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火曜から金曜までの観測記録

4月8日(火)


一日は、物理から始まる。


構造は明確だ。


……問題は、その後だ。


物理、英語、文学が終わった。


放課後。


チェス。


そして、水泳。



……思い出す。


「人と関わるクラブにしなよ」


里美の声。


二人か三人。


チェス。水泳。


……個人競技。


非効率。


スケート部。違う。


美術部。違う。


卓球部。


……想定通り。


ラケットの角度。

打点。


回転。


……問題ない。



「入部届はどこですか?」


「仮入部があるから、まずはそっちからね」


「分かっています。ですが、もう決まっています」


「石上アラタ。一年C組です」


「石上さんですね。武志ルナです」


そして、チェス。


……想定外の要素が一つ。


チェスと水泳の登録は完了した。


周囲の雑音を受け流しながら、歩く。


意識は、目標に集中している。


……負荷は高い。


そろそろ帰宅の時間だ。



4月9日(水)


数学。


黒板には、一元方程式。


……静かなはずの時間。


だが。


小さな物音が響いた。


「ケンシ、解けるか?」


教師が問いかける。


「無駄ですよ、先生。」


一瞬、空気が止まる。


「……何て言った?」


「後で分かります。」


教室は静まり返った。


……傲慢さは、論理に屈する。


剣士は、その場で崩れ落ちた。


……泣いている。


僕の論理は、あまりにも単純だった。


だが。


……矛盾は残る。


「石上、どうしてそんなに文字通りにしか考えないんだ?」


「他人のことを考えないのか?」


声は震えていた。


「……答えてくれ。」


――非論理的だ。


「伊久美。」


「僕には理解できません。」


「どうして他人を軽んじるのに、自分は例外なんですか。」


「それは、論理として成立しません。」


伊久美剣士の目に涙が浮かぶ。


……崩壊。


僕は、それを観測していた。


その瞬間。


……ノイズではない。


別の声。


同一のトーンの中に、明確な差異。


「石上、あれは何だったの。」


「犯罪?それとも、正しいことをしたつもり?」


「僕は、客観的な事実を述べただけです。」


「……ずいぶん冷たいね。」


「そうかもしれません。」


「ですが、矛盾した人間は嫌いです。」


教室は静まり返っていた。


「……そこまでにしなさい。」


「石上、伊久美。放課後、少し話があります。」



教室は静まり返っていた。


……誰も、言葉を発しない。


花田春は、動かなかった。


……反応が停止している。


その後。


伊久美と僕は、呼び出された。


伊久美は、注意を受けていた。


そして。


「石上新、数学オリンピックの登録用紙はこちらです。」



……誰も動かない。


視線だけが交錯している。


……沈黙が続いた。



4月10日(木)


翌日。


空気は、わずかに変化していた。


緊張は、徐々に緩んでいる。


誰もが、一定の距離を保っている。


……英語の時間は、いつもこうだ。



物理。


数式は明確だ。


……誤差は存在しない。


僕は解答を導き出す。


……問題はない。


体育。


男女別々に整列する。


女子の視線は、一点に集まっていた。


先輩の斎藤。


「新、部活入ったのか?」


「ああ。水泳とチェス。」


「それ以外は?」


「卓球。」


「へえ、武志瑠奈と一緒って聞いたけど。」


「へえ、いいな。」


周囲はざわついている。


……無秩序だ。



4月11日(金)


ほとんどの生徒は、すでに部活を決めていた。


……あとは、集中するだけだ。


数学オリンピックは、来週から正式に始


これからチェスクラブに行く。


誰か、対局しないか。


……少し、この状況から離れたい。


休憩が必要だ。



チェスクラブ。


「キャプテン、こんにちは。」


「みなさん、こんにちは。」


「何人か入部しました。」


「私たち4人に加えて、3人の新入部員がいます。」


「何年生ですか?」


「3人とも高校2年生です。」


「全員、先輩ですね。」


「……いい環



「今年の目標について説明します。」


「石の上、どうぞ。」


「はい。」


「学業面では、思考力の向上を重視します。」


「チェスは、判断力と反応速度の強化に有効です。」


「競技面では、」


「今年は全員で大会に出場します。」


「それにより、競争意識を高めます。」


「また、大会ではエキシビションマッチも予定されています。」


「新しい形式って、どういうことですか?」


「グループ戦です。」


「各試合の勝者に3ポイント、引き分けに1ポイントが与えられます。」


「最も多くのポイントを獲得したチームが優勝です。」


「俺たちも教えたらどうだ?」


「……指導ですか。」


「初心者に、ルールや打ち方を。」


「誰の発案だ?」


「俺です。」


「……まともだ。」



さあ、行く時間だ。


いつもの3人。


咲、斎藤、そして僕。


「斎藤、妹が来てるよ。」


「ああ、知ってる。」


「…行くよ。」



来週から、本格的に始まる。


……準備はできている。















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