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9-147 真っ黒なお豆腐
真っ黒なお豆腐……みたいな何かが、開いたドアの向こうにぴったりと、はまり込んでいるようにしか見えない。
「行こう、ブロッサムさん」
すー。
「は、はい」
「大丈夫だよ。この黒いのは、魔物対策の障壁だから。私たちには関係ない」
障壁。
「なんか、真っ黒なお豆腐みたいな雰囲気ですね」
「その感想は、初めて聞いた。ブロッサムさんには、そんなふうに見えるんだね」
あれ?
「人によって違うんですか?」
「私は、黒い光のカーテン、みたいな感じ。ゆらゆらしてる」
へー。
「見る者の魔力を反映するからね。ブロッサムさんの魔力は、密度が高い、ということかもね。あと、お豆腐ということは……均質、なのかな」
首を横に傾けて、考え込んでいるふうな感じのポーズを、シルバーソーンさんが。
「ま、いっか。行こう。ついてきて」
「はい」
真っ黒なお豆腐の中に、すん、とシルバーソーンさんが入っていった。私も続こう。
「お邪魔します」
冷たい。けど、嫌な感じではない。抵抗みたいなものがあるわけでもない。
「わ」
急に視界が開けた。私たちは、橋の上に立っていた。
真っすぐ伸びている橋の先には、塔がある。その塔には、一、二、三……七つだから、この橋も合わせて、八つの橋がつながっている。橋に付いている手すりは低くて、近づいて下を覗き込む気にはなれない。




