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1469 結論は誰が出す?

「占い師なんて提案しないわよ」


 レオーネが苦笑しながら言った。


「どう考えても、あの王様にそんな格好が似合うとは思えないし」


 まあ、まずはそこだよな。


「うん」


 リオンが肩を振るわせながら頷いていた。


「あの王様には悪いけど」


 そういった次の瞬間「ブフッ」と吹き出してしまう。

 口元に手を当てて、それ以上はどうにか我慢しようと奮闘していたけどね。


 レオーネが肩をすくめながら「しょうがないなぁ」と言いたげな感じで苦笑していた。


 続いてカーラの方を見ましたよ。

 シヅカとツバキの3人で話し込んでいるようだ。

 会話には参加していないが、霊体モードのローズもいるな。


「ハルト様が出会われる方は愉快な方が多いですね」


 言葉通り楽しげに言うカーラ。


「否定できぬな」


 クックックと喉を鳴らして笑うシヅカ。


「難儀な者たちと言った方が良い気がするのだが」


 ツバキはとても笑う気にはなれないらしく呆れたように嘆息していた。


「ただの駄々っ子ではないか。

 いい年をして少しは自重せんのかと言いたくなるぞ」


「それを言うてはいかんじゃろう」


 ツバキの発言をたしなめるシヅカ。


 が、少しもそんな雰囲気を発していない。

 むしろ笑っているくらいだし。

 本気で言っていないのは明白だ。


「中身が子供なら幼稚園の制服でも着せておけと言いたい」


 故にツバキも止まらない。


 だが、園児の制服はどうなんだろう。

 いい年をしたオッサンがそんな格好をするのはコスプレにしても上級者すぎる。

 ギャグ漫画の世界としか思えないんですがね。


 まあ、皮肉を込めた冗談の類だ。

 それが分かっているからシヅカだけでなくカーラやローズも笑っている。

 特にローズは霊体モードなのをいいことに、ゴロゴロ転がりながら大爆笑していた。


『くーくっくぅ、くくうくぅ!』


 オッサン園児、大地に立つ! とか言っちゃってますよ。

 出会った当初なら何処で覚えてきたのかとツッコミを入れるところだ。


 地球の動画を見まくっている現在なら参照元に悩むことはない。

 俺も覚えていないような細かなネタでなければね。


「やめぬか、気色悪いではないか」


 シヅカが顔を顰めさせながら言った。

 これはツバキへの返答だ。

 ローズの念話は無視されたみたい。


『くーくっ!』


 くやしー! なんてヒステリックなこと言ってますよ。


 ハンカチをくわえる芝居付きなのでネタなんだろうけど。

 一瞬、元ネタが分からなかったさ。


 多分だけど全登場人物がケモナー系アンドロイドのギャグアニメだと思う。

 悪の黒幕で感情が高ぶると自爆するキツネ型アンドロイドだったか。


 さっきのグランダムネタよりマニアックなんですがね。


「奇妙奇天烈なものを想像してしもうたわ」


 シヅカが唸るように抗議したくなる気持ちも分からなくはない。

 オッサン園児の絵面を想像したら脳裏にこびり付いて離れなくなりそうだもんな。


「その方がよほど関わろうとすまいて」


 ツバキは気にした風もなく答えた。

 それもある意味、変装と言えそうだ。


「同行するなら妾たちまで避けられるではないか」


「その恐れは非常にあり得ますね。

 大人が園児の格好をする奇妙さはおそらく伝わりませんが」


 シヅカの意見に同意しつつ指摘するカーラ。

 西方には幼稚園の概念がないからな。


「それでも奇異な雰囲気は拭えないかと。

 屋台の店主に相手にされないと我々が困ります。

 特にハルト様は今日が初めてなんですから」


「ふむ、それは回避したいな」


 ちょっと安堵した。

 強引に押し通そうとしていたら絶対に反対していたところだ。


 それにしても、なかなか良い案が出てこない。

 俺もそろそろ真面目に考えるべきか。


『いや、まだだ』


 今度は子供組withマリカ&シーダの方を見た。

 楽しげにお喋りをしている。


 見ているだけで癒やされますな。

 気分はホッコリさんである。


「休憩中のコックさんなんてどうニャ?」


 細かな指定つきでミーニャが意見を言っていた。


「随分と威厳のあるコックさんなの」


 ルーシーがすかさずツッコミを入れていた。


「朝から晩まで休憩中ってどうかと思うな」


 シェリーも別のツッコミで追随する。


「「逆に目立っちゃうよ?」」


 ハッピーとチーがコテンと小首を傾げていた。


「食べ物の匂いがしないと変装してるのバレちゃうね」


 嗅覚が特に鋭いマリカらしいツッコミが入った。

 食べ物の匂いがまるでしないコックの扮装をしたオッサンがいたら怪しいのは事実だ。


 ただ、どうなんだろうとも思う。

 あからさまに匂いがしているのは不自然な気がするんだよな。

 匂いなんて、せいぜい残り香がある程度のものだろう。


 ハイフェンリルであるマリカであれば嗅ぎつけるのは確かなんだけど。


 が、一般人はマリカの嗅覚には遠く及ばない。

 果たして、その程度の匂いを敏感に感知できるのかというと微妙なところだ。

 神経質に気にするとは考えにくい。

 大半の者たちは違和感さえ抱かないだろう。


 故に誰にも気にされないということは充分にあると思う。


「そこは適当に匂いをつけるニャ」


 それを聞いたシーダが──


「ゴロゴロゴロ」


 迷惑そうに喉を鳴らして抗議する。

 さっきの浮浪者風コスプレをしていたハイラントのすえた匂いを思い出したのだろう。


『コックならそういう匂いにはならんとは思うけどな』


 よほど特殊な料理でない限り。

 スパイス系で目にくるような匂いとかはあるかもしれないが。


「残念なんだニャ」


 全員から却下されたミーニャはちょっとションボリしていた。

 割と本気だったらしい。


「しょうがないの」


「意見を出すのが大事だよー」


「「そうそう」」


「もっと皆で色々と考えるのだー」


「ゴロゴロ」


 落ち込むミーニャを皆で励ましている。


「そうだニャ」


 パッと顔を上げるミーニャさん。

 本格的に落ち込んでいた訳ではないので、すぐにいつもの調子を取り戻す。


「皆の案も聞きたいニャ」


「「「「「おー(ゴロゴロ)」」」」」)


 拳を突き上げて盛り上がっている。

 とりあえず、次の意見が出てくるまで他の面々を見るとしよう。


「兄者、何か向こうが盛り上がってるんだが」


 黒猫3兄弟の次男ニャンゾウが子供組の方を見ながらニャスケに報告していた。


「気にしても意味はない」


「そうは言うが、我々は煮詰まってる状態だぞ」


 子供組の方から視線を戻したニャンゾウの表情は渋い。


「向こうも似たようなものだ」


「ノリは違うけどね」


 三男ニャタロウがツッコミを入れていた。


「向こうは向こうだ。

 変に対抗心を燃やしても碌なことにはならん」


「「そりゃ、そうだけどさぁ」」


 ニャスケは落ち着いているが、弟たちは焦りを感じているらしい。


「せっかく陛下がお祭りに連れて来てくださったというのに」


「いいところを見せられないのは悔しいじゃないか」


「焦って無様な姿をさらすよりはよほどマシだと思うがな」


「「うぐっ」」


 冷静なニャスケの言葉に返り討ちにあう弟たちであった。

 そこに近寄っていく陰がある。


「ちょっといいか」


 そして黒猫3兄弟に声を掛けた。


「おっ、ハリーじゃないか」


 ニャスケが応じた。


「どうしたんだ?」


「俺たちに話し掛けてくるなんて珍しいね」


 ニャンゾウが首を傾げながら言った。

 ニャタロウも同意するように頷いている。


 ハリーは普段からあまり自発的な発言をしないからな。

 そんな風に思われていても仕方ないだろう。


 まあ、当人は気にした様子など微塵もないんだが。


「少し考えてみたんだが、問題ないか吟味してほしい」


「そりゃ、構わんが……」


 困惑の表情を浮かべるニャスケ。

 そんな提案がされるとは夢にも思っていなかったのだろう。


「そんなことするくらいなら陛下に聞いてきた方がいいんじゃないか?」


 ツッコミを入れるように疑問を口にするニャンゾウ。


「俺もそう思う」


 ニャタロウもそれに同意した。


「それだと目立つからな」


 ハリーが俺の方ではなく周囲に視線を巡らせた。


 ツバイクたちアカーツィエ組やフュン王国の面子が部屋の中に何人もいる。

 それでいて密集した状態ではない。

 謁見の間ほどではないものの、この部屋も結構広いからな。


 おまけに俺は部屋の真ん中あたりにいる上に近くには人が少ない状態だ。

 この状況で近づけば嫌でも目立つだろう。


「「「あー……」」」


 3兄弟が諦観を感じさせる目でハリーを見ながら頷いていた。


読んでくれてありがとう。

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