人生の列車
3月10日(月)
生徒会室
【アラタ】
「みんな、おはよう。
今日は一つ、話があるんだ。」
(……)
「今年度をもって、
僕は生徒会長を退任することに決めた。」
「どうしてですか、会長?」――副会長
(……)
最後の一年。
(……)
一度しかない。
「最後の高校生活だから。
今しかできないことを大切にしたいんだ。」――アラタ
(……)
もっと。
(……)
みんなとの時間を楽しみたい。
「だから、
次の生徒会は君たちに任せたい。」――アラタ
「それなら、副会長が新しい会長ですね。」――役員
(……)
副会長を見る。
「みんながそう望むなら、
僕は引き受けます。」――副会長
「ありがとう。
これからは君たちの生徒会だ。」――アラタ
「お疲れさまでした、石神会長。」
「ありがとうございました!」――生徒会一同
教室発表
【先生】
「みんな、おはよう。
それでは、新しいクラスを発表する。」
【アラタ】
(……)
新しいクラス。
(……)
どこになるんだろう。
【先生】
「浅知ユナ、3-B。」
「花田ハル、3-A。」
「アカリ、3-B。」
「石神アラタ、3-A。」
(……)
ハルと同じクラス。
「田弥良セイジ、3-C。」
3年A組
先生
「みんな、おはよう。」
「おはようございます!」――全員
「いよいよ高校最後の一年だ。
今日から受験に向けて、本格的に準備を始めてもらう。」
【アラタ】
(……)
最後の一年。
(……)
みんな。
(……)
それぞれの夢へ向かって歩き始める。
(……)
どんな未来が。
(……)
僕たちを待っているのだろう。
4月15日
花見
【ハル】
「みんな、元気?」
「うん。男の子たちももうすぐ来るよ。」――アカリ
(……)
あっ。
(……)
向こうから来る。
「来たよ!」――ユナ
「アオイはサイト君と。
ルナも彼氏と一緒だね。」――ユナ
(……)
嬉しい。
(……)
またみんなで集まれた。
「やあ、愛しい人。」――ハル
「やあ、ハル。
この場所、懐かしいね。」――アラタ
「もう、その話はやめてよ。」――ハル
「ねえ、みんな。
この場所の思い出ってある?」――セイジ
(……)
恥ずかしい。
「お兄ちゃんから聞いたんだけど、
昔、お兄ちゃんがパニックになりそうだった時、
ハルが抱きしめて、
『いつもそばにいるよ』って言ったんだって。」――サキ
「サキ……。
そこまで話さなくてもいいよ。」――アラタ
「そんな大事な話、隠してたの?」――ユナ
「ハハハ!」――みんな
6月23日
中庭
【アラタ】
(……)
どうしたんだろう。
(……)
そんな顔をして。
「石神……。
今まで君にしてきたこと、本当にごめん。」――ケンシ
(……)
もう。
(……)
終わったことだ。
「気にしなくていいよ。
もう過去のことだから。」――アラタ
(……)
すごく緊張している。
(……)
何かあったのかな。
「お願いがあるんだ。
勉強を教えてくれないか?」――ケンシ
「もちろん。」
「大学に受からなかったら、
親に家を出て行けって言われてるんだ。」――ケンシ
(……)
そういうことか。
(……)
ずっと。
(……)
そのことで悩んでいたんだ。
「わかった。
一緒に頑張ろう。
でも、一つだけ約束して。」
「過去のことは、もう忘れよう。」――アラタ
12月24日
クリスマス
【アラタ】
(……)
この一年も。
(……)
もうすぐ終わる。
(……)
あと少しだ。
「アラッチン、大丈夫?」――ハル
「うん。
でも、このグループも卒業したら、
それぞれの道を歩くことになるんだ。」――アラタ
(……)
また。
(……)
新しい一歩が始まる。
「なあ、みんな。
卒業しても、ずっと友達だよな。」――セイジ
「もちろん。」――みんな
「メリークリスマス、愛しい人。」――ハル
「メリークリスマス、ハル。」――アラタ
「メリークリスマス!」――みんな
(……)
それでも。
(……)
時間は止まらない。
(……)
僕たちは前へ進んでいく。
1月25日
試験会場
【ユナ】
(……)
どうだったんだろう。
(……)
少し不安だ。
「浅知さん。
あなたの成績なら十分です。
京都大学文学部哲学科に合格できるでしょう。」――先生
(……)
本当に?
(……)
嬉しい。
「私は歴史学も学びたいと思っています。」――ユナ
「どちらも素晴らしい選択ですよ。」――先生
【アカリ】
(……)
次は私の番。
「宮谷さん。
大学では何を専攻したいですか?」――先生
(……)
好きなことはたくさんある。
(……)
でも。
「昔から医学に興味があったんです」――あかり
「へえ、そう?
この高校から医学を勉強したいなら、かなり頑張らなきゃいけないよ」――先生
(……)
その覚悟はできている。
「大丈夫。
精一杯頑張るわ」。—あかり
「その意気だ。
さて、選択肢は二つある。
埼玉大学の医学部と、サコト大学の医学部だ」。――先生
(……)
どちらも魅力的だわ。
「ありがとうございます。
決める前に、もう少し考えてみます」。――あかり
【セイジ】
(……)
ようやく。
(……)
自分の進みたい道が見つかった。
(……)
今の僕は幸せだ。
「おはようございます。」――セイジ
「おはよう、田弥良君。
君は本当に特別な生徒だったね。
入学した頃は何事にも興味がないように見えたのに、
今ではまるで別人だ。」――先生
(……)
あの頃の僕。
(……)
記憶を失っていた。
「はい。
記憶を取り戻す前の僕はそうでした。
でも今は、
この長崎で学び続けたいと思っています。」――セイジ
「君なら体育学やスポーツ科学の分野でも十分やっていけるよ。」――先生
(……)
そうですね。
(……)
この大学で頑張ります。
「よろしくお願いします。」――セイジ
【ハル】
(……)
私の人生は。
(……)
今、分かれ道に立っている。
(……)
自分の気持ち。
(……)
そして。
(……)
本当に進みたい道。
「花田さん。
社会科学系に進むか、
AIの分野に進むか、
まだ迷っているようですね。」――先生
「はい……。」――ハル
「焦らなくていいですよ。
この数か月で、
自分が本当にやりたいことを考えてみてください。」――先生
「はい。
もう少し考えてみます。」――ハル
【アラタ】
(……)
僕のハイパーフォーカス。
(……)
ずっと。
(……)
ここにある。
(……)
テクノロジー。
「おはよう、石神。」――先生
「おはようございます。」――アラタ
「この三年間、
君を見ていて確信したよ。
君が一番情熱を注いできたのは、
テクノロジーだ。」――先生
(……)
もう。
(……)
気づいていたんだ。
「最先端の技術を学びたいんです。」――アラタ
「それなら、
君は理系科目の成績も十分だ。
京都工芸繊維大学は、
君にぴったりだと思うよ。」――先生
合格発表の日
【アラタ】
(……)
ついに。
(……)
この日が来た。
(……)
僕は落ち着いている。
「石神……。
すごく緊張してる。」――ケンシ
「そうだよな。
ご両親をがっかりさせたくないんだ。」――アラタ
「うん……。」――ケンシ
(……)
変わったな。
(……)
でも。
(……)
君なら大丈夫。
(……)
ここまで努力してきたんだから。
「落ち着いて。
君は今まで全力で頑張ってきた。
きっと大丈夫だよ。」――アラタ
「ありがとう。
そう言ってもらえると安心する。」――ケンシ
結果を確認する。
TJ4785
(……)
ケンシの受験番号だ。
「ケンシ。
あったよ。」――アラタ
「えっ……。」
「本当だ。
合格だ!」――ケンシ
(……)
今の君には。
(……)
仲間がいる。
(……)
もう。
(……)
一人じゃない。
「さあ。
帰って、ご両親に報告しよう。」――アラタ
3月5日
【アラタ】
(……)
新たな一歩。
(……)
ここにいるのは。
(……)
父さん、母さん、サキ。
(……)
そして、セイジだけ。
「みんなと離れるのは寂しいな。」――アラタ
「体に気をつけるんだぞ。
お前を誇りに思っている。」――父
「相棒。
サキのことは僕に任せて。」――セイジ
(……)
うん。
「君なら安心して任せられる。」――アラタ
【ハル】
(……)
私は。
(……)
ここにいる。
(……)
彼を待っている。
(……)
すべては。
(……)
あの重力をテーマにした物理の授業から始まった。
(……)
あの日から。
【アラタ】
「それじゃあ、行ってきます。」
席へ向かって歩く。
(……)
あの数学オリンピック。
(……)
結果用紙。
(……)
『145 + 花田ハル』
(……)
あの日から。
(……)
僕は変わった。
「……えっ。」
「ハル?」
「どうしてここに?」
「社会科学へ進むと思ってた。」――アラタ
「AIを選んだの。」――ハル
(……)
AI。
「言ったでしょ。
愛しい人。
君を一人にはしないって。」――ハル
【作者からのお知らせと感謝】最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!本日、第36話「システムの収束」をもちまして、この物語は無事に完結いたしました。孤独な論理のバブルから始まり、友情の架け橋を築き、そしてこの電車のプラットフォームで二人のシステムが一つに収束するまでの旅路を、一緒に見守ってくださった読者の皆様に心から感謝いたします。
もし、このアプローチや結末を気に入っていただけましたら、作品ページ下部にある**【☆☆☆☆☆】**から評価やブックマークで応援していただけると、今後の大きな励みになります(第7回HJ小説大賞前期に挑戦中です!)。皆様の応援が、私の次のシステムの構築へのエネルギーになります。本当にありがとうございました!




