば、さすがにビビるはずだ。
まあ、そうなる前に向こうを撤退させるのが基本方針なんだけど。
自動人形は経験値をゲットしてレベルアップしたりしないからなぁ。
データを蓄積して攻撃や回避のパターンを増やすから、ずっと同じじゃないけれど。
それにしたって接近戦はよろしくない。
現状では損耗しない保証がない。
条件によるけどね。
それで大破なんてされた日には泣いちゃうよ。
よって大物は撃って追い払うのが基本戦術。
狩るのが目的じゃないからね。
自動人形にひと狩り行かせたりはしないのである。
縄張りに踏み込まれた側としちゃ迷惑だろうが居座るだけだ。
撃って痛い目にあうと学習するなら追わない。
向かってくるなら撃ち落とす。
空母に接近しようとしても艦載機しか近寄れない。
結界があるからね。
突破はまず無理なんだけど呼び水になって集られても鬱陶しいから撃ち落とす。
この時点で逃げない奴は死ぬまで逃げないだろうから。
有り難く食材と素材になってもらおう。
だけど普通は逃げるだろうね。
向こうだって死にたくないだろうし。
逃げるなら艦載機にも深追いはさせない。
窮鼠猫を噛むとも言うし。
返り討ちにあうのも馬鹿馬鹿しいだろ?
現状の艦載機は小さくて出力を上げられんからなぁ。
必然的に防御力も落ちるのだ。
亜竜クラスの一撃をまともにもらうと損壊する。
まあ、しょうがない。
空母の方に力を入れたせいで、間に合わせに用意した代物だからな。
本来は8メートル以上の安定した出力を持つ可変戦闘機を考えていたんだけど。
暫定的に用意した艦載機は全長3メートル程度のパワードスーツ風変形機だ。
大昔のオリジナルビデオアニメに出てきたメカを参考にした。
主役ではなく脇役のやられ役専門みたいな奴だけどね。
言うまでもなく主人公の引き立て役だ。
でもね、戦闘機なのにパワードスーツというアイデアが気に入ったのよ。
デザインも当時にしてはスマートだったし。
アイデアだけもらった感じになったかな。
空戦仕様の奴は変形すると隙間だらけだったので大幅に変更したけど。
というか、あんまり参考資料がなかったんだよね。
ビームサーベルなんかも使ってなかったし。
がっつり俺仕様に変更させていただきました。
このサイズにしたのは試作機だからである。
最初から3段変形の大型機を作っても微妙になりそうだったからね。
空母と違って機動戦闘するんだし。
とりあえず変形すりゃいいやみたいなことはできない。
データがないとより良いものは作れないんだよ。
あと小型機がある方が便利というのもある。
赤面とかの対応で小回りが利くと利かないでは差が大きいからね。
小さいせいで魔力搭載量の問題が発生してしまったんだけど。
防御力が下がった主原因である。
それでも赤面あたりなら無双できるので試作機としては上出来だと思う。
こちらはぼちぼち改良していけばいいや。
空母も普段は光学迷彩を使うから、そうそう発見されんだろうし。
なんにせよ配備はした。
そうそう、配備で思い出したけど皆にスマホを配らないとな。
あ、新規の国民はしばらくケータイにしておこう。
回線の負荷とかちょっと心配だ。
運用状態で負荷を確認してから徐々に増やしていこう。
決してスマホの紙マニュアルを作るのが面倒だからという理由ではないのだよ。
漫画にすると凄くページ数が多くなって手間が増えるとかも思ってないぞ。
……ごめん、ちょっとウソだ。
割と面倒だと思う。
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部屋を出て念話で国内にいる妖精組の皆に招集をかけた。
メールを使わなかったのは仕事に出ているか微妙なタイミングだったから。
もし、仕事中ならメールは後で確認していただろう。
今から用があるのでね。
皆を振り回すことになって申し訳ないんだけど念話を使わせてもらった。
結果としては、これから仕事に行こうという状況だったみたい。
そういう訳で城の庭に全員集合。
ビシッと整列、綺麗なものだ。
それにしても仕事に出かける前で良かったよ。
農作業担当はともかく狩りや漁に出かけると、それなりの距離があるからな。
妖精組だったら気軽に戻ってこられるけどね。
日本にいた頃の感覚が残っている俺としちゃあ面倒くさそうだと思ったりするのだ。
「「「「「陛下ー、おはようございまーす」」」」」
「おお、おはよう」
ん? そこは「おかえり」で「ただいま」なんじゃないかって?
細けえこたあいいんだよ。
俺もあと数時間で戻らんといかんしな。
とにかく、今日も妖精組は元気いっぱいである。
種族的に進化したので何か急激に変わる部分がありはしないかと心配してたんだけどね。
よくよく考えるとツバキやハリーも上位種族になっている。
変わったのは背丈が伸びたことだけってくらい変化がなかった。
俺としてはホッと一安心。
んー、なんか和むんだよなぁ。
実家の縁側で近所の野良猫を膝に乗せて日向ぼっこしてる気分に近いかも?
いや、あれを増幅したような感覚というか。
モフリストだったら皆に向かってダイビングしてもおかしくないだろうね。
真性のケモナーだと歓喜する光景なんじゃないか?
いや、俺には分からんけど。
「今日の午前中はいつもの業務は休んでくれ」
「「「「「はーい」」」」」
素直な良い子たちである。
「仕事を中断させて申し訳ない。
実は、これから大幅に街づくりをするので手伝ってもらいたい。
普段の業務とは異なるが、これも新規の国民を迎えるためだと思って頑張ってほしい」
俺がそう言うと、わあっと歓声が上がった。
「何するニャ、何するニャ」
ミーニャさん瞳をキラキラと輝かせて大興奮ですな。
いや、みんな同じような状態か。
子供組は言うに及ばず黒猫3兄弟も他の皆も。
落ち着いているのはカーラとキースのリーダーコンビだけ。
……両名もはしゃいでいないってだけだったりするけど。
カーラは締まりの無い顔をしてニヤニヤしているし。
いつものキリリとした美人さんが台無しである。
キースも尻尾がビクビクと震えている。
あれはフル回転でぶん回したいのを我慢している証拠だ。
そんなに国民が増えるのが嬉しいのかね。
意外とは言わんが予想以上の反応だな。
お陰でしばらく皆の熱が冷めるのを待つことになったけど。
読んでくれてありがとう。




